夫婦の間で日常会話はあるけれど、将来のことや家事分担など大切な話をしようとすると夫がはぐらかす、黙り込んむ、キレる…などで「話し合いにならない」と悩んでいる人はいないでしょうか。
今回は、夫婦で話し合いができない時の3つのパターンと、その心理や原因、話し合いができるようになるための対策を紹介します。
話し合いできない夫のタイプ①逃げる・ごまかす
そもそも、話し合いを始めることすらできないのがこのタイプです。
「そろそろ子供がほしいんだけど…」や、「子供が生まれて家事が回らないから、分担を見直したいの」といった話をしようとすると、「うーん」と煮え切らない返事をしたり、トイレやお風呂に逃げてしまったりします。
なかなか向き合って聞いてくれないので、妻が仕方なく話を始めても、テレビやスマホをいじりながら聞いているのかいないのかわからない態度で、あげくの果てに寝てしまうことも。
こういう場合、そこにはいくつかの理由や心理が予想されます。
仕事で疲れていて、今は頭を使いたくない
その日または最近、神経を使う仕事が続いていて「やっと家で休める」と思ったタイミングで、責任の伴うような問題について話し合わないといけない…となると、つい逃げたくなるのかもしれません。
「嫌だ」といえばケンカになるし、無責任な返事もしたくないので、のらりくらりと逃げるパターンです。
話し合うと自分に都合の悪い結果が予想される
日本では夫婦の家事育児の時間を比べると妻の方が圧倒的に長いことが知られています。
妻に「家事のことなんだけど…」と切り出されれば、たいていは自分の負担を増やされることが予想できるため、話し合わずにすむよう逃げている可能性も。
また、義父母(夫の両親)が、妻に対して無理な要求や暴言を向けてきたときなどは、もし話し合えば当然夫が親に対して抗議したりやめるように交渉したりしなくてはならないので、気が重くて逃げている……といったケースも想定されます。
結局、何の話なのか理解できない
個人差はありますが、一般的に女性は「会話しながら相手の返事や反応も見て最終的な考えをまとめる」という話の進め方をする人が多いと言われています。
「今日子供のクラス懇談に行ったんだけどね、スマホトラブルが増えてるらしくて…隣のクラスでこんなことがあったんだって…でも親が色々設定すれば大丈夫みたいで…うちも塾に行かせようかなってこの前いってたじゃない?だからウチもそろそろ持たせた方がいいと思う?家族割とかあるのかな?」
夫の側は、最終的に何を話し合いたいのか分からないままずっと話を聞いていることになるため、しだいに集中力も途切れて眠くなったり、スマホゲームに意識がいってしまう…というパターンです。
ごまかしていれば妻がなんとかしてくれると思っている
結婚や出産前後の段取り、マネープラン、子供の進路などは、夫婦で話し合って進めたいものですよね。
ただ、夫側にあまりこだわりがない場合「考えとくわ」と言って先延ばしにしているうちに、妻がうまいことやってくれるかな…と他力本願になるケースもあります。
結婚前は実家暮らしで母親がまめに世話を焼き、フォローしてくれたという夫に多いタイプではないでしょうか。
まだ結論を出したくなくて先送りしている
話し合いの内容が、子供を持つのか持たないのか、持つならいつごろなのか、家を建てるかこのまま賃貸なのか…といった人生に関わるような大きい問題なのに、夫が真剣に考えようとせずイライラすることもあるかもしれません。
夫にとっては、重要性は分かっているけど今はまだ現状維持していたくて、きちんと向き合わないというパターンもあります。
中には、先送りしすぎて「これじゃ間に合わない」と思った妻に離婚を切り出され、慌てて考え始めたという夫の話も耳にするほど。
話し合いできない夫のタイプ②黙り込む
次は、夫が話し合いには応じてくれるものの、いつも途中で黙り込んでしまって何も決まらない…というもの。
比較的、普段あまり怒ることがなく穏やかな性格の夫に多いといわれます。
口論やケンカが苦手…だけど譲れない
温和な性格の人とは、一緒にいると安心で癒やされますよね。
その反面、嫌なことを嫌と言えない、人とぶつかるのが怖い…といった弱みもあります。
「ケンカするくらいなら妻の言うとおりにする」という夫も多いですが、それでも「これだけは譲れない」という点もあり、そこに関しては非常に頑固なことも。
こうなると夫婦での根比べとなり、妻は最後にはあきらめるほかなくなるかもしれません。
口下手でうまく表現できない、時間がかかる
世の中には、なんでもパッと答えられる頭の回転が早い人もいますが、納得するまでじっくり考えてからでないと答えを出せない熟考型の人もいます。
どちらが優れているかということではなく、それは個人の性格であり、どちらにも良さがありますよね。
熟考タイプの夫が、妻の「どう思う?」という問いかけに対し、適当に返事はしたくない、でも今すぐ答えるのは無理…となった結果、黙りこんでしまうパターンもあります。
妻が「もういいよ、私が決める」と話し合いをやめて、何日も経った頃にふと「あの件だけど…」と返事が返ってくることも。
それは夫の誠実さの表れでもあるのですが、実際問題「もう遅いんだけど!」とイライラすることもありますよね。
何か言っても丸め込まれたり否定されたりする
妻がたずねたことに対し、「俺はこう思うけど…」と言いかけても、いつも「でもね、そうするとこうなるじゃない?だからやめたほうがいいと思うの」とさえぎられてしまうので、話し合いをあきらめてしまっている夫もいます。
結局、妻の思い通りにするつもりで話し合いがスタートしているため、夫は自分が意見を言っても否定されるか丸め込まれるだけ…と感じて、黙ってしまうのでしょう。
また、職場での頼まれごとや後輩のフォローなどで帰りが遅くなりがちといった、分かってはいるけどなかなかスパッと断れないことに対し、正論で「そんなの、僕の仕事じゃないって断ればいいじゃない」と言われてしまうと、夫は何も言い返せなくなってしまうことも。
話し合いできない夫のタイプ③キレる・怒り出す
妻としては、困っていることや検討事項を話し合って解決したいのに、話題を持ち出すとすぐに感情的になったりキレたりする夫には困ってしまいますよね。
ここにもいくつかの心理・理由が考えられます。
自分の考えだけが正しいと思っている
誰だって、わざわざ自分で「間違っている」と思う行動はしないもの。
とはいえ、ものごとの正解は常に1つというわけではありません。
時には夫婦どちらも悪くなく、本人にとっては正しいのに、意見が食い違うこともあります。
しかし夫が「自分は正しいのだから、間違っているのは妻のほう。当然妻が折れるべき」と思い込んでいると、そうしない妻に対して腹を立ててしまうのでしょう。
考えがまとまらずイライラする
子供のトラブル、親の介護、転職などの重要な話し合いでは、複数の人の希望や利害関係が複雑にからむため、多角的に考え意見を出し合って、その中でいちばんよいと思われる選択肢を選ばなくてはなりません。
自分以外の人の気持ちや自分の決断が与える影響などを想像するのが苦手な人は、ああでもないこうでもないと考えがまとまらず、結論が出ないことにイライラして「もう知らん!」となってしまうことも。
「人格を否定された」と思ってしまう
いつも夫が服を脱ぎっぱなしで妻が片づけている、子供が夫の乱暴な言葉遣いをマネするから控えてほしい…といった話をしようとすると、怒り出してしまう夫もいます。
妻としては「行為」に対し、今後のために話し合いたいと思っているのに、夫の側は「俺という人間を否定された」と感じてしまっているパターンです。
話し合いを成立させるための方法
「話し合いがなかなかできない…」と不満なときに効果のありそうな対処方法を集めてみました。一度試してみてはいかがでしょうか。
「今、あのことついて話せる?」と確認
妻が夫と話し合うとしたら、たいていは夕食後などになるかと思います。
妻だって毎日やることが山積みなので、早く話し合いたいのは山々だと思いますが、心の準備ができていない夫にいきなり話をスタートすると不調に終わりがち。
「今15分くらい話せる?」と聞いてみて、反応が悪ければ「週末でもいいけどどう?」と予約しておくとよいかもしれません。
また話し合いの最初にも、再度「今日はこの話なんだけど」とテーマをはっきりさせるのがポイントです。
とくに、日頃「えっと、結論からいうと…?」とよく言われる人は、意識的に「今日は子供の教育方針について意見を聞きたいんだけど」とはじめに伝える習慣をつけるとよいですね。
伝達手段や場所を変えてみる
特に、妻が不満に思っていることを話し合いたい場合には、直接話すと、夫がちょっとした言葉尻に反応して怒り出したり、枝葉の部分まで話が広がって結局なにを決めたかったのか分からなくなってしまったりすることも。
それを避けるため。スマホのメッセージアプリやメールなどで、シンプルに本題だけを伝えているという夫婦は多いようです。
また、自宅では家事や子供の相手などで話が中断されやすく込み入った話が最後までできなかったり、夫が気が乗らないときの逃げ場もたくさんあります。
一時預かりなどが利用できるなら、夫婦だけでカフェやレストランなどで落ち着いて話すのもおすすめです。
「いつまでに決めたい」とリミットを伝える
夫といくら話し合おうとしても逃げてしまう、「それはまた」等と向き合ってくれない…という場合、「いつまでに」という期限を伝えると、夫もしぶしぶながら話し合いのテーブルにつく場合もあります。
実際に「住宅ローン減税の終了が今年の9月」といった明確な日時でも「将来のことを考えたら、35歳までに第2子を出産したい」という自分なりのリミットでも構いません。
理由と期限を伝えることによって、会社の業務感覚で対処を始められる夫もいるのではないでしょうか。
「話し合い」の形でなくとも、改善があれば良しとする
「話し合い」とは、それぞれが意見を出し合って、もっとも良い着地点を見つける作業です。
しかし、たとえば「子供と遊ぶときはスマホ片手じゃなく向き合ってあげてほしい」と伝えたのに夫が「うーん」と生返事だとしても、次回それを思い出してスマホを置く姿が見られればまずは一歩前進ですよね。
特に、夫が口下手なことが理由で話し合いが成り立たないパターンでは「あ、話を聞いてくれてるんだ」と気付くだけでもかなりストレスが減るかと思います。
ゴール設定を見直す
「話し合い」のゴールはなんだと思いますか?
自分の言い分が通ること、相手の言い分を受け入れること、2人の中間地点を見つけること…一般的には、そのいずれかだと考えられます。
しかし、特にすぐ結論が出ないような内容であれば、まずは「相手の思いを理解する」だけでもじゅうぶん立派なゴールです。
ゴールの設定を変えてみると「今日はとりあえず夫の気持ちを聞くところまでにしよう」と考えることもでき、むやみに結論を急いだり、自分の思い通りにならずにイライラしたりすることも少し減るのではないかと思います。
それは本当に「話し合い」なのか考える
最後に、夫がすぐ逃げる、キレる、黙る…話し合いにならない!とモヤモヤしているとき、見直してみたいことがあります。
「話し合い」という名目で、その実、以下のようなことをしていないでしょうか。
- 同意の強制
- ダメ出し
- 謝罪要求
- ケンカを売る
もし、夫の意見を聞き、どういう気持ちなのかを知り、どうしたらいちばんいいのか一緒に考えるつもりであれば、上記のような場合は「話し合おう」ではなく、「これはお願いなんだけど…」「いつもありがとう、でも1つだけどうしても気になるから聞いてくれる?」といった言葉に置き換わるのではないしょうか。
おわりに
今回の例のほかに、発達障がいや生まれつきの特性(相手の気持ちや言葉の裏側が分からない、よく考える前にカッとなって衝動的にどなってしまう)によるものや、いわゆるモラハラ(始めから妻の意見など聞く気がなく、従わせるのが目的)によって話し合いができない場合もあります。
発達の特性によるものであれば、専門家の診断や治療・カウンセリングで改善する可能性もありますし、残念ながらモラハラの場合は、今後の人生を安心して生きるために離婚も視野に入れて考える必要があります。
しかしそうではないのなら、今回の記事のいずれかの方法が役に立つかもしれません。ぜひ試してみて下さいね。
文/高谷みえこ
参考/内閣府男女共同参画局|男性の家庭・地域社会における活躍について「生活時間の国際比較(男女別)」