大人が抱えやすいモヤモヤについて、臨床心理士の八木経弥さんにお話を伺いました。今回は、孫の進学にまで口を出す高学歴の義父に関するお悩みにお答えします。

【Q】強い義父…孫が成績アップしても褒めず進学にまで口出し

孫の成績や進学に口を出してくる義父に悩んでいます。義父は高学歴のためか、子どもの成績が上がっても「このくらい当たり前」と褒めてくれません。義母や夫も義父ほどではありませんが、似たような感覚で、塾の模試があるたびに、成績を聞いてきます。

 

夫側の親戚はみんな中学から私立へ進学しているよう。「中学受験は当たり前」と言われ、プレッシャーを感じています。わが子は義父や夫のように秀才なタイプではありません。努力型だと思います。そんなに成績は優秀ではないけれど、自分から机に向かう機会が増え、少しずつですが成績は上がっています。そんな孫に対してまったく褒めてくれない義父にモヤモヤしてしまいます。

「結果」より「過程」を褒めていちばんの味方に

強い義父の存在にお悩みの方は少なくありません。高学歴でプライドが高く、頑固者なので周りが逆らえない、といった感じでしょうか。 成績に限らず、子どもの将来をめぐって両親から口出しされると、つらいですよね。

 

義理の両親に対し、はっきり主張できる人もいますが、相談者さんの場合、「お嫁さん」という立場からは意見しづらい状況にあるとお察しします。本来なら夫や義母に間に入ってもらうのがいちばんですが、“強い義父”の場合、頼れないこともありますよね。こうなると、義父に対抗するのは難しそうです。

 

何よりいちばんかわいそうなのは子どもですね。結果ばかり求められています。

 

子どもの勉強は、結果より「過程」を褒めることが大事です。過程とは、たとえば本を読む、熱心にドリルに取り組むなど、自分から努力している時間です。テストの点数の結果を褒めるより、「がんばってるね」と勉強の過程、つまり“努力”をたくさん褒めるほうが、勉強を継続させる確率が高いと言われています。

 

もちろん、結果を褒めることも大事です。その褒め方のコツとしては「やっぱりよかったね!だって今回すごくがんばったもんね」「たくさん勉強したから結果がついてきたね!よくがんばったね」と子どもの頑張りを褒めることです。

 

勉強に限らず、スポーツも同じです。勝ち負けの結果だけを重視せず、「負けちゃったけど、今日までの練習の成果が出ていい試合だったね」など、努力に目を向けた励ましが、次へのやる気につながります。

 

NG例は、「あなたはやっぱりできる子ね」「おまえには才能があるからできるんだ!」という言い方です。この褒め方だと、「結果=自分の能力」と思ってしまうので、努力しなくなってしまう可能性があります。

 

そばにいる親が、努力を褒める言葉がけを意識し、いちばんの味方でいてあげてくださいね。