「姉に憧れていました」と語るのは、フリーアナウンサー、芸人・安田大サーカスの団長の妻でもある、安田さちさん。安田さんは、3つ上の姉の影響を受けながら子ども時代を過ごし、大学生活も謳歌するはずでした。しかし、入学初日から想像とは違う展開が待っていて──。
入学式で速攻帰る
── 学生時代のことをお伺いします。Twitterで、「大学入学後2年間友達がいなかった」と拝見しましたが、本当ですか?
安田さん:本当です。実はそれにはワケがあって…。大学の入学式の日多くの学生は、黒や紺のスーツを着て、式に参加していましたが、私は真っ白なスーツにミニスカート。ちょっと浮いてました(笑)。それで、何となくその場でコートも脱ぎづらくなって、入学式に出ずに帰っちゃったんです。
── 初日から早々に引き返してしまったと。
安田さん:さっそく友達をつくるきっかけをなくましたね。
私は法学部に入ったのですが、当時の法学部は女子が少なかったんです。また、比較的まじめそうな同級生が多かったですし、大学デビューで張り切りすぎていた私は、取り残された感覚でした。私は人見知りですし、自分から積極的に声をかける性格でもなかったこともあって、結局2年間誰とも仲良くなれませんでした。
── 大学生活を謳歌するはずが…。
安田さん:そうですね(笑)。だから寂しくて、当時一緒に住んでいた姉とばかり一緒にいました。
あと、私は昔から姉に憧れていたこともあって、大学生になったら姉の周りにいるような、学校でも目立つタイプの子たちと仲良くなりたいなってずっと思ってたんです。
── お姉さまは、どういった方なんでしょうか?
安田さん:3つ上の姉は、生徒会長をやったり弁論大会に出場したりと、学校でも目立つタイプ。リーダーシップもあるんです。私とは正反対ですね。
子どもの頃から姉のようにカッコいい女性になりたくて、大学生になったら金髪にしてみたり、派手な洋服を着てみたり。一度そういうことをやってみたかったんです。
あと、元々両親が厳しかったこともあって、私も高校生くらいまでは大人しくしていたんです。でも、大学生になったのを機に、それまで抑えていた気持ちが解放したのかもしれません。
その結果、ちょっと張り切って、大学の入学式で真っ白なスーツにミニスカートにしちゃったら早速浮いちゃいましたけど(笑)。
寂しい思いをしたけれど
── しかし、そこからどうやって友達をつくっていったのでしょうか?
安田さん:1、2年の頃は友達がいなくて学校もサボりがちでしたが、さすがに3年生になる頃には、単位がまずい状態になっていて。その頃から毎日学校に行くようになって、ちょうどゼミも始まったこともあって、徐々に友達の輪が広がっていきました。
── 当時を振り返ってみて、人とのつき合い方で変化したと思うことはありますか?
安田さん:友達がいない時期は、寂しい思いもしました。でも、その2年間も決して無駄じゃなかったとも思っています。孤独を感じた結果、「じゃあ、自分が友達になりたいのはどんな子だろう?」って自問自答しましたし、そこから少しずつ自分を見つめられるようにもなったとも思うんです。
あと、姉からもたくさんの影響を受けました。姉の後ろを追いすぎて、自分の意思がいったいどこにあるのか、自分でもわからなくなったこともありました。
でも、次第に外見だけ姉のマネをしたところで姉にはなれない。姉と自分は違う人間だし、姉に憧れているからといって、すべてをマネしなくてもいい。そんな風に思えるようになりました。
今も姉を尊敬していますし、憧れています。でも、自分の殻を破って自分らしくいられるように変化できたと感じてから、より自分らしく居られるようになった気もしてます。
PROFILE 安田さちさん
フリーアナウンサー。「安田大サーカス」団長安田の妻であり、2児のママ。タレントとして活躍していたものの結婚を機に家事、育児に専念。35歳でフリーアナウンサーとして活動を再開。
取材・文/間野由利子 撮影/坂脇卓也