入籍からわずか493日で妻・睦さんをがんで亡くした清水浩司さん。息子が3歳のときに「この子のお母さんになりたい」と言ってくれた女性と再婚しますが、亡き妻の家族とも変わらずに交流を続けています。「今の奥さんに失礼」という批判もありながら、息子さんやまわりの人々にとっての最良の形を模索し続けてきました。

息子には「祖父母が3組いる」と

清水浩司 睦
息子の出産とともにがん治療のスタートしたころの睦さん

── 結婚からわずか493日で妻・睦(むつみ)さんを亡くし、自身もうつ病を患った清水浩司さん。息子が3歳のころ、現在の妻と再婚しました。新しい家庭を築いた後も睦さんのご実家との交流は変わらず続き、現在、息子には「祖父母が3組いる」と話しているそうですね。こうした家族の形を、周囲はどう受け止めたのでしょうか。

 

清水さん:「再婚するなら前の家とは関係を断たないと、新しい奥さんに失礼だ」と親戚からはかなり言われました。

 

ただ僕は、再婚を理由に、息子と睦さんの家族との関係まで終わらせる必要はないと思っていました。息子が成長して、自分の生い立ちや実母について知りたいと思う日が来たとき、睦さんを知る人たちや彼女の実家・福島とのつながりは、自分のルーツをたどる手がかりにもなる。だから、その関係は残しておきたかったんです。さらに睦さんの家族にとっても、息子は亡き娘の忘れ形見。自分が親になったことで、子どもが親より先に逝くことの悲しさは痛いほど感じました。孫である息子の成長を見守れることが、娘を亡くした悲しみを癒すことになればと思っていました。

 

── そうした考えを、再婚相手の方にはどんなふうに伝えたのでしょうか。

 

清水さん:「この子には生みの親やその家族との関係を残してやりたい」と伝えました。すると「全然いいよ」と言ってくれたんです。彼女は東京で働いていたころの元同僚です。

 

当時の僕は、幼い子どもを抱えながら、うつ病を患って仕事もほとんどできない状態。結婚相手としては「こんな悪い物件はないだろう」と思っていたくらいです。そんな僕に「この子のお母さんになりたい」と言ってくれました。心の底からありがたかったですね。

 

── 再婚を決意する際、亡くなった睦さんへの思いには、どのように折り合いをつけたのでしょうか。

 

清水さん:再婚を考えるうえで一番大きかったのは、息子のことでした。亡くなった妻を一途に思い続けるという生き方もあると思います。でも僕は、自分ひとりで育てるより、息子には母親のように愛情を注いでくれる人が必要だと考えていました。そういう環境をつくるなら、できれば物心がつく前のほうがいいとも思っていたんです。

 

だから、睦さんへの思いに区切りをつけて再婚した、というわけではありません。今でも彼女のことを話していると、一緒にいるような感覚があります。亡くなった後も、自分は彼女の影響を受けながら生きているし、彼女の死をきっかけにまったく別の人生に切り替わったとは思っていないんです。そのうえで、息子の幸せを一番に願い、息子を一番大切にすることは、睦さんも喜んでくれるんじゃないかと、勝手ながら思っていました。