先日、結婚を公表して大きな話題を呼んだ元五輪スケーターの村主章枝さん(45)。まるでドラマのような運命の出会いから、13歳の年の差婚における「夫婦の歩幅」についてまで、結婚生活を送るアメリカ・ダラスからたっぷりお話しいただきました!
運命の出会いは「マンションでばったり」
── 先日、13歳年下のアメリカ人男性、デビンさんとご結婚されたことを公表されました。おふたりの出会いについて教えていただけますか。
村主さん:アメリカで映像制作の会社を立ち上げ、現在はダラスに住んでいるのですが、以前、ラスベガスに住んでいたときに夫と同じアパートの同じフロアに住んでいて、エレベーターでばったり会ったのがきっかけです。

── まるでドラマのようですね。
村主さん:東京だと隣に誰が住んでいるかわからないということもあると思いますが、アメリカでは住民同士でフレンドリーに話しかける習慣があります。住んでいたのは大きなアパートではなかったので、顔を合わせる機会が増えるにつれて、「どんな仕事をしているの?」という話になって。
当時、私はラスベガスでスケートのアイスショーを企画していて、演出のなかで使う映像を作るために、映像チームを探していました。そんな折に出会った夫が、映像制作の仕事をしていることがわかり、仕事の話で一気に盛り上がったんです。新型コロナウイルスのパンデミックで、結局ショーは開催できなくなってしまったのですが、「せっかくだから一緒に何かできたらいいね」と、そこから映像や映画制作の会社を一緒に立ち上げ、お付き合いも始めました。結婚に至ったのも自然の流れでした。
── 公私ともにパートナーになったんですね。
村主さん:いつでも話ができる反面、プライベートも仕事も一緒になってしまうので、どうやって棲みわけをしていくかはとても難しく、課題でもあります。
「夫に申し訳ないと思いつつ」結婚生活での葛藤
──「結婚してよかった」と感じるのはどんなときですか。
村主さん:家族がいるという精神的な安心感がまったく違いますね。アメリカで女性がひとりで生活することは常に安全面での不安がありますし、体調が悪いときや、もしものときに、家族が日本からやってくるのは大変です。
結婚前、母に「お付き合いしている人がいる」という話をしたら、顎が外れるんじゃないかというくらい、びっくりしていましたけど(笑)。年齢も年齢なので、日本の家族にも安心してもらえたのはよかったと思います。
── 33歳でスケーターとしての現役引退を表明、2018年からアメリカに移住され、映画をはじめとした映像制作に従事されています。海外生活も長いと思いますが、アメリカで送る結婚生活はいかがですか。
村主さん:自分の夫について周囲にどう話すかについて戸惑うことが多いです。日本人妻は、自分の夫を「うちの夫はこんなこともできないんですよ〜」と話すことがあると思います。たとえいいことを伝えるとしても、控えめにいうのが好まれますよね。でも、アメリカでは「夫のすごいところ」を周囲に話して、いかに素晴らしい人かを強調するのですが、私はそれがうまくできないんです。夫には申し訳ないと思いつつ、「日本人だから仕方ないよなぁ」と葛藤しています(笑)。
「毎回ダメ出し」自分にはない視点が刺激に
── 夫の自慢をするのは苦手だとのことですが、ご主人のどんなところに惹かれたのですか。
村主さん:映像制作に対して情熱を持っていることや、夢に向かって一生懸命取り組む姿が素敵だと思いました。夫を見ていると昔の自分を見ているようです。
アメリカでは野球やバスケットボールがメジャースポーツで、フィギュアスケートはピンと来ていないらしくて。私のことをスケーターというフィルターなしにフラットに接してくれて、意見を言ってくれるところもよかったと思います。夫から毎回ダメ出しもされますが、刺激になりますね。
── 具体的にどんなことを指摘されるんですか。
村主さん:仕事のやり方です。日本だと、何か新しいことに取り組むにあたって、まず関係者同士で話し合いがありますよね。話し合いが長引いて結局、内容が決まらなかったり、論点がずれていってしまったり。本質とは違う細かいところにこだわりすぎてしまう側面があると思います。
私はこのやり方に慣れていたのですが、夫は何より先に「チャレンジしてみよう」という考えです。「いくらで、どう売るかを先に話し合うより肝心なことは、どうやっていいものものを作るかだ」って。どちらもよし悪しはあると思っていますが、夫の意見は私にはない新しい視点なので、聞いていて面白いですし、勉強になります。
13歳差婚「夫婦の歩幅をどう合わせるか」
── 結婚生活で、13歳の年の差を感じることはありますか。
村主さん:「人生をプッシュするタイミング」が違うと感じますね。私と同じ40代は、仕事も軌道に乗って安定していて、家族との人生をどうやって充実させていくかということを考え始めている方が多いです。ところが夫は仕事にエネルギーを費やすことにまだまだ方向性が向いているので、どうやって夫婦で歩幅を合わせていくか考えています。
── 結婚前にイメージしていた結婚生活と違うと思うことはありますか。
村主さん:結婚すれば「家族で幸せな生活」ができると思い描いていたんですが、それは意識しないと成り立たないということがわかりました。お互いに仕事で挑戦したいことがあり、夫は映画などの作品作りに集中していて、私も映像制作に向き合いながら、スケートショーの開催や次世代の育成に力を入れたいという夢があります。
忙しい日々を送る中で、 一緒の方向を向き、ふたりで過ごす時間を作るということは、夫婦でお互いに努力をしていかなくてはならないことなんですね。仕事のパートナーとして、夫婦として、どうバランスを取っていくかを考えながら、仲良く生活していきたいと思っています。
取材・文:内橋明日香 写真:村主章枝