「0.1%でも可能性があるなら諦めたくない」。第2子の不妊治療を続けて8年目を迎えた金子恵美さん(48)。更年期症状も感じながら、最近は治療のやめどきにも葛藤があると言います。そんな金子さんに夫・宮崎謙介さんが提案したのは「自分自身へ投資」という、少し意外なものでした。

不妊治療8年目、更年期症状との狭間で葛藤も

金子恵美
夫婦で不妊治療の辞めどきについても話をしていると語る

── 38歳になる直前に第1子を出産されている金子さんですが、現在は2人目の子どもを望み、不妊治療をしているそうですね。

 

金子さん:ひとり目はすでに高齢出産でしたが自然妊娠だったんです。2人目も自然にできるものかと思っていたら授からなくて、40歳になる手前から不妊治療をはじめました。ただ、なかなか結果が出ないこともあり、時間とお金だけを浪費しているようにも感じてしまいます。

 

今年で48歳になりましたが、動悸もあるし、年齢的に更年期症状もおそらく始まっているような気もするんです。更年期症状がありながら不妊治療を続けているのもどうなのかなと思いながらも、2人目が欲しい気持ちが勝っているので、今は治療を続けています。

 

── 不妊治療は身体や金銭的な負担はもちろん、急な診察や治療などによって、スケジュール調整も難しいと聞きます。

 

金子さん:おっしゃる通り、他の治療に比べて急に治療が決まることが多いです。たとえば「生理が始まって3日以内にクリニックに来てください」と言われることもあります。でも仕事で地方滞在中のこともありますし、指定された日時に行けるとは限らないんです。そうなると、その月に受精卵を身体に戻すタイミングを失って、また次の周期で頑張りましょうとなり、どんどん治療が先送りになる。

 

また、1回クリニックに行くと治療に2、3時間かかることがありますし、決められた時間に自己注射をするのもなかなか難しいです。自己注射をするにはトイレに行く必要がありますが、たとえば講演会中であれば抜け出すことはできないですし、個人の力だけではどうしようもできないこともあるなと思っています。

 

── 不妊治療のやめどきについても悩む人は多いそうですね。

 

金子さん:夫婦でもよく話をしています。当初は45歳をひとつの区切りにするつもりでした。でも、息子が「きょうだいが欲しい」と言ってくれたこともあり、受精卵が残っているうちは続けたい、0.1%でも可能性があるなら諦めたくないなと。

 

だから、受精卵を使いきったときが治療を辞めるタイミングのひとつなのかもしれません。または経済的な理由で「もう無理だね」となったときも区切りかなと思います。

 

── 夫婦で不妊治療に対する温度差があることもありますが、金子さんご夫婦はいかがですか。

 

金子さん:うちは幸い夫が協力的なので今まで続けて来られたのかなと思っています。金銭面はもちろん、夫の協力がないとできないことですし。夫は前向きな性格だし、私の気持ちに寄り添ってくれるので、「じゃあ、もう1回チャレンジしてみよう」と思いながら今に至ります。今はどちらかというと、私が諦めきれずに続けている部分が大きいのですが、夫はクリニックへの送迎もしてくれますし、私が納得するまでやったらいいよと言ってくれます。

やめどきに悩む妻に夫がかけた「意外な言葉」

金子恵美
48歳の誕生日に、夫が用意した被り物で笑顔溢れる金子さん

── 不妊治療を経験したことで、金子さんの価値観や考え方に影響を及ぼしたことはありますか?

 

金子さん:まず妊娠は当たり前にできるわけではなく、とても奇跡的で尊いことだと改めて実感しました。不妊治療をしないと授かれない人がいる現実も、まずは知ってもらうことが大切かなと思います。

 

また、妊娠に至るまでいろいろな段階があって、タイミング法、人工授精、体外受精とステップが上がっていきますが、どの段階に進むかも個人差がありますし、年齢や体の状態によっては最初から順に行うとも限らないです。高額な費用もかかりますし、企業の理解やサポートがないと厳しいと思うので、そうした制度が充実していくことも大切なのかなと思います。

 

また、私は8年間不妊治療を続けていますが、最近は夫から「不妊治療もいいけれど、自分自身への投資にしてもいいじゃない?」とは言われています。

 

── というと?

 

金子さん:「次の子どもへの時間やお金に投資するぶんを、自分の美容と身体のケアに使ってもいいじゃない?」と言われたんです。そこで、48歳にして初めて美容外科に行ってきました。今までなんとなく誤魔化してきましたが、テレビに映る自分を見て、「ずいぶん歳をとったな」と思っていたんです。

 

何事も経験のつもりで全身脱毛をしてみたら、もう痛くって。「みんなこんな痛い思いをしながらやっているのか」と、社会勉強になりました。まだ、美容の何かを語れるほどの知識はないですが、第一印象は大事なので、もう少し極めてみてもいいかなと思っています。

 

── 綺麗になりながら、視野が広がるのもいいですね。今後はどんなふうに過ごしていきたいですか。

 

金子さん:不妊治療のやめどきはまだ迷っていますが、子育てと仕事を頑張っていきたいです。今はありがたいことにコメンテーターの仕事がたくさんありますが、今後は違う分野でも仕事の幅を広げていきたいです。たとえば講演会では女性の活躍やリーダーシップ論、地方創生など行政的なお話もしていますが、不妊治療についても語り続けていけたらと思います。

 

女性活躍が叫ばれて久しいですが、まだまだ意識改革は遅れていると思います。不妊治療の話も踏まえて、世の中がもう少しスピード感を持って変わるきっかけになるような講演は、引き続きやっていきたいですね。

 

取材・文:松永怜 写真:金子恵美