母の「あなたの声が大好き」の言葉に救われた

── お母さんの接し方や言葉に救われたそうですね。

 

吉木さん:母は、すごく心配してくれて。いつどんなときも、何があったのか強引に聞くようなことはせず、相手の親御さんに連絡するわけでもなく、学校とは連絡をとっていたかもしれないけど、おおごとにしないで、いつも私の気持ちを尊重してくれていました。私が「今日は頑張ったら学校に行けそう」と思えた日には励ましてくれたし、「たぶん、無理なんだろうな」と思った日は、「じゃあ、休もうか」と言ってくれて。母は当時、幼稚園で働いていたんですが、私がしんどそうなときはきっと仕事を休んで対応してくれていたんだろうなと思います。

 

学校を休んだ日は部屋に引きこもりがちになるのを「りさちゃん、リンゴむいたんだけど食べる?」って、私の好きなデザートをリビングで「おいしいね」って一緒に食べてくれて。普通に過ごせるようにしながら、私が自分から話し出そうとするのを辛抱強く待ってくれていました。

 

私が「声が変って言われる」「ぶりっこって言われる」「もう声を出すのもしんどい」ってボロボロ泣きながら話すと、母は言ってくれたんです。「私はあなたの声が大好きだし、日本民謡も歌えるあなたの歌声やあなたの存在自体が、人の役に立てるときが絶対にくるから」って。

 

正直に言うと、当時は死にたいという気持ちもありました。自分を傷つけたい衝動にかられそうになったときは、さすがに母に叱られたんですけど。「命を大切にしなさい。絶対にあなたを必要としてくれる人が未来に現れるから。それまで腐っちゃダメだよ」って。

 

気持ちが不安定になったときは咄嗟に家出しようともしたんですけど、すぐ見つけてくれて「帰るよ」って声をかけて連れ帰ってくれて。長い手紙をくれたんですが、そこにも「大好きだよ」って書いてくれていて、本当に救われました。

 

── 本当に優しいお母さんだと思いました。そして、吉木さんのことを信じていたのかなとも。「この子は大丈夫」と。

 

吉木さん:本当にそうだと思います。私のことを信じてくれていました。私、今、3歳と6歳の子どもがいますが、母親になってから、子どもを信じるってすごく難しいことなんだなぁと実感していて。特に娘が小学1年生になって思うのが、小さな子どもたちの間で、何かあるとつい関与したくなるじゃないですか。「親である私が解決したい」って。

 

でも、これってたぶん、信じていないってことになるのかなって思うようになりました。そう考えると、母は親として強く私を信じてくれていたんだなと思うし、そんな母を尊敬しています。

 

取材・文:たかなしまき 写真:吉木りさ