治験で抗がん剤治療続くなかでの希望の光は

夫や同居している祖母(後列左)、母(同右)と

──「治す手段がない」と告げられていましたが、病気についてその後は。

 

黒岩さん:紹介してもらった大学病院で「がんセンターでなら治験を受けることで、国の認可を受ける前の新しい薬を試すことができるかもしれない」と言われ、最終的にがんセンターに移りました。そこで治験に参加して、これまでに何種類もの抗がん剤を使いました。髪の毛も眉毛もまつげも全部抜けましたし、抗がん剤を打ってから1週間くらいは、吐き気と強い倦怠感で、お手洗いへ行くのもやっとという状態でした。

 

昨年4月には左胸を全摘する手術も受けました。腫瘍が大きくなりすぎて皮膚を突き破るほどになってしまって、痛みで眠れない日が続いていたんです。手術後は腫瘍マーカーも安定し、痛みも治まって楽になりました。今は医療用麻薬も朝晩だけで済み、夜も眠れるようになっています。

 

── つらい治療を乗り越える支えになったのは何でしたか。

 

黒岩さん:がんが発覚しても変わらずそばで支えてくれた夫の存在です。私たちは結婚する前から「将来は子どもがほしいね」と話していたのですが、夫が私と結婚してくれたことで「いつか子どもが持てる日が来るかもしれない」という期待を抱けたことが、私がつらい治療を乗り越えるための、希望のひとつでした。

 

 

抗がん剤治療を続けるなかで、「やっぱり子どもをあきらめられない」と思った黒岩さんは、抗がん剤を一時中断して、不妊治療を受ける決断をします。現在は、妊娠16週。今年の冬に産まれてくる予定の赤ちゃんとの日々を楽しみに待っています。

 

取材・文:林優子 写真:黒岩雅