先天性乏毛症という生まれつき髪の毛の量が少ない疾患を持つ、あまもあみさん。現在はSNSでウィッグを外したありのままの自分を発信するなど前向きなあまもさんですが、以前は結婚後も1年間、夫の前でウィッグを外せなかったそう。しかし、そんなあまもあみさんの不安を解いてくれたのは夫が伝え続けた「かわいい」という言葉でした。
「ウィッグ=ハゲ隠し」だと思っていた

── あまもさんは、生まれつき髪の毛の量が少ない疾患・先天性乏毛症に悩まされてきたそうですね。最近はSNSでウィッグをはずしたありのままの自分を発信されていますが、昔から疾患について前向きにとらえていたのでしょうか?
あまもさん:物心ついたときから、自分は周囲の人より髪が少なく、薄いことには気づいていました。人前では弱音を吐かないようにしていましたが、学生時代はそれが原因でいじめられたことがあったし、髪が気になっておしゃれを楽しむこともなかなかできませんでした。
前向きになれたきっかけのひとつになったのは、高校3年生のときにウィッグをつけたこと。それまでは「ウィッグ=ハゲ隠し」というマイナスの印象だったのですが、実際につけてみたらかわいいなと。そこから髪を気にせずにファッションやヘアアレンジなどのおしゃれを楽しめるようになりました。
── ウィッグをつけたことで気持ちが明るくなったんですね。
あまもさん:おしゃれが楽しめるようになったし、ウィッグのよさを知ることができました。ただ、先天性乏毛症であることは変わらないので、心の奥で「周囲にバレたくない」「なぜ私だけ」など、やはりどこか自信が持てない部分もあったし、気持ちのアップダウンも激しかったと思います。
たとえばシャンプーのCMで髪がキレイな人を見るだけで落ちこんだり、ヘアアレンジを楽しむ友人をうらやんで家から出られなくなったりすることもありました。
── そうだったんですね。そこから、SNSで発信するようになるまでには、さらに転機があったのでしょうか?
あまもさん:私がいちばん前向きになれたきっかけは、夫の存在だと思います。夫にはつき合っている間だけでなく結婚してから1年ほど経つまで、ウィッグを取った姿を見せたことがありませんでした。先天性乏毛症のことは伝えていましたが、ありのままの自分の姿を見せるのはやっぱり怖くて…。
ただ、起きている間だけでなく寝ている間もずっとウィッグをつけているのは、すれてウィッグが劣化する原因にもなるし、なにより頭が蒸れてかゆくなってしまって。肌も弱いので、ずっと続けるのは限界だなと。夫の前では一生ウィッグを被るつもりでいましたが、あるとき覚悟を決めてウィッグを取った姿を見せることにしたんです。
夫が毎日、鏡の前で言い続けた「かわいい」
── それはとても勇気がいる決断だったと思いますが、旦那さんのリアクションはいかがでしたか?
あまもさん:私の予想に反して、夫はウィッグを取った私の姿を見て「かわいい」と言ってくれました。ただ、そう言ってくれても、私はウィッグを外した自分の姿が全然好きではありませんでした。相変わらず自分の姿を見てくよくよしてしまう日もあれば、落ちこんでしまう日もあって。それでも夫は私を鏡の前に連れて行って「かわいい」と言ってくれるんです。毎日のように諦めずに鏡の前に連れて行って「かわいい」「かわいい」と。
── とても素敵な旦那さんですね。
あまもさん:そうやって毎日言われているうちに、私もいつしか「この頭もかわいいかもしれない」と思えるようになっていきました。それで、少しずつですが「自分の個性的な髪もいいかもしれない」と、自分のことを好きになって、自信が持てるようになっていったと思います。繰り返し伝えることは大切だと、身にしみて実感しましたね。
私がコンプレックスだと思っていることを、夫は魅力としてとらえてくれたことが本当に嬉しかったです。今では「ウィッグがないほうがかわいい」と言ってくれるので、夫の前では本音や弱音を吐けるようになりました。
── 旦那さんの言葉や行動があまもさんを変えてくれたんですね。
あまもさん:夫はすごくポジティブな人。SNSの発信を始めたのも、夫の言葉がきっかけでした。
実は以前から私と同じようにコンプレックスを持っている人、誰にも言えない悩みを抱えている人のために、なにか発信できたらと考えていました。ただ、「ウィッグを被っている姿しか知らない友人にSNSを見られるのが怖い」「批判的な意見が来たらどうしよう」と考え勇気が出ませんでした。
すると夫が「あみちゃんはありのままの姿が素敵だから、飾らずに伝えればいいと思う」と。それまで私自身、自分はかわいそうな人間だと思っていた部分がありました。でも、私はかわいそうではないし、つらいこともあったけれど、私はウィッグをつけたことでおしゃれを楽しめて、夫と出会ったことで前向きになれた。だから、今悩んでいる人がいてもきっと大丈夫だということを、たくさんの人に伝えることにしました。