「1対SASUKE」が生む特別な絆

──「ライバル」でありながら、お互いを全力で応援し合える関係性は素敵ですね。
橋本さん:一般的なスポーツは「相手に勝つ」という構図ですが、SASUKEは少し違うんです。ステージに立つときはひとりきりで挑む孤独な競技ですが、プレイヤー全員の感覚としては「1対SASUKE」。全員が巨大な競技に立ち向かう同志なんです。
だからこそ、新エリアの攻略法をみんなで知恵を出し合って考えます。遠くに住んでいてなかなか会えない仲間とも、LINEやSNSを通じて毎日情報交換をしていますし、トレーニング動画を送り合っては「ここはこうしたほうがいい」とアドバイスし合っています。
── 仲間が本戦で活躍する姿を見るのは、どのような心境ですか?
橋本さん:まだ本戦に出たことがないので、テレビの前や応援席で見守ることしかできません。でも、毎年本番の放送で仲間たちがステージをクリアする姿を見ると、自然と涙が出るくらい嬉しいんです。一緒に練習した仲間として彼らが日々すごい努力を重ねてきたことを知っているから、仲間の成功が自分のことのように嬉しくて。それも、SASUKEの魅力のひとつですね。
── 仲間の活躍を喜ぶいっぽうで、「自分があの場に立てていない」という悔しさとの折り合いは、どのようにつけられているのでしょうか。
橋本さん:正直、やっぱり悔しいです。仲間が本戦で挑戦する姿を見ると、「なぜ自分はあそこにすらいないんだ」と、自分の不甲斐なさを感じます。折り合いをつけるのが難しいときもあります。
でも、だからこそ「取り組みがいがある」と思えるんです。簡単に立てない舞台だからこそ、人生をすべて懸ける価値がある。もし簡単に手が届く夢だったら、18年間もこんなに夢中になっていなかったと思います。
── これからの目標を教えてください。
橋本さん:やっぱり、SASUKEの舞台に出場して結果を出すことです。本番前にコースの動きや安全性を確認するため、実際にエリアを試す「シミュレーター」も務めてきました。「黒虎」の一員として山田勝己さんのもとで積み重ねてきた練習への自負もあります。ファーストステージ、セカンドステージを突破し、サードステージまで進める手応えも感じています。
あとは本番のあの大歓声の中で緊張をコントロールし、18年ぶんの思いに身体が負けないようにするだけ。出場が決まったら、絶対に結果を残してみせます。ずっと支え続けてくれている家族、そして仲間のためにも、今年こそは出場したいですね。
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本戦出場という夢はいまだ叶っていない。それでも橋本さんは、「簡単に届かないからこそ挑戦する価値がある」と言い切る。18年間積み重ねてきた努力と情熱を胸に、その挑戦は今も続いています。
取材・文:大夏えい 写真:橋本拓実