「パパ、いつも頭を下げているのはなんで?」。2016年に起きた夫・宮崎謙介さんの騒動から10年。当時0歳だった今、息子は10歳になり、学校の友達やYouTubeから父の過去を知ったそうです。そのとき、妻であり、母である金子恵美さんが息子に伝えたのは、誤魔化さずに事実と向き合う覚悟でした。
10年前の私の行動は、やっぱり間違っていなかった

── 2016年に第1子を出産されましたが、同時に旦那さんの騒動もニュースになりました。当時、家族が乗り越えられたのはお父さんの存在が大きかったそうですね。
金子さん:夫の報道が出たとき、私と夫と生まれたばかりの子ども、私の両親が私の議員宿舎に集まっていました。夫が世間から壮大なバッシングを受けるなか、何度も私の両親に土下座をしようとしたんです。
父は「謙介さん、頭を下げるのをやめてください。今、一番大切なのは生まれたばかりの子どもの命です。周りで起きていることはいっさい気にしなくていいから、この子の将来、この子の幸せだけを考えましょう」と非常に明確に、早い段階で言ってくれました。父がリーダーシップを発揮して、早々に目標を設定してくれたおかげで、家族が一丸となって乗り越えられたと思っています。
── 金子さんのお母さんや、旦那さんのご両親はいかがでしたか?
金子さん:私が見えるところでは誰も感情的になっていないし、母も普通にしていたと思います。ただ、全国的なニュースになったので、母は地元・新潟に帰ったときは人目が気になって、「銀行やスーパーに行きにくい」とは言っていたかな。夫のご両親は詫びを入れてくださったし、私も取り乱すことはなかったです。それ以上に、夫が命を絶つんじゃないかというくらい憔悴しきっていたので、誰も夫を責めなかったですね。
2回目の報道が出たときは「またか!」と正直思いましたが、今度は気持ちが不安定な方から連絡をいただいて相談に乗り、相手が指定した場所に行ってしまったと。「なぜ人から疑われるような軽率な行動をするんだ!」と言いましたが、2回目は未遂でしたし、最終的に大きな裏切りがないということで、私が金子家に全部説明をしました。
── 当時、金子さんは離婚せず、夫婦生活を続けるという選択をされました。騒動から10年経った今、当時を振り返って改めてどんなことを思いますか?
金子さん:私がとった行動で言えば、間違ってなかったと思います。当時、なぜ私が夫を許したかというと、政治家同士だったので議員としてのつらさやストレスをある程度、理解できたからです。
彼が議員を辞職すると決めたとき「子どもに恥じない生き方をしたい。父親として真っ当な生き方をしたい」と言いましたが、実際にその後は息子と向き合っていて、父親の愛情を感じますし、息子からもリスペクトされているんです。あのとき、息子から父を奪っていたら今の姿は見られなかったと思います。
でも、夫はどう思っているかわかりません。ずっと十字架を背負わされているような気持ちかもしれないけど。
10歳になった息子が知った家族の過去

── 世間から「なぜ許すのか」という声がたくさんあったと思います。ご自身でも「自分は器が大きい」と思いますか?
金子さん:小さいか大きいかで言ったら、少なくとも小さくはないのかもしれません。夫のことだけに限らず、物事にはいろんな見方がある。それが私のベースとしてずっとあるんです。夫への怒りはもちろんありましたが、それ以上に夫がしてくれたこと、夫への感謝もありましたから。
でも正直な話、夫は誰とでもフレンドリーに話をするので、今も疑いの目を向けたくなることはあります。政治家時代よりも自分でビジネスをしている今のほうが拘束も少ないですしね。でも、疑ってもキリがない。自分の思い込みだけで人を見ないようにしています。
── 当時生まれたばかりだったお子さんは10歳になったそうですね。
金子さん:はい。10年前、記者の方から「お子さんがいつかこのことを知ったときに、学校でいじめられたらどうしますか?」と言われたときに、「私はそんなことに負けない子どもに育てます」と宣言しました。実際、そのつもりで育ててきました。でも、今年に入って学校で年上の友達から「お前のパパ、悪いことしたんだよな」って息子が言われたそうなんです。息子もYouTubeで検索をし、夫の謝罪映像を見たようです。「パパ、いつも頭を下げているのはなんで?」と。
10年前にも言ったのですが、「本人が選択できないときに息子の人生を決めたくない。ゆくゆく息子が事実を知ったときに決断しよう」と、これまでずっと思ってきました。なので、息子の話を受けて「そっか。じゃあ、パパが何を悪いことしたか話をするけど」と息子に説明をしたんです。そのうえで「それでもパパと一緒にいたいと思う?」と聞いたら、息子は「いたい」と。「パパとママが一緒にいる家がいい」という本人の言葉を聞いたので、あとはもう家族を守っていきたいと思います。
その都度、息子や家族と向き合っていく
── 当時の騒動を知っても家族で一緒に暮らしたいと言った息子さんですが、10歳という年齢で、実際はどのように受け止めているのでしょうか。
金子さん:完全に理解してはないんじゃないかなと思っています。「女の人とね」みたいな話はしましたが、そういう行為がまだわかっていないような感じもしますしね。「ママじゃない女の人を好きなのはダメだと思う」と言っていたので、「あぁ、好きともまた違うけどね」とちょっと難しかったのかなとは思っていて。ただ、「そのことで政治家辞めたんだよね。辞めるほどのことだったんだよね」という認識はできているのかなと思います。
今後、中学生になっていくともっといろいろなことがわかっていくと思います。今とまた違う理解をする可能性があるでしょう。でも彼が私に何か投げかけてきたときは、その都度、向き合っていこうと思っています。
取材・文:松永怜 写真:金子恵美