2020年1月15日、小泉進次郎環境大臣が、以前から話題となっていた第一子の育児休業を取得すると発表しました。

 

内容は「最も母親の負担が大きいと言われる出産から3ヶ月間のあいだに、公務や危機管理を最優先にしながら分割して2週間程度を育児にあてる」というもの。

 

これに対しては、「ほとんど育休として役に立たない」という声もありますが、子育て世代の女性を中心におおむね賛同する人が多いようです。

 

しかし、一方では批判の声もあがっています。

 

そこで、反対する人の意見をよく聞いてみたところ、現役子育て世代とはそもそもの認識が違うのではないか…?と思う点がいくつか見つかりました。

 

今回は、私たちの周囲の職場や社会に目を向けて「育休」について考えてみるとともに、カン違いしやすい点を整理していきたいと思います。

「育児休業」は休暇やお休みではない

今回の育休宣言に対し「休んでいる場合じゃない」という声もあります。

 

しかし、「育休」という言葉から「休む」というイメージを浮かべてしまう人は、育児に関わった経験が少なく妻が専業主婦だった60代以上の男性に特に多いのではないでしょうか。

 

また未婚の若い世代にも「育休=休み」と受け止めている人が一定数いる印象です。

 

ですが、今回、実際に育児を経験したママ・パパにたずねてみると「育休」を「休み」と感じる人は1人もいませんでした。

 

「2回育休を取っていますが、休みだなんて1回も感じたことはないです!仕事は自分でペース配分を考えて計画通りに進められますが、赤ちゃんの成長スピードはこっちで勝手に決められない。日によって食欲もきげんも違うし、ある日突然段差を昇って転げ落ちるからかたときも目を話せない。洗濯だってごはんづくりだってゴミ出しだって赤ちゃんを横目で見ながらやらなきゃいけない。睡眠不足で、何百日も連続勤務みたいなもんですよ」(Sさん・35歳・3歳児と0歳児のママ)

 

なお、現行の「育児休業法」は企業に雇用されている人が対象であり、衆議院規則に「育児休業」という制度はありません。

 

そのため、メディアによっては「育児休暇」という名称を使っているところもあり、より「個人的に家族とのんびり過ごす時間」のように感じてしまう人が多いのかもしれません。

 

しかし育児は非常にハードな労働であり、育休期間は、未来を支える子どもをこれからの長い年月、愛情を持って育てていくベースとなる大切な時間でもあります。

 

育休を単なる個人の権利の主張のように感じてしまう人は、育休を「休み」ではなく、本業の労働力と時間を、育児という「半公共の労働」に一時的に振り替えたもの…と捉えてみるとしっくりくるのではないかと思います。