本物と見紛うようなミニチュア作品を制作し、発信し続ける田中智さん。SNSでの投稿、そして反響は、田中さんの制作活動にどのような影響を与えているのでしょうか。「ものを作るって、すごく前向きなことなんで」と語る田中さんの、ものづくりへの想いについて伺いました。

 

「お弁当」のミニチュア
田中さんが作るのは、たった「12分の1」のミニチュアの世界

割烹の料理人にもらったアドバイス

── InstagramやTwitterで投稿されている作品写真には、日々たくさんの反響が集まっていますよね。ご覧になった方の感想で、印象に残っているものはありますか?

 

田中さん:たくさんありますが、なかでもよく覚えているのが「サンマの塩焼き」を作って投稿したときのことでした。割烹料理店の方が「サンマは、もうちょっと塩が少ないほうが、おいしそうに見えるよ」って、塩加減についてコメントしてくださったんです(笑)。

 

料理のプロがおっしゃるんだからそうなんだろうと思い、実際にちょっと塩を減らして作り直してみました。「ミニチュア」ではなく「魚」としてコメントがいただけたようで嬉しかったですし、とても納得のいくアドバイスだったんですよ。

 

「サンマの塩焼き」のミニチュア
料理のプロから塩加減のアドバイスをもらった「サンマの塩焼き」のミニチュア

── あまりにも本物に近かったからなんでしょうね。

 

田中さん:やっぱり、その道のプロの方に褒めていただいたりコメントをいただいたりするのは、すごくありがたいものです。ハンバーガーを作ったとしたら、ハンバーガーを作る仕事をされている方に「うちも、こういう作り方してるわ」と言っていただけたりすると、作品がリアルだということを証明してもらったような気持ちにもなりますし。

 

あとは、「今日の晩御飯これにします」なんて言ってもらえるとき。「リアル」「細かい」と言ってもらうよりも、もう本物の食べものとしての働きをしたんだな、と感じるような感想をいただくと、ちょっと感激してしまいます。

 

── 寄せられる感想は、田中さんの創作の活力になっていますか?

 

田中さん:もちろんです。「おお、作ってよかったな」とか「こだわってよかったな」と思う瞬間ですね。

 

ぼくの場合、仕事も趣味もミニチュアなので「仕事終わりに好きなことをする」「リフレッシュをする」という感覚を持っていません。特別なお楽しみを設けなくても、SNSでいただいた反響や、作品を販売したときにレビューをつけてもらったり、メールをいただいたりするだけでも、本当に疲れは吹っ飛んでしまうんです。それぐらい、ぼくにとっては嬉しいものですね。