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「東大生の8割は、子どもの頃、ダイニングテーブルで勉強していた」といった話を、テレビ番組や雑誌で見かけたことはありませんか? もちろん、ダイニングテーブルで勉強しさえすれば東大に入れるという訳ではありませんが、最近の家庭学習シーンは、ママたちの小学生時代のような「子供部屋で学習机に向かう=勉強」というイメージとはかなり変わってきていることは事実のようです。 今回は、今時の子どもの「リビング・ダイニング学習」事情について調べてみたいと思います。

 

みんなはどこを勉強スペースにしてる?


リビング・ダイニング学習が主流になりつつあるといっても、学習机を買わないのではなく、現在でも小学校入学のタイミングに合わせて学習机を準備する家庭が8割以上だといわれています。

 

しかし、東京ガス(※参考)の調査によれば、普段の宿題や家庭学習を部屋で一人でする子は小学生では18.3%だそう。そして実に77.4%がリビングやダイニングで宿題をしていることが分かります。中学受験をする子の場合は、始めから学習机をリビングに置いている家庭もあるよう。 中学校になっても、47.6%とおよそ半数がリビング学習です。ただ、受験や定期テストなど特定の時期になると、個室で勉強する子の割合が増えるのが中学生からの傾向です。

 

リビング・ダイニング学習が増えたのは、とくに都市部ではマンションに住むファミリーが多く、限られた住宅面積の中でもリビングは広く設定する家が多いため、大き目のテーブルを置いてそこで宿題をやることが増えているというのが理由のひとつ。 また近年では、出される宿題の内容が漢字ドリルなどひたすら書くだけのものから「理由」や「自分の意見」といった考える力が必要なタイプに変わってきており、ママやパパに相談する機会が増えた…などの理由も考えられます。

リビング・ダイニングで勉強するメリットとデメリット


それでは、リビング・ダイニング学習の良い点や、反対に気をつけるべき点などはあるのでしょうか?

 

<メリット>

困った時にすぐサポートできる

 

子どもがリビングで宿題や家庭学習をしている家庭の保護者に、どういう点に満足していますか?という問いには、「子どもがつまづいたり分からなくて困った時に見てあげられる」という答えが多く寄せられました。

 

広いスペース

 

また、学習机はたいてい棚がついており、鉛筆削りや辞書などを置いてしまうとかなり狭くなるのに対し、ダイニングテーブルはスペースが十分にあり、プリント・資料・文房具などを広げて勉強がしやすい点もメリットといえます。 食事前には強制的に片付けないといけないので、学習机のようにモノが置きっぱなしにならないのも良いですね。

<デメリット>

子どもがリビングで学習する時に困っている点としては、次のようなものがありました。

勉強の邪魔にならないよう気を使うことがある

 

多少の話し声や生活音などは、むしろリラックスできたり、周りの環境に左右されずに勉強に集中する力が身に付くなど、プラス面も多いのですが、大きな音でテレビを見たり音楽をかけたりするとさすがに気が散ってしまいます。 特に、テレビCMは人間の関心を引くように計算し尽くされているので、勉強中に流すのは避けたいもの。  下の子のお友だちや近所の人、ママ友が遊びに来た時などにも、勉強している子のすぐ横でお茶しながらおしゃべり…がしにくいのも少し困りますね。

椅子や照明が勉強に向いていない場合がある

 

ダイニングセットの椅子は、4脚同じものがセットになっているのが普通です。 特に低学年の間は、椅子とテーブルの高さが体に合わないと腕や肩が疲れますし、足がブラブラしているのも勉強に集中できない原因となります。 せっかくダイニングテーブルで勉強しても効果が半減という可能性もありますので、専用のクッションで座面の高さを調整したり、足置き台を設置するなどの工夫をしましょう。 また、ダウンライトや間接照明などは、ゆったりくつろぐには最適でも、勉強には手元が暗くなり向かない場合もあります。

リビング学習で心がけたいこと


リビング・ダイニングなら「子どもがちゃんと勉強しているかどうかが分かる」というのも、よくママが口にすることです。 ただ、これは、「困っている時に見てあげられる」のとは似て非なるもの。要するに、「サボらないかどうか見張っていられる」ということですよね。 ある調査では、リビング学習のメリットを、上記のように「サボらないように目を配っていられる」と答えた保護者の子どもたちと、「勉強をサポートできる」と答えた保護者の子どもたちでは、後者のグループの方がランクの高い高校・大学に進学した…という結果が出ているそうです。

 

また、リビング学習で良い効果があったと感じているママ・パパに聞いてみると、目につくところに図鑑や地球儀・地図・パズルなどをさりげなく置いていたとのこと。リビングを、勉強場所というよりも、興味関心を引き出す場と考えているのですね。  子どもが勉強している時は、ママやパパも本や新聞を読むなど、なるべく一緒に勉強するつもりでいる、という声も。

勉強机の用意はその子にあったタイミングで


私の子どもたちも、小学校入学に合わせて学習机を部屋に置きました。一台はなんと私が小学生時代に使っていたものをリメイクしたんですよ!

 

しかし、結局小学校の間はリビングに宿題を持ってきてやることがほとんどでした。 本格的に机に向かったのは中学3年生の時、高校受験のために、毎週日曜に過去問題を時間割通りに解いていく…という練習を始めた頃から。

 

それまでの間、子供部屋が狭くなってしまったので、学習机の設置はいっそ中学入学時でも良かったくらいでした。

 

リビング学習にはメリットもデメリットもありますが、固定観念にとらわれず、その子に合った形で取り組めるといいですね。

取材・文/高谷みえこ

参考:東京ガス「ウチコト」【実態調査:子どもの勉強場所】小学生・中学生・高校生はどこで勉強してる? http://tg-uchi.jp/topics/5083