shutterstock_358377149

仕事を休み、開始よりずいぶん早く会場に行って整理券をもらい、上の子や下の子の面倒も見ながらの長時間の乳幼児健診。

 

正直、身長・体重・健康チェックだけならわざわざ平日の昼間に行かなくてもいいのでは?と思いながらも、子どもの順調な成長のためにと出向いているママが大部分だと思います。

 

ところが、子どもとママのためのはずの健診の場で、保健師さんなどから言われた言葉に深く傷つき「もう健診に行きたくない」と思ってしまう人が後を絶たないとか!

 

今回は、そんな「健診行きたくない」ママの体験談と本音を集めました。

目次

乳幼児健診はダメ出しする場!?


Sさん(28歳・8か月の男の子のママ)は、自治体の4か月健診でこんな経験をしました。

 

「当時、息子の夜泣きがピークで、母乳が足りないからよく目を覚まして泣くのかな…と不安になっていました。ちょうど健診だから相談できたらいいなと思い、ベテラン風の保健師さんだったのですがるような気持ちで“悩んでます”と言ったのですが…別室で話をしてくれたのはいいのですが、その人の育児論を延々聞かされ、しかも内容は、母親がイライラすると絶対泣き止まないとか、愛情があれば夜泣きもおさまるというもので、私が愛情不足だという気持ちにさせられて余計に落ち込みました」

 

Yさん(27歳・2歳の男の子のママ)は、1歳半健診でこんな言葉を言われ、とても嫌な思いをしたそうです。

 

「息子は1歳半の時点ではほとんど話せなかったのですが、こちらの話は理解しているし、絵本などを見ながら“クマさんどこかな?”と聞くとちゃんと指差しもするので、ただ言葉が出るのがゆっくりなだけだと思って育てていました。でも健診では、“この年齢でぜんぜん話せないのは普通じゃないですよ、ちゃんと話しかけてあげてる?”“他に家族がいるともう少しいいんですけどね”等と言われました。ちゃんと家では話しかけているつもりですが、そう言われると、私がシングルマザーであることが原因だと言われているようで落ち込みました…。今息子は2歳ですが、順調に話せるようになっています。心配が増すような健診だったら、むしろ行かない方が精神衛生上良かったと思います」

 

shutterstock_1047077098

 

同じく1歳半健診での経験談です。

 

「娘は人見知りが強いんです。ワンワンはどれ?と聞かれたのですが、ふだん、犬=ワンワンと呼んでいないため該当するものが分らず、指差しができませんでした。すると“え?ワンワン分からない?やだ、どうしましょう”と大声で言われてしまって…。次の、ブーブーはどれ?という質問では、分かっていたのに怯えて固まってしまいました。いつもは分かるんです、と言ったのですが、“いや、ちょっと心配ですね~”と聞く耳を持ってもらえず…。マニュアルと違うと即おかしい!という考え方なのでしょうか」(Oさん・31歳・1歳11ヶ月の女の子のママ)

成長曲線から外れていたら異常?


身長や体重が小さい(大きい)ことで何か言われそうで、健診がユウウツ…というママも多いかもしれません。

 

母子手帳に必ず記載されている「成長曲線」は、月齢ごとに身長と体重の伸びがグラフになっていて、一定の範囲に色がついていますね。

 

これは、100人の同じ月齢の赤ちゃんの身体計測をしたら、3人目から97人目の子が、グラフの色のついた部分に入るということを表しています。

 

10万人の赤ちゃんがいれば、グラフから外れる子は6000人もいる計算になりますが、その子たちがみんな異常という意味ではありません。

 

ただ、過去の統計を取ってみると、グラフ内の身長体重の赤ちゃんよりも、グラフ外の赤ちゃんの方が、先天性の病気やトラブルのある確率が高かったため、このグラフに入っていない場合は少し注意して、生まれつき体が小さい(大きい)だけなのか、何か他に原因があるのかを見極めた方が安心、ということ。

 

例えば、まれではありますが、内臓に疾患があり、「ミルクを飲んでいる量のわりには栄養が取り込めず、体重が増えない」というケースも発見されます。

 

反対に、生まれつき小柄なだけで、その子なりに成長している場合は、むやみに体重を増やす必要はないのですが、残念ながら、とにかく成長曲線内におさめることを目的と考えてしまう保健師さんも中にはいるようです。

 

「小さいから母乳はやめてミルクにしなさい」「ちゃんと食べさせてる?」などと言われて、深く傷ついてしまうこともありますが、本当は身長体重そのものが問題なのではなく、「赤ちゃんのためのひとつの目安」と覚えておいてくださいね。

乳幼児健診に行かないとどうなる?


乳幼児健診には、任意で行うものと、自治体から案内があって無料で受けられるものがあります。

 

時期や回数は自治体によって異なりますが、1歳半健診と3歳児検診は法律により市町村に実施義務が定められています。

 

保護者には、法定健診を受けさせる「努力」義務があり、行かなかったことが理由で罰せられることはありません。

 

ただ、健診のそもそもの目的は、赤ちゃんや子どもに何か対応が必要なことが見つかれば、早く専門家へつなぐというもの。健診に行った方が安心なのは言うまでもありません。

 

無断で健診に行かなかった場合、自治体からは電話で受診をすすめたり、訪問したりといった働きかけがあるのが普通です。

 

「1回だけでなく、何回も何回も電話や訪問があった」というママの声も聞きますが、これには、赤ちゃんの成長発達やママの心身の健康の手助けをするという目的のほかに、万が一の虐待やネグレクト(育児放棄)などを未然に防ぎたいという意味もあります。

 

健診に行かない正当な理由があったとしても、行政側からは見分けがつきませんので、なぜ健診に来られないのか、かなり詳しく聞かれるはず。

 

実際に自治体の健診を受けなかった理由としては、「子どもに生まれつきの持病があり、毎月通院しているので異常があればそこで分かる」「自費で歯科検診に通わせている」「どうしても業務上休めないので、小児科の夜診療時間で受診する」などがあります。

 

自治体によっては、各自で小児科に行き健診を受けられる制度もあるので、お住まいの自治体ではどうなっているのか確認しておきましょう。

「乳幼児健診に行きたくないママの本音」まとめ


乳幼児健診で、帰り道に泣いてしまうほど辛い思いをするママがいる一方、病院に行くほどではないけどずっと気になっていたことについて、親身になってくれる保健師さんに話をして救われたという人がたくさんいるのも事実です。

 

発達面で何か指摘された場合も、そのこと自体は悪いことではなく、「何もなくてよかった」「早く分かってよかった」と先輩ママたちはみんな思っています。

 

大切なのはやはり、ママの気持ちを考えた対応をしてくれるか、そうではないかという部分だと感じました。

 

万が一心ない言葉をかけられた場合は、あとからでも良いですし、パパなどに頼んでも良いので、改善してほしいと自治体へ連絡を入れる方法もあります。

 

少しでも健診で嫌な思いをするママが減るよう願っています。

 

文/高谷みえこ

参考:厚生労働省 平成27年度「母子保健関連施策/乳幼児健康診査(1歳6か月児健診・3歳児健診)について」