浴衣は母子で着るより、パパを含む家族全員で着ると楽しい!

もはや夏祭りや花火大会等、サマーイベントのユニフォーム的な存在になりつつある“浴衣”ですが、よくよく観察すると、デート中と思われる女性連れの若い男性達は浴衣の着用率が高いのに、家族連れパパは洋服率が高い様な…。なんだかちょっともったいない!と思う私です。 我が家は夏祭りに家族で出かけるときは、息子は甚平で、父母は浴衣という組み合わせが多いのですが、“夏祭りに家族皆で和装”というのはとても写真映えがして、お祭りの特別感が倍になる感じがしています。 中にはパパさんが「着るのが暑そう・面倒くさい」「夏の一時期だけの為に買うのはもったいない」「そもそも選び方がわからない」等、頭から敬遠してしまっているご家庭もあるかもしれません。 そこで今回は、私の地元八王子市でスタイリッシュな着物スタイルを提案されている『坂本呉服店』の店長、坂本直美さんに“パパさん達が男前になれる浴衣姿”について、アドバイスとコーディネート提案をお願いしました。

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写真:小粋なブティックの様な坂本呉服店の外観

 

仕立て上がり浴衣のお勧めコーディネート

まずはパパさん達の“浴衣デビュー”にお勧めのコーディネートを2タイプ程坂本店長にアレンジして頂きました。第一弾は、濃色浴衣のコーディネートです。

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帯のみ白系の色味を合わせ、小物もモノトーン系でまとめると、とてもシックなコーディネートになりますね。 華やかな浴衣を着た娘さんや奥様と並んで歩いてもいい感じだと思います!

 

第二弾は、白系浴衣のコーディネートです。同じ浴衣でも、帯を変えるだけで雰囲気も変わります。

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白系浴衣は花火大会等、夜のお出かけに映えそうですね! 坂本店長「黒系、白・アイボリー系等のベーシックな色味のものは、小物次第で色々な着こなしが出来ます。入門編にはこういったベーシックなものから着るのをお勧めします。 また帯ですが、やはり角帯がきりりと締められてお勧めですが、帯結びに慣れていない方であれば兵児帯からスタートするのも良いと思います。兵児帯だと角帯に比べて見た目はリラックス感が出ますね。」 ご参考までに、私の主人は博多織の角帯が締めやすいとの事です。

 

反物から誂える、オンリーワン浴衣の醍醐味

「どうしても既製品だとサイズが合わない」「気に入った柄や色が規制品には無い…」という場合には、仕立ての時間と費用が若干かかりますが、反物から誂えるという方法もあります。(洋服で言えばオーダーメイド) 坂本店長「最近は女物として作られている反物も幅広のサイズが多いし、ユニセックスな柄や色のものも多いので、そういう反物を選んで浴衣を誂える男性の方もいらっしゃいます。うちの店にも男女どちらにも似合う反物が結構ありますので、お見せしましょう」と、幾つか反物を選んで頂きました。

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※写真左より「左側から綿コーマ、綿麻、小千谷縮のユニセックスな柄の反物」、「綿コーマ反物の柄アップ」

 

確かに、反物の方が色・柄・素材の選択肢はぐっと増えますし、誂えの浴衣は個人の寸法に合わせて仕立てるので、着姿も体にフィットして格好良いです。費用と時間に余裕があれば、誂えの浴衣も素敵かと思います。(私の主人は身長がそんなに高くない割に肩幅が広く、既製品がいまいちしっくりこなくて、浴衣は誂えました。) 坂本店長「確かに浴衣は着る時期は限定されています。でも夏まつりや花火大会はもちろん、外国人の方達に接する機会に着てみたり、旅行先で着てみたりと、着る機会はいくらでも増やせます。そして、ベーシックな柄行きの浴衣なら流行に左右されず長年着る事も出来ます。そう考えると、浴衣のコストパフォーマンスは高いのではないでしょうか。」 これは私自身の経験ですが、私の亡き父はサラリーマン兼尺八の師範でしたが、普段は自宅では適当な格好(夏だとランニングにステテコ等)で過ごしていて、演奏会の時はバシッと黒紋付袴姿に変身しました(笑)。このギャップが鮮烈で、父の黒紋付袴姿が子供時代の記憶としてはっきりと残っています。たまにしか着なかった和服姿なのに、鮮明に覚えているのですね…。たぶん子供心に父が格好良かったからでしょう(笑)。 この様な経験から、特に娘さんがいるご家庭では、パパさんに是非素敵な浴衣をお召し頂いて、「格好いい浴衣姿のパパ」と一緒に過ごす夏の思い出を、沢山作ってあげて欲しいなと思います。

 

素材選びと着方で暑さは軽減できる!

「浴衣を着ると暑い!」と言う声もありますね。坂本店長に暑さを軽減する着こなしについて伺ってみました。  坂本店長「男物の浴衣も女物と同様、『綿コーマ(平坦な織の綿生地)、綿麻、麻、小千谷縮』等、様々な素材がありますが、暑がりの方には綿麻の浴衣をお勧めします。着付けについては、肌襦袢を着てステテコを履き、その上から浴衣を着るのが基本的な着方ですが、私はユニクロの機能性下着“エアリズム”の半そでTシャツ等を肌襦袢代わりに着るのもお勧めします。」 この様に、工夫次第で浴衣を涼しく着こなす事も出来ますし、私の主人の様に「浴衣着用時は必ず扇子を携帯してこまめに扇ぐ」「冷感スプレー・ティッシュ等のクールダウンアイテムを活用」等の小技を使うのも良いかと思います。浴衣を何回か着ていく過程で、涼しく着る工夫やコツを身に付けていく方は多いです。まずは暑さの緩む夕方や夜から着慣らしてみるのはいかがでしょうか。

 

気になる着付けや帯結びについて

「女物の浴衣はともかく、男物の浴衣の着付けや帯結びはよくわからない…」という方もいらっしゃると思います。ご安心ください。男浴衣は女浴衣より着付けも帯結びも簡単です。 男浴衣は女浴衣と違い“おはしょり”がありませんので、『襟元を右前に形良く合わせる』『伊達締めを腰骨の位置できりりと結ぶ』が出来れば第一段階はクリアです。 難関の帯結びも『片ばさみ』等の簡単な結び方なら初心者でも難易度が低いとの事。今は動画サイトで着物の着方から帯結びの方法まで様々な動画が公開されていますので、こういうものを利用して着付ける練習をすると良いかと思います。(どうしても結べない!様な場合は、胴に巻くだけの作り帯を投入する方法もあります…) 場合によっては、ママさんが男浴衣の着付けや帯結びを覚えてパパさんに着せてあげるのも良いですね♪(パパさんが思わずときめいてしまうかも?!) 個人的な感想ですが、小太りタイプの男性(私の主人もこのタイプ)は、結構浴衣や着物を着るとスリムに見える視覚的な効果があると思います。実際、主人は浴衣を着ていると『まだ若いのに着こなしが素敵ですね』と、中高年のマダム達が褒めてくれることが多いのだとか。そして褒められると結構気分が良いのだそうです(笑)。 これから日本も本格的なグローバル社会を迎える時代に入っていくと思いますが、経験上、日本人の国際交流アイテムとして着物や浴衣は絶大な威力がありますので、男性も着慣れておいて損はないと思います。そして浴衣に着慣れたら、お正月やお祝い事の時に着物を着てみるのも良いかもしれませんね。


是非とも、ご家族の皆さんで“パパの浴衣デビュー”を応援してあげてくださいね♪

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※写真:息子と主人の和装ツーショット。小学生男子は激しく動き回るので浴衣より甚平がお勧めです。

 

 

CANTOママライター/トヤマチエコ