鏡を見たらたるみが気になった
マスクをとるといつの間にかシワが増えたと実感することも

帰宅後に洗面台でマスクを外したとき、鏡をふと覗くと「なんだか老けた気がする」「ほうれい線?」と感じたことはありませんか。「マスク生活や外出自粛などは、ほうれい線に影響を与えています」と話すのは、皮膚科専門医の土屋佳奈先生。その意外な理由や自宅でできる対策を紹介します。

口を動かさないと、ますます“たるみ”が…

ほうれい線は頬のたるみによって徐々に刻まれていくのだと、土屋先生は説明します。

 

「頬がたるむ原因のひとつとして、表情筋の低下が挙げられます。口角から耳にかけて存在する大頬骨筋(だいきょうこつきん)と、上唇の上部から目尻にかけて存在する小頬骨筋(しょうきょうこつきん)の2つが、頬の皮膚を支えています」

 

これらの表情筋は、口まわりを動かさないと衰えるそうです。

 

「支えられていた頬の皮膚が緩むと、重力に逆らえなくなり、徐々に垂れていきます。この皮膚が垂れると、頬と口元の境界線であるほうれい線のシワがより深く見えるようになるのです」

表情筋はマスク生活でも低下している可能性が

マスクをつけていると、顔の筋肉が動かしづらいため、モゴモゴと口を小さく動かして会話をしてしまうケースも多いでしょう。

 

「そうした習慣は、表情筋がさらに衰える原因につながります。実際に、“マスク生活でほうれい線が気になる”と、相談に来る患者さんは増えました。また、外出が減って、家族以外との会話が少なくなりましたよね?喋る機会の減少も、口まわりの表情筋の衰えを促しています」

11分!表情筋を鍛える顔トレでほうれい線ケア

ほうれい線ケアに効く顔トレ
顔トレはやりすぎにも注意が必要

それでは、マスク生活の中で表情筋の低下を防ぐ対策はないのでしょうか?土屋先生に伺ったところ、次のような対策を教えてもらいました。

 

「表情筋を鍛える顔トレをおすすめします。割り箸さえがあれば、自宅で簡単にできますよ」

 

1. 割り箸を横にした状態でくわえて、「イ」を発音するときの口の形にする。


2. そのまま口角をグイッと上げて、10秒間キープする。

 

これを朝と夜3セットずつを目安に行いましょう。ただし、やりすぎは厳禁。「ひんぱんに行うとほかの表情筋に力が入り、目元などに深いシワができてしまいます」と土屋先生。

コロナ太りも急なダイエットもほうれい線の敵

コロナ禍でほうれい線が深くなる原因は、マスクだけではありません。コロナ太りや在宅ワークにも、老け顔を招く要因が隠れています。

 

「太って顔に脂肪がつくと、その重さでも皮膚は垂れます。また、太った状態から短期間で体重が減少するのもよくありません。急なダイエットでやせても、今度は余った皮膚が垂れてしまうからです。適度な食事と運動を心がけて、急激に増減しないよう体重を管理しましょう」

 

ビデオ会議やチャットなどでパソコンを長時間使っていると、無意識のうちに姿勢が前屈みになるのも、ほうれい線を深くしてしまう原因になるそう。

 

「前屈みな姿勢は、本来緩やかなカーブを描く首の骨をまっすぐな状態にしてしまいます。『ストレートネック』と言われますが、これにより首周りの筋肉が固くなり、首や肩の血行が悪化。顔がむくみやすくなり、たるみにつながります」

 

さらに、ダイニングチェアに座って在宅ワークを行っている人も多いはず。土屋先生がダイニングチェアでの作業も姿勢に関係していると言いました。

 

「オフィスチェアは、座面の高さや背もたれの角度を調整できるため、体の負担を軽減できるように設計されています。しかし、ダイニングチェアはそのような機能がないため、長時間座っていると体に負担がかかります」

 

姿勢の悪化でたるみが生まれたときの対処方法としては、血行改善がおすすめです。土屋先生は、毎日湯船に浸かる習慣を推奨しています。

 

「全身の血行を促進させれば、効率よく顔のむくみをとれます。シャワーだけで済ますのではなく、ゆっくり湯船に浸かる習慣を。入浴後に全身ストレッチをすれば、より効果的です」

 

マスクの下で口をあまり動かさない習慣や、コロナ太り、在宅ワークにおける姿勢の崩れ…。コロナ禍の生活では、ほうれい線が深濃くなる原因がいたるところに潜んでいました。ピンッと張った頬を守るには、これらを意識した予防が大切です。ほうれい線が目立ってくる前に、今回紹介した対策を試してみてくださいね。


PROFILE 土屋佳奈さん

皮膚科専門医。東京医科大学卒業後、東京女子医科大学皮膚科医局に入局。現在は、つちやファミリークリニック浅草院 院長を務める。肌そのものの力を信じ、トラブルのない肌を目指す診療を行っている。http://tsuchiya-family-asakusa.com/ Instagram(@dr.kana_tsuchiya)でも情報を発信。

取材・文/廣瀬茉理 イラスト/かりた