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色やデザインの種類が豊富になり、アパレルブランドとのコラボ商品も展開されているランドセル。そんな影響もあってか、“ラン活”に励むママがふえ、ランドセル商戦は年々早くなっています。しかし、「いつから始めたらいいの?」「なにをポイントに選べばいい?」など、わからないこともたくさんあるのも事実。そこで、今回はランドセルのプロである伊勢丹新宿店のスタッフさんに、ランドセル選びのポイントを教えてもらいました。

 

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▲今回お話うかがったのは、三越伊勢丹 新宿子供営業部 スクールライフ バイヤーの栃谷孟亜さん。子供靴・玩具担当などを経て、2012年からランドセルのバイヤーを務められている、まさにランドセルのプロ。現在は、三越伊勢丹オリジナルランドセルの企画開発にも携わっています。

年々早くなる“ラン活”
じつは10
年前から始まっていた


最近はランドセルを購入する時期が年々早まり、“ラン活”という言葉まで出てきています。そもそも、この“ラン活”っていつごろ始まったものなんですか?

 

栃谷さん:ランドセルの購入時期が早まったのは、ここ10年くらいではないでしょうか。カラーやデザインのバリエーションが急激にふえ、お目当てのランドセルが売り切れるという現象が起こったのです。それまでの購入のピークは9月ごろだったのですが、しだいに購入のタイミングが早まっていきました。数年前はお盆がピークと言われた時期が2〜3年続いたのですが、これは先取りしたいメーカー側と、親子3世代でランドセルを選びたいお客様との思いが一致したことが背景にあります。しかし、その後もどんどん購入時期が早まって、現在ではゴールデンウィークが商戦と言われるほどに。このペースでいくと来年、再来年はもっと早くなっていくことも予想されます。

[購入のタイミング]
6月から“ラン活”を始めても、まだ間に合う!


えー!そんなに早いんですね。じゃあ2019年入学向けのランドセルって、今からじゃもう間に合わないんですか…?

 

栃谷さん:本当は3〜5月までのあいだに情報収集をしておくことが理想です。今は、色やデザインが豊富にラインナップされているので、ランドセルメーカーや販売店のカタログ、ホームページを見て、事前に目星をつけておきましょう。

 

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販売店やメーカーによってさまざまですが、今年は4月から販売を開始するところが多いと聞きます。伊勢丹新宿店では、6月6日(水)から販売がスタートしますが、カタログは3月末から配布。一部の商品ですが、ランドセルを実際に手に取って吟味していただく、下準備のための期間を4月28日から設けております。サイズや素材、細やかな仕様の違いをチェックしにぜひお越しください。

[流行のカラー]
男の子は今も変わらず黒、女の子はキャメルの人気が上昇


ちなみに、色のバリエーションがふえたぶん、親と子どもで欲しいランドセルで意見がわかれる…という話を聞きます。親の世代は黒と赤のランドセルしか知らない人も多いので、よけいにカラーに抵抗があるのかもしれませんが最近、流行りの色・人気の色などはあるんですか?

 

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栃谷さん:男の子の場合は、この年齢だとランドセル自体にあまり興味がないせいか、今でも黒を選ばれる方が圧倒的に多いですよ。でも、背面の色やステッチのコンビネーションで色に変化をつけたデザインがふえてきています。女の子の場合は、定番の赤やピンク、ラベンダー、ブラウンなど、5〜6色に人気が分散している状態です。昨年からキャメルの人気が急上昇しているので、選ぶときの参考にしてください。

[人気の素材]
軽さと装飾のしやすさでクラリーノが一歩リード


次に気になるのが、素材ですよね。人工皮革や牛革など、急にいわれても何を選べばいいのかわからないんです。軽さや丈夫さなど、どんな違いがあるんですか?

 

栃谷さん:ランドセルは、人工皮革のクラリーノ・牛革・コードバン(馬革)の3種類で展開されています。クラリーノは、軽くて手入れがしやすいのが特長。女の子や通学距離が長いお子さんに人気があります。牛革は耐久性にすぐれており、活発な男の子におすすめです。コードバンは馬のお尻の革のことで、希少価値が高い素材。牛革よりも壊れにくく傷に強いのですが、少し重たいのがデメリットになります。 伊勢丹新宿店では、クラリーノの人気が全体の7割を占めています。牛革のランドセルと比べて、約200g軽いのが大きな理由といえるでしょう。また、細かな刺繍がしやすいのもクラリーノの利点といえるため、女の子からは絶大の人気を誇っているのです。

 

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▲人工皮革のクラリーノは細かな装飾が施しやすい

[ランドセルのサイズ」
A4ファイルが入るのが、あたりまえの時代に


そういえば、学校によっては指定のプリントやファイルが入らない可能性もあると聞きました。ただ、大きすぎると子どもにかかる負担もあると思いますし…。どのようなサイズを選べばいいのでしょうか?

 

栃谷さん:ここ2〜3年は「A4フラットファイル入る・入らない問題」がランドセルを選ぶときの大きなポイントになっています。ご兄弟がいらっしゃるご家庭は、上のお子様のご意見を聞いてみるのもひとつの手。近所の先輩ママに相談したり、学校にお問い合わせをしてみるのもいいかと思います。

 

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“大は小を兼ねる”ということもあってか、実際に大きなサイズのランドセルを購入される方がふえています。しかし、ランドセルが大きくなることでお子さんにかかる負担がふえてしまうのも事実。弊社のオリジナルランドセル『ロイスター』は、製造工程を工夫して、角に縫い代がない仕上げをしています。そのため、見た目はコンパクトなまま、A4フラットファイルが入る内容量に。ロッカーなどに収納する際にも、すっきり収まります。

 

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▲右の黒いランドセルが、角に縫い代がない仕上げを施したもの。左と比較しても、外見のサイズはそのままで、内容量はたっぷりある。

[そのほかの注意点]
6年後を考え、背カンは可動式のものに


6年間毎日使うものだからこそ、今はよくても、子どもが成長するにつれて、フィット感がなくなるんじゃないかと心配にもなります。そんな買い物したことないし…。お店に見に行ったときに、ほかに注意して見ておくことってありますか?

 

栃谷さん:肩ベルトと本体をつなぐ背カンは、可動式のタイプを選ぶと安心です。左右の肩ベルトの角度が自由に変わって、重さの感じ方や背負い心地が変わってきます。実際にいろいろなタイプを背負ってみて、お子さんの体に合うものを選んでみましょう。

 

▲可動式の背カンなら、しっかりとフィットして背中にかかる負担を軽減。子どもの成長に合わせて、その都度適応できる。肩ベルトの付け根の位置が変えられる特殊な金具は、縦方向だけでなく、横方向の調節も可能に。

 

取材・文/三上順司 撮影/田中利幸