お子さんは交通ルールを守っていますか。信号の「赤は止まれ」「青は進んでもよし」をわが子が覚えたのはいつだったでしょう。

 

今回は、身近なルール「信号」をテーマにした一冊。

 

絵本マニア甘木サカヱが、おすすめの絵本について熱量たっぷりで語ります。

 

ルールは守るだけじゃない!パンクに楽しめ!信号機絵本 

絵本『しんごうきピコリ』と猫

『しんごうきピコリ』 

ザ・キャビンカンパニー:作・絵 

あかね書房 1300円(税別)

 

親が子に教えたい大切なこと…「交通ルールを守って、安全に道路をわたりましょう」…はい当たり前ですね。安全第一、命あってのものだね、生きてるだけで丸儲けってやつです。

 

しかしこの絵本『しんごうきピコリ』、そんな親の気持ちに反して、登場する信号機がなかなかパンキッシュ。

 

赤青黄の3色に加えて、どんどん色が増えていきます。ピンク、黄緑、オレンジ…?

 

そんなカラフルな信号に従って、車は逆立ちしたり、ジャンプしたり、ジュースを飲んだり!ついにはヤケクソのような七色のレインボー信号!車たちはいったいどうなってしまうのか…?

 

次々に繰り出される奇想天外な信号に、子どもたちは大興奮です。

 

思えば、信号機というのは、子どもにとって─特に乗り物が大好きな子にとっては、特別な存在です。

 

憧れの自動車、かっこいいバイクから大きなトラックまで、灯りの点滅ひとつで思うがままに動かすことができる信号機は、子どもから見るときっと、スーパーヒーロー的な存在。

 

信号の話となると、私も含め、大人はつい「交通ルールを守りましょう」と口をすっぱくして言い聞かせてしまいます。しかしこの絵本、「信号ってすごいよね!かっこいいよね!」という共感からスタートし、一緒に想像の翼を広げ、信号というルールそのものを楽しめる─そんなすごい作品なんです!信号機絵本(私がたった今勝手に作ったジャンルです)の金字塔『ぴかくんめをまわす』(長新太)以来の傑作です!バンバン!(興奮のあまり机をたたく音)。

 

ついつい囚われがちな大人の都合をすっ飛ばして、子ども目線のやわらかーい頭でこんな素敵な絵本を作ったキャビンカンパニーさん(二人組の若手絵本作家です)に思わず嫉妬さえ抱いてしまいます。羨ましい!

 

イラストも細部までユーモアにあふれていて、繰り返し読んでも、何度も新しい発見ができます。しかもとってもお洒落なタッチで、そのままインテリアとして飾っておいても素敵。これが税抜き1300円?ほぼ無料では??(この調子で年間100冊~ほど絵本蔵書を増やし、家計を傾けています)。

 

「でも、そんな絵本を読んで、うちの子、ちゃんと交通ルールを守れるようになるかな…?」

 

大丈夫、ご心配には及びません。この絵本、ページをめくってたっぷり楽しませてくれた後は、最後のページにきちんと交通安全への配慮も。ぬかりはありません。

 

なんとエキサイティングな一冊だったことか…!道を行き来する車に目を輝かせていた、幼いころの息子の姿を思い浮かべながら、幸せな気持ちで本を閉じました。

 

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次回は、8/15(土)公開です。

文/甘木サカヱ 写真/河内