世界のお茶専門店 ルピシアは「もったいない」をコンセプトにお得な商品を販売する「ルピシア ボンマルシェ」を展開しています。設立の経緯をルピシア グルマンの中江昭英相談役に伺いました。

作った側が廃棄をしていた現状

── 賞味期限が近いものや、パッケージ破損、季節外商品をお買い得に販売しているルピシア ボンマルシェの設立経緯を教えてください。

 

中江さん:最近では撤廃するところも増えてきたのですが、スーパーや百貨店が採用している加工商品を対象にした3分の1ルールというものがあります。賞味期限が1年の場合、製造から4か月が過ぎてしまったものは納品できず、賞味期限までの期間が4か月ないものは販売できないというものです。

 

ルピシア ボンマルシェの店内
店内にはスタッフが描いた可愛いイラストが入った商品説明の手書きのPOPが並ぶ

弊社はお茶を販売していますが、販売や納品期限が切れると返品されて倉庫に大量に戻ってくるんです。まだまだ美味しくいただけるお茶の廃棄を、作った側がしなければならないのが非常に悲しいと思っていました。

 

美味しく飲めるものを廃棄するのはもったいないので、何かできないかと考え、お客様にお買い得にお求めいただける新しいブランドを作ろうと立ち上げました。

 

── ルピシアのイメージそのままの、おしゃれな店内が印象的です。

 

中江さん:1号店を東京・代官山にオープンした理由にも繋がるのですが、ルピシアのイメージを大切に、いわゆるディスカウントストアのように安さをアピールすることは避けました。

 

ディスプレイに関しても、大量に積まずひとつひとつの商品を綺麗に並べて、商品紹介の手書きのPOPを作っています。スタッフにもなぜこの商品がお安くなっているかを共有しています。

 

ルピシア ボンマルシェの店内
世界各地のお茶を楽しめるルピシアの商品をお得にゲットできる

── ルピシア ボンマルシェでは、ルピシアの商品以外のメーカーの商品も販売していますね。

 

中江さん:商品の納入期限や販売期限に関しては他の企業も同様のお悩みがありましたので、お茶に合うお菓子などのメーカーさんにもお声がけしました。それぞれにブランドイメージがありますので、当初は通常の価格よりお安く売ることに抵抗がある企業もありました。

 

お店を実際に見ていただいて、商品を丁寧に扱っていること、商品を手に取っていただいたお客様が気に入って、顧客として戻ってくるのではないでしょうかということも丁寧に説明をしてきました。その結果、協力していただく企業が増えてきています。

賞味期限切れも「お得なら購入したい」

── 現在、全国に13店舗を展開していますが、そのうち代官山店、越谷店、北九州店の3店舗では賞味期限切れの商品を販売しているそうですね。

 

中江さん:賞味期限が過ぎてから3か月以内のものを販売していますが、必ずスタッフが試食をして、問題ないものを販売しています。

 

ルピシア ボンマルシェの店内
店内ではなぜ安くなっているかを必ずわかりやすく表示

賞味期限切れの商品を販売することに対しては社内でも反対意見はありました。ですが、賞味期限はそれを過ぎたからといって食べられないというものではありません。ヨーロッパでは賞味期限が切れたものを販売するお店もありますし、まだまだ美味しくいただけるのだからやってみようということでスタートしました。元々の販売価格がいくらであれ、一律でひとつ20円で販売しています(数量限定/入荷は不定期)。

 

── お客様からはどんな声が寄せられていますか。

 

中江さん:お買い得ですし、中身に問題がないなら購入したいという嬉しいお声が多いですね。ルピシア ボンマルシェには定番商品がありません。基本的に賞味期限が短いものや季節商品が多いので、ほとんど2週間程度で売りきってしまいます。店内には常時、約600〜700アイテムを揃え、20%〜60%オフの特別価格で販売していますが、常に新しい商品が入ってくるので、お客様には宝探しのようにお楽しみいただけたらと思います。

 

ルピシア ボンマルシェの店内
その時期にしか販売されない季節商品もお買い得に

── 1号店のオープンから15年が経ちますが、社会の変化を感じることはありますか。

 

中江さん:食品ロス削減への関心が年々高まって、今ではいろいろな会社が手がけるようになっていますので、もったいないという価値観をより理解していただけるようになったと思います。ただ、まだまだ大手の販売店では賞味期限が短いものは取り扱えないところもありますので、もったいないへの取り組みがもっと広まったらいいなと思いますね。

 

── 賞味期限が近くなったり、開封してから時間がたったりした茶葉のおすすめの活用法はありますか。

 

中江さん:お茶にもよりますが、⽇本茶でしたら、匂いが移らないようによく洗ったフライパンにクッキングシートを敷いて、弱火で茶葉を煎ってみてください。そうすると、ほうじ茶になります。焦げないように小刻みに動かし続け、お茶から香ばしい匂いが立ち上がったら様子をみながら調整します。少し時間が経ったお茶も煎ることで水分が飛んで美味しくいただけます。風味の変化も面白いので、ぜひご家庭で試してみてください。

 

賞味期限は、未開封の商品に設定しているものですが、開封してしまってはその限りではありません。弊社のお茶の賞味期限は紅茶は2年、緑茶・烏龍茶は1年ですが、開けてしまうと酸化して風味が落ちてしまいますので、なるべく早く飲んでいただくことを推奨しています。お茶は匂いを吸収しやすいので、密閉した容器に入れて冷暗所で保存していただけたらと思います。


※写真の商品、価格は取材時点の情報です。入荷状況により、取り扱い商品は入れ替わります。

取材・文/内橋明日香 写真提供/ルピシア ボンマルシェ