2人の子どもを育てる母親がTwitterに投稿した作品が「涙が止まらない」と話題になっています。作者のyukkoさん(@yukko_96)は、ある日見かけたSNSの投稿から一通の手紙を書いたというのですが、その手紙の内容とは…?

SNSをきっかけに書いた手紙

作品のきっかけになったのは2019年、長男が1歳のときにSNSで見つけた、「20年後の自分が、今日にタイムスリップできたら、小さかった子どもに会いたい」というつぶやきでした。

 

yukkoさんは自分と同じく育児中のママが書いたであろうそのつぶやきに心から共感します。そして、今の小さな子どもの様子を伝えるために、20年後の自分に向けて手紙を書くことにしたのです。

 

「息子は21歳。一緒にいるかもしれないし、別々に暮らしているかもしれない。あなたが昔を懐かしんでいるかもしれないので、今日という日をプレゼントしたいと思います」

 

こんな出だしで始まる手紙では、子どもが着ている90cmのシャツがダボダボしている様子や一緒に散歩したこと、まだ言葉にならない言葉でおしゃべりする姿など…特別な日ではない、ふとすれば見過ごしてしまうような小さなことがつづられます。

 

最後には「20年後の今日も今日みたいになんでもない日だと思います。そんな日を楽しみにしています」と書き、手紙を締め括りました。

 

そしてyukkoさんは、手紙を書いたことを改めて水彩画でイラストエッセイにして投稿。投稿には3.4万いいねがつき、育児中のママたちからは「今のこの1日1日がかけがえのないものだと改めて思いました」「グッときて涙が溢れてきた」と感動の声が寄せられました。

 

子どもがもう大きくなってしまったというママからも「昔の温かい時間を思い出しました」「今ここにいる息子も可愛くて大切だなと改めて思いました」などの声が届いています。

「手紙」というフィルターを通すことで見えてくるもの

作者のyukkoさんが、子どもの様子を20年後の自分に残す手段として、写真や動画ではなく手紙という方法にしたのはどうしてなのでしょうか?

 

yukkoさんは「私とって、手紙は日記や動画と比べると“誰かに贈る”という意味が含まれるのでプレゼントに近い存在です」と話します。

 

「私の実家では、誰かのお誕生日にカードを贈り合う文化がありました。読み返すことはあまりないのですが全部取ってあって、“お守り”というと言いすぎかもしれませんが大事なものです。

 

手紙だと、写真や動画で残すよりちょっと俯瞰した気持ちで日常を残すことができるように思います。手紙というフィルターを通して見ると、当たり前の日常がキラキラと見えてくるんです」

 

今回は特に「未来の自分」を考えることにより「今」を新鮮な視点で見ることができたそうです。

 

「20年後は子どもと一緒にいるかどうかもわかりません。そもそも20年後を無事で迎えられることも当たり前じゃないと思っていて。未来の自分を意識して、日々を書き進めるといつも当たり前の光景がとてもまぶしく思えました。

 

ただ、イラストエッセイでは穏やかなシーンを書いていますが、日頃大変だなと思うことももちろんあって。長男も次男も同時に大泣きしたときとか、“ああ、大変…”ってなりますし、“この状況も20年後には愛しいものになるんだ”と気持ちがすぐ切り替わることばかりではないですね(笑)。

 

でもいつもではないですが、ときどき俯瞰して“こんなドタバタな毎日もそれはそれでおもしろいかな”って思えることもあります。手紙を書いてみて、気持ちの部分で少し変化がありました」

 

yukkoさんが書いた手紙は、開封のときまで自宅で大事に保管されています。さらに、今後も未来の自分への手紙を書くことを習慣にしてたいというyukkoさん。最近では、子どもの誕生日にその年の子どもの言い間違いなどを未来への手紙として書いたそうです。

 

写真や動画だけではなく「未来への手紙」という少し特別な手段で日々の様子を残してみると、またひと味違う視点で、子どもの成長や自分の気持ちを大切に留めておくことができそうですね。

 

PROFILE yukkoさん

水彩画家。2児の母。日常を優しい水彩画で描いている。6/21~7/17・SPBS TOYOSUでの展示会「未来の自分へ贈る、小さな君との日々のこと」を開催。未来の自分に手紙が送れる店・自由丁とコラボしたレターセット「FAMILY LETTER」も販売中。

 

取材・文/阿部祐子 画像提供/yukko