立ち止まってキャリアを見つめ直すのも大切

──自分の業界がこれからなくなってしまうのではと、先行きを不安視する女性も多いです。こうした人たちはすぐに転職した方が良いのでしょうか?

 

白河さん:

金銭や時間に余裕がある人は、今は次のポジションを見据えて勉強することも大事なことです。現在業績が厳しいとされる業界や業種も、企業の雇用や設備を維持するためにキャッシュが一時的に不足しているケースも多いです。コロナが落ち着いたときには、一気に人不足になる業種もあるはずです。

 

もちろん、今いる会社や業界に先がないと思えば見切りを付けて先に行くのも一つの道ですが、多少待遇が下がったり仕事内容が変わっても雇用が守られる日本のメンバーシップ雇用はそんなに悪いことではありません。急激な変化で思った以上に疲れている人が多いので、次のキャリアを探りながら立ち止まることも大切だと思いますよ。

 

──2021年以降もこうした傾向は続くのでしょうか?それとも、新しい働き方が出てくるのでしょうか。

 

白河さん:

コロナ禍のテレワークは、子どもがいながらの在宅勤務を強いられる、ネットワーク環境が未整備のまま開始するなど、イレギュラーゆえにうまくいかない企業も多かったです。ただ本来であればテレワークとは「時間や場所に縛られず、どこでも柔軟に働ける」ものです。仕事と休暇を組み合わせるワーケーション、サテライトオフィスの設置、転勤制度や営業形態の見直しなど、時間や場所に捉われずに働く流れは今後も増えていくでしょう。

 

また子どものいる女性は、働く場所以上に時間の柔軟性が効くかがポイントです。フレックスタイムが使えると、フルタイム勤務への可能性はぐっと高まります。副業を解禁する企業も増えてきたので、これからは複数の企業に所属して働く人も増えていくかもしれません。

 

 

まさに変化の渦中に生きている現在の私たち。経済や社会情勢も含め、この状況がいつまで続くか不透明だからこそ、正解を探すことは難しいと言えます。ひとまず肩の力を抜いて、自分のキャリアを改めて見つめ直す時間も必要なのではないでしょうか。

 

取材・文/秋元沙織

参照/内閣府「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」 https://www5.cao.go.jp/keizai2/manzoku/pdf/shiryo1.pdf(参照日:2020/11/19)