役所が職員の社会活動を後押しする「地域貢献応援制度」

地域貢献応援制度を利用して、空き家・空き地活用に参加する様子

 

泉さん:

そもそも公務員は副業禁止と一般的には思われていますが、これは誤りです。具体的には職員の講演や不動産収入など、地方公務員法に基づいた範囲での任命権者*に認められれば、従来からこうした一部の活動は認められています。法律でしっかりと規定されているのです。

 

とは言え、「役人なのに外部活動を行って、報酬をもらって大丈夫なの?」と心理的に何となく遠慮してしまう職員が大半でした。そこでこの曖昧な部分を改めて説明し、明確にしようと2017年に導入したものが「地域貢献応援制度」なのです。

*任命権者…公務員の任命権を有する組織や団体のこと。

 

──確かに報酬が発生するとなると、公務員の方であれば外部活動を躊躇してしまうでしょうね。どの範囲までが対象なのか明確になっていれば、取り組みやすいですね。

 

泉さん:

地域社会の課題は多岐にわたりますが、公益性の高い地域貢献活動はNPO法人や地域団体など民間での取り組みが中心となっています。

 

このような組織はそもそも若い人が少なく、担い手不足なんです。そこで、たとえば活動を行うに当たり発生する補助金申請や書類作成、役所との手続きなど、市民にとってはあまり馴染みのない部分を職務を通じて得た知識・経験を活かして本職である私たちが手伝えればと考えています。

 

──本業の職員の手助けがあれば活動もスムーズに進みますね。他には具体的にどのような活動をされているのでしょうか?

 

泉さん:

「公益性の高い継続的な活動であること」「社会的課題の解決を目的とし、地域の発展・活性化に寄与すること」、そして「毎年実績報告を行うこと」が対象活動の条件です。

内容は人によりさまざまで、団体では空き家・空き地活用を促進する活動、ユニバーサルビーチを設立するNPO法人への参画、農村地域の古民家活用に従事したケースなどがあります。個人活動では、身体的ケアが必要な産後の女性ケアトレーニングを行う職員、市民と接する中で手話の必要性を感じ独学で手話通訳を行う職員もいます。

 

地域の社会活動に携わることで、社会課題に触れる、市民の声を直接聞ける機会が生まれます。職員が地域と触れ合うことで、市民の思いやニーズに触れられることも狙いです。

ハンディキャップのある人も楽しめる、ユニバーサルビーチを設立するNPO法人に参画した職員の須磨海岸での活動の様子

 

──参加する職員についても教えてください。男女比や年齢などの特徴はありますか?

 

泉さん:

男女比は半々で、参加者の半数以上が今まで培ってきた経験を活かしたいと考える40~50代の職員です。最初はわずか2件でしたが、18年には7件、19年には16件と年々増加しています。途中から在職年数を3年から6カ月、活動の対象地域も神戸市内外にまで広げるなど取得要件を緩和・拡充したこと、制度認知度が上がったことも一因だと考えています。

 

そもそも公務員を志す人は、「何らかの形で地域に貢献したい」と感じている人が多いです。ただ実際には、全員が地域の人と交流がある窓口業務などに在籍できるとは限りません。こうした仕事へのモチベーションが高くても、日々の仕事では直接関われない職員も多かったのです。仕事の質を向上させて、市民サービスの質の向上へとつなげていきたいと考えています。

 

──それぞれのモチベーション向上にも一役買っているんですね。しかし勤務時間外での活動となると、本人のキャパオーバーも懸念されます…。その辺りはどう運営されているのでしょうか?

 

泉さん:

地域貢献応援制度は本人の申請を元に行われますが、実際の活動に当たっては日頃の勤務成績や報酬面のチェックなど人事課の利用審査が必要となります。また活動はあくまでも勤務時間外、週休日や休日の活動を基準としているので、職務遂行には支障のないことが条件となっています。

 

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