具体的なQ&Aコンテンツで当事者の調べる手間を軽減

──時間有給休暇制度の他にも、社内で働き方について取り組んできたことがあれば教えてください。

 

出産・育児マニュアルは、本人だけでなく上司向けの内容についてもまとめられている

 

庄司さん:

約10年前から、残業を減らすために「時間外ゼロ運動」を行っており、それに続く形で働き方全般にも対象を広げようと「Smart work活動」を行ってきました。現在は一定の成果が出て社内に定着したため継続して取り組んでいくことになりましたが、このときに育児や介護の支援制度の見直し、運用などに取り組み始めました。育児や介護に関する申請も、2019年から20年にかけて業務効率化の一環として紙からWeb申請に切り替えて実施しています。

 

育児や介護の当事者には情報が入りづらく、「誰かに聞きたいけれどまず何をやればいいのか分からない」ことも多いです。その際に上司や周囲から「こういったものがあるよ」と活用してもらうためのコミュニケーションツールとして、本人と上司のためのハンドブックやHPのコンテンツを作成しています。社内で使える支援制度の説明や、状況に応じた申請の流れなどについて説明しています。

 

小森さん:

HPの「Q&Aコンテンツ」では、「育児休業中に復帰した際にはどうやって通勤手当がもらえるのか」「Webでの産育休申請はどのように行うのか」「申請の提出時期に間に合わない、締切を過ぎてしまったがどうしたらいいか」などがよく閲覧されています。これらの問い合わせが多い質問については、具体的な手順と共にまとめています。

 

育児支援の仕組み

 

介護支援の仕組み

 

── 一般的な内容だけでなく、かなり具体的な質問まで掲載されていると活用してもらいやすいですね。最後に、今後の取り組みについてもお聞かせください。

 

庄司さん:

弊社としては、21年4月のスタートを目標に新しい人事制度設計に取り組んでいます。今回のコロナ禍で世界的に働き方が大きく変わった面もあるので、職場の活性化や貢献に報いる処遇制度、アフターコロナも見据えてこれまでできなかった新しい仕事のやり方に取り組んでいきたいと考えています。

 

小森さん:

弊社は元々男性社員が多いこともあり、女性管理職も少ないですが、今後も公平・公正な視点で人事評価や人材育成が行える会社にしていきたいですね。

 

 

時間有給休暇制度を導入することで、社内の見えないニーズに気付いたカシオ計算機の事例。ほんの少しの配慮で、会社全体の働きやすさが大きく変わるのだと思えるお話でした。「自社では必要ないのでは」と思われる働き方に関する制度も、検証してみることで、社員の生産性が上がるケースは多そうです。

取材・文/秋元沙織