育休復帰後も柔軟に勤務時間を調整。キャリアを検討するためのトライアル期間も用意

——2013年に第一子を出産し、育休を取得したと伺いました。復帰の際、仕事に戻りやすい雰囲気はありましたか?

 

桑原さん:

以前勤めていた店舗の近隣店に戻ることができたので、産休前と大きく環境も変わらず、安心して復帰することができました。

 

柔軟に勤務時間を見直すことができたのもありがたかったですね。最初からフルタイムで戻るのではなく、時短で働いて様子を見ながら勤務時間を伸ばしていくことも可能です。現在は、6時間の時短で働いて、店舗の状況次第でフルタイムで入る日もあり、フレキシブルな働き方をしています。

 

また、育休復帰後9カ月は、今後の働き方を検討する期間として用意されていて、実際に店舗に立って働きながら、自分に合った育児と仕事の両立について様子を見ることができます。

 

——復帰後は、すぐに元の店長業務に戻るということではないのですね。

 

桑原さん:

実際に育児をしながら働いてみないとわからない部分も多いですからね。私の場合は3か月で「店長業務に戻っても大丈夫だろう」という結論に至ったので、ストアマネージャーに再アサインしてもらいました。

 

中には検討期間を経て、アシスタント業務に一旦降りるという方もいます。自分にとっての働きやすい環境が整ったら店長業務に戻るということも可能です。

 

——その時々のライフスタイルにあった働き方を選べる柔軟さや、判断するための期間にゆとりがあることは大きな魅力ですね。

 

桑原さん:

店舗には私以外にも正社員のアシスタントマネージャーや、アルバイトの時間帯責任者もいます。互いに尊敬し合い、フォローし合うことができる仲間がいる職場環境が、両立のしやすさの一番の秘訣だと思っています。

「ママたちの交流の場として」。店舗ごとの特色を生かした地域イベントを企画

——スターバックスではお子さん連れのお客さんも多く見かけます。ママたちの憩いの場としての接客で意識していることはありますか?

 

桑原さん:

ベビーカーで来店されたお客さまには動線の確保を意識したご案内をするなど、お客さま一人一人に「どのようなニーズがあるか」「どうしたら快適に過ごしていただけるか」を念頭に接しています。

 

またスターバックスでは、「コミュニティ・コネクション」と呼ばれる地域との繋がりを築くための活動もあり、お子さん連れのママさんが多く来店される当店では、絵本の読み聞かせや手遊びを楽しむ会などを企画しています。

 

一人目の子の出産前後ってわからないことも多く、不安も大きいもの。かといって、ママ友もそんなにすぐには作れない。私自身、出産を経て悩むところでもあったので、コミュニティ・コネクションの活動として、ママ同士が話せる場を作ることにしました。このようなイベントではリピーターも多く、イベントでよく顔を合わせる方同士がお友達になって一緒に来店するようになったりしています。

 

——桑原さん自身の体験や気づきを活かしているのですね。「越谷イオンレイクタウンmori3階店」では、今年7月、「ママ&キッズ向け」に改装されたそうですね。

 

広々とした空間に生まれ変わったリニューアル後の店内

 

桑原さん:

以前はベビーカーですれ違えるのも困難な小さな店舗だったのですが、73席の大きな店舗にリニューアルしました。常連さんも増えてきていて「過ごしやすくなった」という声をいただいています。

 

スターバックスはお店ごとにキーカラーがあるのですが、当店では、小さなお子さんを意識した優しい青色を基調にしていて、ベビーカーで来店されるママ同士が席を並べられるような、フラットなソファ席も多く確保しています。その土地とニーズに合わせたテーマ性を持たせて、地域に根ざしたお店づくりをしていくことも、スターバックスならではなのではないでしょうか。

 

 

復帰後、時短勤務でストアマネージャーに戻り、自身の経験を生かしながら働く桑原さんから伝わってくる「仕事が楽しい」という活力。このような生き生きとした働き方ができるのは、ライフスタイルに合わせたキャリア選択や、勤務時間の柔軟性、そしてパートナー同士の信頼関係があればこそなのでしょう。

 

取材・文/佐藤有香