子連れ出勤を成功させるコツは「泣く前に対処」すること

モーハウスでは、仕事中に自分のデスクで授乳する光景が日常的に見られる

 

──世界的にも、子連れ出勤を容認する企業はまだまだ少数派です。さらに実際に体験した人からは、「仕事に集中できなかった」「周りから白い目で見られた」とネガティブな反応も聞かれます。でも、モーハウスではうまくいっていますよね?成功させるコツがあれば教えてください。

 

光畑さん:

ズバリ「泣く前に赤ちゃんの要求に応える」ことです。職場で子どもが泣くと、本人が辛いのはもちろん、親も、周囲も業務が一時ストップしてしまって良くありません。私は職場はあくまでも仕事をするべき場所だと考えています。赤ちゃんが泣くたびに会議が一時中断する、業務中に「キャー」と騒いでみんなで赤ちゃんの周りに集まるなどの行為は、あまり好ましくないですよね。子どもがいる人を優先するあまり、子どものいない人が働きにくくなっては本末転倒です。

 

そのためには、泣く前に子どもの不快感を軽減してあげることが大切です。赤ちゃんにとって、お腹が空くこと、不安を感じることは「緊急事態」なので泣いて訴えます。でも泣く前や泣き出す瞬間に抱っこや授乳をすれば、多くの場合、赤ちゃんは満足します。「泣かせない」ことを職場では意識していますが、これは赤ちゃんの要求に応えることなのです。だから、モーハウスは意外と静かですよ。打ち合わせで訪れたお客さまにも「隣の部屋に赤ちゃんがいるんですか!?」とよく驚かれます。

 

──赤ちゃんがいるオフィスが静かなのは、意外です!広いキッズルームを設けるなど、子どもが飽きないような工夫もされているのでしょうか?

 

光畑さん:

事務所には、寝転がれるスペースとして小さなプレイマットやバウンサーがある程度です。子どもって、親がいればキッズルームよりも親の近くに行きたがるものなんですよ(笑)。それに、先ほども言ったように「泣かせない」ためには、泣きそうな気配を察知できる距離にいることが重要です。

 

──なるほど、先回りしておくんですね。では、実店舗のスタッフはどうでしょうか?お客さまの来店が予測できず、オフィスよりも子連れで働くハードルが高そうですが…。

モーハウスでは実店舗での接客でも、我が子を抱っこしながら接客する

 

光畑さん:

抱っこスタイルで普通に働いていますよ。ただ長時間では子どもも親も疲れてしまうので、実店舗スタッフのシフトは4時間までとし、休憩時間を多めに取る勤務体系にしています。また、お客さまがいない時間帯にオムツを変えておくなどは心掛けています。

 

とは言え、私たちのような働き方は、企業文化や職種によって向き不向きはあるかも知れませんね。

 

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