生産・物流現場で働く人への「感謝」が可視化

社内報「LOOP」7月号では、コロナ特集が組まれた(表紙)

 

──「Calbee New Workstyle」で生じる業務上の不公平感についてはどう考えていますか? 例えばテレワークの標準化はオフィス勤務者が対象ですが、工場勤務者は仕事の性質上難しいですよね。

 

幕内さん:

オフィス勤務者は原則テレワークとなりますが、創造性を必要とするアイデアを出し合う業務や対面を必要とする研修、新しく仕事を覚える必要がある新入社員や異動者など、必要があればもちろん出社します。特に私たちの会社は食品を扱っているので、商品企画など試作品やパッケージに関わる部署ではやはり現物を見ての対応が必須となってきます。一方で、製造工場においても資料作成やデータ分析等、テレワークで出来る業務もあります。オンラインとリアルをうまく使い分けていければと考えています。

 

テレワーク標準化の対象外となっているのは、主に製造工場と研究開発部門で働く社員ですが、こうした人たちには、社内の「感謝」が改めて可視化されました。

 

──現場からの不満ではなく、社内の「感謝」が可視化?どういうことですか?

 

幕内さん:

コロナ禍でオフィス勤務者がテレワークを行っている中で、役員がイントラネット上でブログリレーを行いました。各役員がコロナ禍での考えをそれぞれ発信する中で、生産現場や物流に携わる社員へ向けて感謝を伝えるメッセージがたくさん発信されました。その気持ちはテレワークを行う社員にも伝わり、現場で働く方たちへの感謝の声は社内中から上がりました。

 

以前からカルビーでは現場を大切に考える風土があります。工場勤務者も自分たちの仕事に対して誇りを持って働いていますが、社内からの感謝の声が届いたことが、より仕事を頑張る原動力となったようです。

 

 

コロナの影響をきっかけに、オフィス勤務者のテレワークを標準化するという思い切った決断を下したカルビー。生産性や効率を追い求めるだけでなく、非対面で失われがちな雑談やコミュニケーションを工夫することも、長期化するテレワークでは重要になりそうです。

 

取材・文/秋元沙織