雇用関係に捉われず働くことは可能

──年々活性化メンバーは増えているとのことですが、社員と活性化メンバーとの間で、仕事上のやりにくさは生まれないのでしょうか?たとえば今まで社員として働いていた際に「これちょっとお願い」と依頼していた業務も、活性化メンバーに頼むと追加業務になるわけですよね。

 

二瓶さん:

よく聞かれますが、会社との関係は、契約形態には捉われないと思うのです。元々は同じ会社で働いていた人ですから、会社との契約形態が変わったからと言って「知らない人」にはなりません。むしろ活性化メンバーになってからは、社員とのコミュニケーションを以前よりも丁寧に行うようになったと聞きますね。

 

──なるほど…お話を伺っていると対象者と会社の双方にとって良い影響があるようですが、問題点はないのでしょうか?

 

二瓶さん:

現在課題としてあがっているのは、出産・育児に伴う休業補償です。色々な保険会社に相談しましたが、出産は保険の対象外となると説明を受けました。女性社員の中にも、後々のことを考えてプロジェクトへの参加を躊躇する声は聞かれます。

 

ただしこの課題に関しては、私たちの会社一社だけでどうにかできるものではありません。休業補償の考え方やあり方も含め、国家的・長期的な視点で考えることも必要かと思います。

 

──法律の整備が追い付いていない面も大きいですね…。最後に、今後の日本活性化プロジェクトについての展望を教えてください。

 

二瓶さん:

会社としての目標人数などは定めていませんが、今の社会構造であれば、社員の2割くらいまでは活性化メンバーに移行するような感じがしています。

 

国全体では高齢化による医療費増加の問題があり、これまでタニタとしては運動や食事など生活習慣の面からアプローチを行ってきました。同様に日本活性化プロジェクトを進めることで、私たちの働き方も健康になっていければいいと願っています。

 

 

人と会社の関係を、新たに構築しようとしているタニタ。運動、食事などさまざまな面から「健康」へアプローチしており、日本活性化プロジェクトもその一環です。働き方を健康にすることで、仕事の定義も変わる可能性を感じました。

 

取材・文/秋元沙織