100種類の候補案から選ばれた「macalon」

──「macalon」という名前は、かわいくて覚えやすいですね。「子育て支援」や「女性社員活躍推進」など、制度名によく使われるキーワードをあえて使わないネーミングですが、何か意味があるんですか?

 

上村さん:

実はネーミングにはかなりこだわっています。

 

せっかく制度を作っても覚えてもらえなければ広がっていかないと思ったので、100種類以上の候補案から選びました。maは「ママ」、caは「サイバーエージェント(CA)」、lonはlongの略で「長く働く」という意味を込めています。

 

他にも、女性社員が取る休暇はFemaleのFからとって「エフ休」と呼んでいます。生理や妊活などで休む際に周囲の人に具体的な理由は言いにくいので、それなら女性社員が取る休暇は有給も含めて全部同じ名称にしようという配慮です。

 

──取得理由を語る必要がないと、利用もしやすいですね! macalonを始めて、実際の女性社員の反響はどうだったのでしょうか。

 

上村さん:

15年のmacalon設立時は、私も含めて産・育休対象者が少ないこともあり、みんな仕事復帰できていました。ところが翌年に、育休の延長期間を目一杯使ってもどこにも保育園が決まらず、止むを得ず退社する社員が出てしまったんです。社会的にも、「保育園落ちた日本死ね!!!」というブログが大きく話題になった頃でした。

 

──印象的な出来事だったのでよく覚えています。あの出来事をきっかけに、保育園が決まらないことで離職につながる問題が可視化されました。

 

上村さん:

とてもショックでしたし、会社としても本人にはどうしようもできない事情で優秀な人材が去ることは大きな損失でもあります。その出来事をきっかけとして、16年に認可外保育園補助の制度を追加しました。

 

通常、認可保育園や認証保育園は各世帯収入に合わせて保育料が決まります。ところが認可外保育園の利用料は千差万別です。「ここならぜひ預けたい」と思うような素晴らしいところでも、1カ月10万円台など使いやすい価格設定ではないケースも多いです。そこで、認可外保育園に預けて復帰する際には、認可・認証保育園の保育料との差額分を会社が負担することにしたのです。

 

──保育園の問題は、居住地域によってまちまちですね。待機児童は、社会的にも大きな問題となっています。

 

上村さん:

一般的には0歳児の定員枠が多く最も入園できる確率が高いため、仕事復帰を見据えて月齢が小さくても4月から預けて働く母親が多いのですが、制度を追加してからは各人によって適切なタイミングで復帰時期を決められるようになりました。会社としても、本人が復帰したいと思える時期に社員が戻ってきてくれるのは心強いです。

 

認可外保育園に数カ月預けて、翌年4月に希望を出して認可保育園に転園した社員もいます。そういった意味では、選択肢を増やせたのかなと。

 

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