2018.11.21
年々増え続けている“詐欺事件”。テレビや広告などで散々忠告を出しているにも関わらず、なぜ被害者が続出してしまうのでしょうか。その原因のひとつには、不安要素につけこむ“マインドコントロール”が大きく関係しているようです。
被害者続出のマインドコントロール詐欺とは?
今年の10月に放送された『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)では、最近現れ始めた“マインドコントロール詐欺”について特集。巧妙に仕組まれた加害者の悪質な手口が明らかになりました。
まずは実際に今年起きた事件を見てみましょう。ある80歳の女性の元に、「あなたは訴えられています。訴訟を取り下げるには、お金が必要です」という1本の電話が。さすがの女性もこの段階では全く信じていません。しかしその後すぐに弁護士を名乗る人物から電話がきます。「訴えを取り下げるために、キャッシュカードと暗証番号をご提出いただけますか?」と、先ほどの電話に関連した内容。
女性は社会的信頼性の高い弁護士からの電話に動揺し、自宅にやってきた男性にカードを手渡してしまいました。これは弁護士や医者といった社会的権威のある人を信じてしまう、“ハロー効果”と言われる心理的作用が原因です。
“不安”を持っている時こそ注意が必要!
人の“不安”につけ込むマインドコントロール詐欺。中には病院の入口で待ち伏せて「何かお困りのことはないですか?」と声をかけ、病気で不安を持っている人を狙う手口も。番組に登場した立正大学心理学部の教授・西田公昭先生は、騙されやすい人の特徴を教えてくれました。
西田先生曰く、女性は「占いにハマる人」、男性は「就職活動中の大学生」が危険だといいます。そもそも占いをしたいと思う人は何かしら不安を抱えているもの。また男性にとっての就活は、人生に大きく影響してきます。ここ最近でも、こういった状況の人に狙いを定めた詐欺が後を絶ちません。そこで身近に溢れるマインドコントロール詐欺を防ぐために、“最強の3カ条”を覚えておきましょう。
・不吉なことを言う人に気をつけろ
・小遣いレベルを超えたら気をつけろ
・支援者を非難し始めたら気をつけろ
例えば詐欺のターゲットになった時、友人や家族であれば「やめた方がいいのでは?」と心配してくれる人もいます。そういった支援者を指して詐欺師は、「あなたの家族や友人は間違っている。もう会わない方がいい」と言って関係性を壊そうとしてくる場合も。似たようなセリフを言われた時は、一度冷静になってみるといいかもしれません。
これを見ていた視聴者からは、「気づかないうちにマインドコントロールされているなんて… 今後誰も信じられなくなりそう」「気をつけるポイントは基本的なことだけど、その状況になったら冷静に判断できる自信がない」「シニア層だけじゃなくて、若い世代も詐欺に合う可能性はあるんだね」「進行形で占いにハマっているから注意しなきゃ!」などの声が相次いでいました。
「みかんを送る」から詐欺に発展?
警視庁のホームページによると、振り込め詐欺といった特殊詐欺事件の被害件数は今年10月末時点で3000件以上。被害額は実に70億円以上に上ります。
ここ最近の手口は、警察官役や弁護士役など複数人で役割分担して何度も電話をかけてくるケースが主流。しかし中には、息子や娘に扮して「みかんを送る」といった話から詐欺に展開していくことも。これは初日を当たり障りのない日常会話だけで終わらせ、翌日に金銭を要求する手口だそう。一人暮らしで普段から寂しい思いをしている高齢者が特に狙われやすいため、周りにそういった人がいれば気をつけておきたいですね。
次から次へと悪質な手口が生み出される詐欺事件。もしも自分の元に怪しい電話がかかってきた時は、すぐに警察に相談してください。
文/牧野聡子