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セクハラ罪はない?元弁護士の泣き寝入りしない術

仕事

2018.05.25

shutterstock_677854384先日から、財務次官によるセクハラ行為が世間を騒がせており、国会答弁やニュースなどでも「セクハラ」について語られることが多かったので、気になっている方もいるのでは。麻生財務相が答弁において「セクハラ罪」「親告罪」などの言葉を出していましたが、そもそもセクハラ罪という犯罪はあるのでしょうか?「親告罪」についても、「聞いたことはあるけれど、よくわからない」という方が多いでしょう。

「セクハラ罪」という犯罪があるのかどうか、また「親告罪」の意味について、元弁護士が説明します。

 

1.セクハラは罪になる?ならない?


先日からのセクハラ問題では麻生財務大臣が「セクハラ罪は存在しない」などと答弁していたので「そうなの?」と疑問を持たれた方も多いでしょう。そもそも「セクハラ」は罪になるのでしょうか?

 

セクハラ罪は存在しない

セクハラとは、「セクシャルハラスメント」のことであり、直訳すると「性的嫌がらせ」です。一般的には、職場において男性から女性に対して行われることが多いです。たとえば、上司が女性部下の身体を触ったりキスを迫ったり、デートを強要したり、あるいはわいせつな言葉を投げかけたり、職場に性的なポスターを貼って見せつけたりする行為が典型的なセクハラ行為となります。

 

そして、日本には「セクハラ罪」という犯罪はありません。そこで、上記のようなセクハラ行為をしたとしても、それによって必ずしも犯罪が成立することはないのです。セクハラ行為をしても、いきなり逮捕されるというものではありません。

 

セクハラが犯罪になるケース

それでは、どのような悪質なセクハラが行われても、まったく処罰を受けることがないのでしょうか?それでは納得しにくい方も多いでしょう。実際に、セクハラの中でも悪質なものは、犯罪として処罰される可能性があります。

 

まず、相手の女性や男性に性交渉を強要した場合には、「強制性交等罪」という犯罪が成立します。これは、かつて「強姦罪」と呼ばれていた犯罪で、近年の法改正によって名称や内容が変わっているものです。

 

また、性交までは強制しなくても、被害者を脅して身体を触ったり服を脱がせたり、キスを迫ったりすると「強制わいせつ罪」が成立します。先日、有名アイドルグループの山口さんが女子高生にキスを迫った行為も、この「強制わいせつ罪」として処分されています。

 

さらに、セクハラ行為を行うときには、言葉によって相手を侮辱したり名誉毀損的なことを言ったりするケースも多いです。そのような場合には「侮辱罪」や「名誉毀損罪」が成立します。

 

以上のように、セクハラ行為をしたからといって、必ず犯罪が成立するわけではありませんが、悪質なケースでは、「強制わいせつ罪」を始めとした個別の犯罪によって処罰される可能性があります。

 

2.親告罪とセクハラ


それでは、麻生財務大臣が言っていた「親告罪」とはどのような意味なのでしょうか?

 

そもそも親告罪とは

親告罪は「被害者による告訴がないと処罰できない犯罪」です。犯罪には、親告罪とそうでない罪があります。親告罪ではない罪の場合、被害者が刑事告訴をしなくても、警察などの捜査機関が自主的に捜査を進めて犯人を検挙・逮捕します。

 

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これに対し、親告罪の場合には、被害者による刑事告訴がないと処罰できないので、告訴されないと、警察は捜査を開始しません。先ほどのセクハラにおいて成立する可能性のある罪は親告罪となっているのか、みてみましょう。

 

・強制性交等罪

強制性交等罪(旧強姦罪)は、親告罪ではありません。そこで被害者が刑事告訴しなくても、警察が捜査を進めて犯人を逮捕する可能性があります。

 

・強制わいせつ罪

強制わいせつ罪も親告罪ではありません。そこで、セクハラ被害に遭って強制的にキスされた場合などには、告訴をしなくても相手を処罰してもらえる可能性があります。

 

・名誉毀損罪、侮辱罪

名誉毀損罪と侮辱罪は親告罪です。そこで、セクハラ被害で侮辱されたり不名誉な事実を後悔されたりした場合には、警察に告訴をすることによって相手を処罰してもらえます。

 

以上のように、セクハラが行われた場合に成立する犯罪には「親告罪」とそうでないものがあります。

先日、麻生財務大臣は「セクハラ罪は存在しない」とか「セクハラ罪は親告罪なので告訴がない現状では罪にならない」ということを言っていましたが、これらの理解は正しくありません。

 

3.セクハラと民事責任


さて、上記のようにセクハラで犯罪が成立する可能性もあるのですが、犯罪にならないセクハラ行為もあります。その場合、加害者には何の責任も発生しないのでしょうか?そのようなことはありません。セクハラは民事上の「不法行為」となるからです。

 

不法行為とは、故意や過失にもとづく行為によって被害者に損害を発生させる行為です。不法行為を行った加害者は、被害者に対して損害賠償をしなければなりません。そこで、セクハラ被害を受けたら、被害者は加害者に対して損害賠償請求(慰謝料請求)できます。たとえ相手に犯罪が成立しないケースでも、民事上の不法行為は成立するので、泣き寝入りする必要はありません。

 

以上がセクハラと犯罪、親告罪の意味やセクハラの責任内容です。あなたや娘さんが職場で働くときにもセクハラ被害に遭う可能性がありますから、おぼえておいて下さいね。

 

取材・文/ぴりか

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