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頭の良さより「共感力」で人生が決まる納得理由

仕事

2021.03.13

頭の良さより「共感力」で人生が決まる納得理由のイメージカット
日本を代表する一部上場企業の社長や企業幹部、政治家など、「トップエリートを対象としたプレゼン・スピーチなどのプライベートコーチング」に携わり、これまでに1000人の話し方を変えてきた岡本純子氏。
たった2時間のコーチングで、「棒読み・棒立ち」のエグゼクティブを、会場を「総立ち」にさせるほどの堂々とした話し手に変える「劇的な話し方の改善ぶり」と実績から「伝説の家庭教師」と呼ばれ、好評を博している。
その岡本氏が、全メソッドを初公開した『世界最高の話し方 1000人以上の社長・企業幹部の話し方を変えた!「伝説の家庭教師」が教える門外不出の50のルール』は発売後、たちまち12万部を突破するベストセラーになっている。
コミュニケーション戦略研究家でもある岡本氏が「一流の人ほど『共感力の魔術師』である納得理由」について解説する。
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当記事は「東洋経済オンライン」(運営:東洋経済新報社)の提供記事です

芋づる式にあぶり出された「日本のリーダーの質」

女性蔑視問題で世界の非難を浴びた東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が辞任しました。

 

最後の会見でも自らの実績を並べ立て、恨み節で締めくくり、決して往生際がいい態度とは言えませんでした。

 

この騒動の過程で、火に油を注いだのが、彼を擁護するかのような政財界のリーダーの発言。次から次へと白日の下にさらされるリーダーと言われる人たちのあきれた言動に、こんな問いが浮かびます。はたして日本のリーダーの質は「劣化」しているのか

 

今回の森会長の騒動は、まるでリトマス試験紙のように「時代についていけていないリーダーたち」を芋づる式にあぶりだしました。

 

蔑視発言を「そんなこと」「どうしてもお辞めになりたいということだったら、また新たなボランティアを募集、追加せざるをえない」と無神経に言い放った自民党の二階俊博幹事長。

 

「日本社会というのは、ちょっとそういう本音のところが正直言ってあるような気もしますし、こういうのをわっと取り上げるSNSっていうのは恐ろしいですね。炎上しますから」と森氏への明確な批判を避けた経団連の中西宏明会長。

 

森氏から「男泣き」され、後任を託され、ペラペラと「密談」の内容を記者に話す日本サッカー協会の川淵三郎元会長。

 

今回は、時代遅れの日本のリーダーを「反面教師」にした「共感力」の大切さについて解説します。

 

今回の蔑視発言騒動のほかにも、長年、権力に居座ってきた某医大の学長がパワハラで問題になったり、「プロ経営者」として祭り上げられてきた社長が家庭内での暴力騒動で逮捕されたり、と「権力を持つ男性」の失言やスキャンダルが後を絶ちません

 

もちろんすべての実績が否定されるものではなく、それが年齢や性別によるものというわけでもないでしょう。

 

一方で、「権力は人を腐敗させる」とはよく言われることですが、古今東西、「権力の虜」になった指導者が道を誤る例は事欠きません

 

「家庭教師」としてエグゼクティブのコミュニケーションの指導にあたってきた私も、「共感力」の乏しい「パワハラ型」の「権力モンスター」リーダーが君臨し、会社をダメにする姿を数多く身近で見てきました

権力によって「現実」と「自己認識」がずれていく

承認欲求が強く、傲岸不遜、上にはおべっかを使うが、下にはつらく当たる。そもそも、リーダーにのし上がる人には、「マキャベリアン(個人の野望と利益に固執し、人との関係性より、権力や金を優先する)」「サイコパス」「ナルシシスト」という、心理学では「暗黒の三元素(Dark Triad)」と呼ばれる3つの特質をもった人が多いとされています。

 

最近では、これに「サディズム」が加わった4要素という説もあります。一般人のサイコパスの出現率は1%である一方、エグゼクティブになるとその割合が3~5%になるというデータもあるほどです。

 

「共感力」のかけらもなく、手段を選ばずに人を蹴落とす一方で、「過剰なコンフィデンス(自信)」が「コンピテンス(能力)」と勘違いされ、登用されやすい。これが「共感力のない無能なナルシスト」が出世するからくりです。さらに、もともとそうした資質を持っていなかったとしても、権力が人を変えてしまうこともよくあります。

 

権力の座に居座り続けることで、エゴが肥大化し、傲慢さと行きすぎたプライドや自信が他者を見下す姿勢へとつながる一方で、「つねにこびへつらわれる」という世間とは離れた常識の中で、「現実」と「自己認識」がずれていき、「共感力」も培われないのです。

 

こうした状態は「自信過剰(hubris)シンドローム」とも言われ、「ある種の病気」との説もあります。

 

「権力」という麻薬の中毒となった人は、それを失うことを極度に恐れ、いつまでもしがみつこうとします。森氏は「報酬はもらっていない、ボランティアだ」と言い張り、当初は辞任を拒否していましたが、権威と面目に固執していた部分はまったくなかったと言い切れないように感じます。

 

彼を駆り立てていたのは、「いつまでも人の役に立ちたい」という思いかもしれませんが、「肩書」「権力」「権威」に依存したり、ふんぞり返ることなく、社会に貢献する道はいくらでもあるのではないでしょうか。

世界のリーダーは「教官型」から「共感型」へ

タテ社会のしきたりを重んじる日本では、いまも「強権型」のカリスマリーダーがもてはやされる傾向があります。

 

これは、そのリーダーだけの責任というわけでもなく、その下に付く人々にすれば、「自分で判断しなくても、ただ盲従すればいい」という「持ちつ持たれつ」の関係性ともいえるでしょう。

 

しかし、上から一方的に支配・指示する「教官型」「強権型」はもはや時代遅れという考え方が、世界のリーダーシップ研究の主流です。時代とともに、求められるリーダー像は、社員と同じ目線に立ち、その力を引き出す「共感型」へと変わってきているのです。世界のトップエリートを見ても、「教官型→共感型」への流れは顕著です。

 

例えば、かつて、アメリカの超一流企業において、一世を風靡していたのは、「カリスマ強権型」のスティーブ・ジョブズ(アップル)やジャック・ウェルチ(GE)でした。しかしいまは、ティム・クック(アップル)、サチャ・ナデラ(マイクロソフト)、サンダー・ピチャイ(アルファベット=グーグル)といった「共感型」のリーダーが台頭、成功を収めています。

 

ちなみに、『フォーチュン』誌の最も尊敬される会社の2021年版の上位10社を見てみると、アマゾンバークシャー・ハサウェイ、ネットフリックスなど創業リーダーが居並ぶ中で、上記のアップル、マイクロソフト、グーグルのほか、ウォルトディズニー、コストコホールセールなど過半数の企業のリーダーは、共感力の高い「好感度系」でした。

 

どの人も「共感力」が経営の柱であると口を酸っぱくして訴え、「『あの人は嫌な人だ』という人が周りに誰もいない」と言われることが多いリーダーたちです。

 

ひるがえって、この国を見たとき、まだまだ、そのリーダーシップの常識をアップデートできていない印象がぬぐえません。

 

「言えば伝わる」「言わなくても伝わる」とばかりに、「共感力」「発信力」は低く、コミュニケーションは「密談・密室・密約」という3密が基本だと思っている。パブリックとの「対峙力」「説明力」「説得力」といったものが備わっていないリーダーがあまりに多いわけです。

 

年齢や性別がリーダーシップの向き不向きを決めるものではありません。しかし、自らの誤りを素直に認め、時代の流れを読んで、謙虚に学び続けようとする力を失った時点で、「リーダーの資格がある」とは言えないでしょう。

 

前例に従って物事を進め、事前に調整しておけば、会議での発言も不要。あとは忖度と腹芸といったコミュニケーションしかしてこなかった「昭和のオジサンリーダー」は、あっという間に昨日までの常識が非常識に変わる変化の早い時代には通用しません

 

そういった意味で、日本のリーダーの質は「劣化した」というよりは、いつまでも、過去の常識に縛られたままで、「教官型→共感型」へ変化しようとしないがために、「秒速で動く時代から取り残されている」と言うべきかもしれません。

 

いまこそ、「あるべきリーダー像」を描き直し、トップ自ら「共感型のコミュニケーションの学び直し」を始めるときなのではないでしょうか。

一流のリーダーほど、卓越した「共感力」の魔術師

情報のあふれる現代社会において、トップダウンで、自分の話したい話を一方通行で伝えるコミュニケーションでは、人を動かすことはできません。

 

力により支配しようとすれば、「ハラスメント」などと告発される世の中ですし、何より、「教官型」「強権型」は、下にいる人たちの自主性、思考力、創造力を奪うばかりではなく、「真の力」を引き出すことができません

 

トップダウンで、権威を誇示する「支配型」よりも、むしろ、組織のメンバーを「支援」することによってその力を引き出す「サーバントリーダーシップ」といった概念も注目されています。

 

そこに欠かせないのが、社員の気持ちを理解し、寄り添う「共感する」力、対話をし、感情を動かし、モチベーションを高める「共感させる」力。その「共感力」こそがいまのリーダーには求められています

 

もちろん「共感力」が必要なのはリーダーに限りません。何事も、自分ひとりでできることには限界があり、人を動かし、人に助けてもらう必要がある以上、「共感力」のない人は人望も得られず、人に助けてもらえず、長い目で見れば、結局、仕事でも人生でも成功しません

 

「無能なナルシストのエリート」が没落してく姿を「反面教師」にして、「共感力のある人」を目指す必要があります。

 

ただし、内心でいくら共感していても、黙っていては伝わりません。「共感」を相手に伝え、人を動かすのは「話し方」です。

 

コロナ禍で株を上げる世界の一流のリーダーほど、卓越した「共感力」の魔術師であり、共感を武器に人を動かす「話し方」の達人でもあります。ぜひ皆さんも「共感力」を鍛え、「人を動かす人」「人に慕われる人」になってください。

岡本 純子 : コミュニケーション・ストラテジスト

 

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