2019.08.11
「働き方改革」という言葉が叫ばれはじめてからしばらく経ちましたが、「改革されてる実感がない」という声もいまだに多く上がっています。しかし内閣府が先月発表した「年次経済財政報告」では、“若い世代の帰宅時間が早まっている”との調査結果が発表されました。
若い世代で残業が減少!? 実感のわかないお母さんたち
「年次経済財政報告」の中では、「働き方改革はどこまで進展したか」と題して改革の効果を様々な角度から検証。通信会社の基地局を利用し、「どのエリアの」「どの時間に」「どんな人がいるのか」を分析しています。
日中と夜間の人口比やオフィス街と繁華街の夜間人口などから、内閣府は「20代・30代の若年層を中心に働き方改革が進んでいる可能性が指摘できる」と公表。「男性を中心に柔軟な働き方や残業時間の縮小が進展している可能性が示唆される」とのデータが出ているようです。
働き方改革に希望が見える今回の報告でしたが、世間のお母さんたちはあまり効果を感じられてはいないよう。「うちの旦那は相変わらず夜は遅いけど…。全然浸透してないような気がするな」「残業時間が減ってるようには思えないよ」と疑問の声が上がっていました。
効果を感じられないという人が多い一方で、「残業は確かに減った」という意見も。しかし、「旦那の残業代が減ったから家計にとってはダメージです」「残業代で稼いでいたところもあったから、正直これはこれで辛いかも」といった声も少なくありません。
実際の残業時間は“年功序列”!
実際のところ、残業時間の具体的な数字はどのくらいになるのでしょうか。バックオフィス支援システムなどを提供する株式会社Donutsでは先月、平均残業時間に関する調査を発表しています。
まず、性別ごとに平均の月間残業時間を調査。男性の「14.04時間」に対し、女性は「8.36時間」という結果になりました。世代別で見てみると、20代以下が「13.35時間」とトップの残業時間を計上。年代が上がるごとに時間が短くなるようで、30代で「11.7時間」、40代が「9.23時間」、50代で「7.56時間」の残業を経験しています。ちなみに60代以上の残業時間は、最も短い「5.68時間」でした。
内閣府の調査では「若年層」「男性」の残業時間が減少とありましたが、これはあくまで“前年比”の話。具体的な数字としては、若い世代の方が残業に取り組む時間が長いようですね。
労働時間だけじゃない! 働き方改革の目標とは
「働き方改革」と聞くと「労働時間についての改革でしょ」という印象になりがちですが、実は他にも様々な狙いがあります。今回話題になったように、目標の1つになっているのが「長時間労働の是正」。さらに、「多様で柔軟な働き方の実現」、「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」も目指すべきゴールです。
特に「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」は、お母さんたちの関心を集めることの多い話題。「パートや派遣社員など非正規労働者と正規労働者の待遇差をなくす」ための政策で、「同一労働同一賃金」というキーワードをよく耳にするかもしれません。こちらも、「正社員と全く同じことしてるのに、全然待遇が違う」「パートなのに正社員みたいな仕事してるんだけど、当然待遇的にはパートなのよね…」などの声が続出中。実現までには、まだまだ長い道のりが待っています。
しかし来年4月には「同一労働同一賃金」に関する法律が施行されたりと、働き方改革は少しずつ進行中。より働きやすい世の中になることを是非とも期待したいですね。
文/河井奈津