「仕事をちゃんとやってから」では誰も育休が取れない

今回の育児休業に反対する意見として、「環境大臣としての仕事が満足にできていないのに、育休を取っている場合ではない」という声があります。

 

では、会社や職場で少しでも仕事に改善の余地がある男性は、育休を取ってはいけないのでしょうか?

 

100%完璧に仕事ができている人などいるでしょうか?

 

100%とは言わなくても、たえず変化する業務のなかで常にいくつかの課題を抱えていることは悪いことではありません。

 

そして子どもが生まれる20代~30代ではそういう男性が大多数ではないでしょうか。

 

職場での仕事の評価は、否定的な人から見ればいくらでも「満足にできていない」と言えて線引きが難しいものです。

 

それ以前に、そもそも育児休業は「このくらい仕事ができていれば彼は育休を取っても許される」などと上司や同僚がジャッジするような性質のものではなく、切り離して考えるべき。

 

もしも「先に仕事をちゃんとやれ」という理屈が通るなら、ますます多くの男性が育休を取りにくくなってしまうのは間違いないでしょう。

おわりに

今回の「育休宣言」について意見を聞いたパパ・ママたちからは、次のような声が寄せられました。

 

「注目を浴びる立場の人間がやってみせることは大切だと思う。一般の男性が育休を取得しても、誰もわからないし見えない」(Wさん・35歳・4歳児のパパ)

 

「世の中、実際に体験しないと分からないことがたくさんあります。ぜひ小泉大臣には自らの体験を発信してほしい。少子化問題は、実際に子育てに関わったことのない人たちが話し合っても解決は加速しないと思うんです」(Tさん・32歳・1歳児のママ)

 

「このIT化の世の中、リモートワークを活用した働き方でも十分成り立つ仕事が増えているはず。ぜひ若い人たちのモデルケースとなってほしいです」(Nさん・37歳・9歳児と5歳児のママ)

 

この機会に、男性の育休取得への議論と理解がさらに深まることを願っています。

 

文/高谷みえこ

参照/厚生労働省「育児・介護休業法について」

小泉進次郎オフィシャルブログ「育休取得について」