「育休なんて取れない人ばかり」…どうすればいい?

今回の報道では、ベテラン国会議員から「世の中がみんな育休を取れるような生活をしていると思うか?」という批判があったそうです。

 

政治的にダメージを与えたいという目的だとしたら、育休問題をそんなことに利用するのは論外です。

 

しかし、もしそれが本心だったとしても「みんなが取れないのだからガマンすべき」という発想には問題があります。

 

その空気こそが、日本の男性の育休取得率を6.16%と低くとどめている一因だからです。

 

「同調圧力」が強くなりがちな日本では「みんな~だから」は時に大きな力を持ちます。

 

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もし今回、小泉氏が「国民の皆さんも育休が取れていないから、自分も遠慮します」とあきらめていたなら、今後、男性が育休を取れていない職場のパパたちは果たして育休を申し出ることができるでしょうか?

 

「みんな苦しんでいるからガマンしろ」ではなく、「こんなに育休が取れない男性社員が多い状況をなんとかしよう」という方向に考えるのが政治や企業の役割のはずです。

「替わりのいない人は休むべきでない」は危険な考え

「替わりがいない人間は仕事に穴を開けるべきではない」という声もあがっています。

 

しかし、海外の多くの国では、企業のトップであれ政治家であれ、男女問わず在任中に育休を取得していますし、それが実現するような人員配置や法整備もすすめています。

 

フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)やニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相などがその例。

 

妊娠中から切迫流産など家族のサポートが必要になる妊婦さんも多いですが、そういった緊急事態と比べ、ほとんどの場合育休の申請から出産までには数か月の準備期間があるため、業務代替の対応は可能なはずです。

 

つまり、替わりがいないのは本人の問題ではなく職場環境がそうさせているだけ。

 

「替わりのきかない立場の男性は休むな」ではなく、そうならない職場環境作りに目を向けるべきでしょう。

 

そして、そもそも女性は出産で必ず一定期間休まなければなりません。

 

これまでの日本社会が「替わりがいない人は仕事を休んではならない」としてきたからこそ、多くの女性が、昇進や要職につくこと・出産することのいずれかを諦めてきたのではないでしょうか。

 

また「自営業やフリーランスには替わりがいない」「零細企業だから企業努力だけでは難しい」という問題もあります。

 

本当に出生率を改善したいなら、出産育児で休むと利益が出せず死活問題…という立場の人やお店をカバーできるような法整備も進めるべきだといえます。