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布団持ち帰り不要に! 2児のママ市議が保育所変えた

仕事

2021.05.25

2020年10月のつくば市議選挙で、無名の新人にも関わらず「街宣車も街頭演説もなし」の斬新な選挙運動を展開し、見事3位当選した川久保皆実さん(35)。前回の記事「『オムツや布団の持ち帰り変えたい!』異例の選挙戦を勝ち抜いた2児のママ」では、異例の選挙戦術をとった理由や、立候補までの経緯について伺いました。

 

ゴミ拾いする川久保議員

 

今回は、2歳と4歳の子どもがいる子育て真っ最中のママでもあり、弁護士、IT企業の社長ととしても活躍する川久保議員に、仕事をこなす秘訣、6か月の議員活動で得られた成果、女性の政治参画について話を伺います。

4つの仕事、並行する秘訣はテレワークと家事の平等負担

── ママであり、弁護士であり、ITベンチャー企業の社長でもあり、現在は、つくば市議会議員でもあります。「4足のわらじ」をはく今、どんなスケジュールで1日を過ごしていますか?

 

川久保さん:

毎朝3時に起きるところから1日がスタートします。早朝の3時間は電話などもこないので、弁護士としての契約書の作成など、集中してやりたい仕事をする時間にあてています。

 

 

6時頃には子どもたちが起きてくるので、洗濯物などの家事をこなし、登園準備をして、8時には夫婦2人で子どもたちを保育所に送っていきます。

 

保育所には歩いていくのですが、夫が4歳の長男の手をひき、私は2歳の次男のベビーカーを押しつつ、ゴミ拾いをしながら登園するのが日課です。

 

夫婦そろって送り迎えをするご家族はあまりいないので珍しがられるんですが、この「夫婦2人で」という形をずっと続けています。

 

9時からは、つくば市議として、議会や市役所に出向くこともあれば、子育て・教育関連施設の視察や、市民の方からヒアリングするなど様々ですが、在宅での仕事も多いです。弁護士として顧問先からの問い合わせにも応じますし、IT会社の定例ミーティングなどもあります。

 

18時半にはまた夫婦一緒に子どもを迎えに行って、ご飯を食べ、お風呂に入り、20時には子どもたちと一緒に寝ています。週末は子どもとの時間が最優先。これは選挙活動中から変わらない私の優先順位です。

 

── 育児と3つの仕事の両立の秘訣はなんでしょうか?

 

川久保さん:

去年の11月に議員活動がスタートしてからは、弁護士業務を圧縮してバランスをとるようにしましたが、IT企業と弁護士業務に関してはすべてテレワークでこなせることが大きいと思います。移動時間をすべて省くことができています。

 

また、保育所への送り迎えを夫婦2人で一緒にやっているのもそうですが、我が家は育児も家事も夫婦で平等に負担してるんです。

 

── 「平等に」とは思っていても、特に子どもが小さいうちは女性の方に負担が偏ってしまうことが多い気がして…。そんなことはないですか?

 

川久保さん:

長男が小さい頃はそう感じたこともあったかな?でも、下の子が生まれて夫が長男を積極的に見てくれるようになったので、私たちの場合は今は本当に「平等」だと思います。

 

「2人とも仕事が大好きだから、家事と育児は一緒にやろう!」という考え方。家事の負担については2人で度々議論しながら変えてきました。今はお互いに納得のいく分担になっていると思います。

議員がスタートして半年  目に見える成果「嬉しい」

── 議員活動がスタートして半年になりますが、具体的な成果は上がっていますか?

 

川久保さん:

私が立候補する動機の1つになった「オムツの持ち帰り」と「3歳児以上の白米持参」については、以前から反対の声がたくさん上がっていて、市も改定に動いていたようなんです。

「オムツの持ち帰り」については、今年の4月までにすべての公立保育所で廃止となりました。


「3歳児以上の白米持参」については、今年の4月に、つくば市にある23の公立保育所のうち、まずは4つの保育所で廃止になり、令和5年4月までに順次、他の保育所でも廃止される予定です。

 

「毎週末のお布団の持ち帰り」については、政治家としてのアプローチで「予算をつけて」という段取りでは時間がかかりすぎてしまいそうだったので、保育所の保護者会主導のプロジェクトにしました。

 

つくば市の担当課や保育所に掛け合い、天日干し不要のお昼寝マットを保護者が任意で購入した場合は、毎週末の持ち帰りは不要とする、という要望が無事通りました。

 

私が問題に感じていた3点について、私の子どもが通っている保育所では、今年の4月からすべて解決され、保育所通いの負担もグッと減りました。議員としての正攻法のアプローチだけではなく、市議という肩書きがあるからこそ、できる活動の範囲も広がっています。

 

── その他に、印象深いお仕事はありましたか?

 

川久保さん:

議員になった直後に、つくば市の公立幼稚園に通わせている保護者の方から「幼稚園では4月の1か月間給食の提供がなく、毎日お弁当持参なんです。」と相談がありました。給食センターは動いているので、提供しようと思えば提供できる。そこで、この点については議会の一般質問で取り上げ、来年の4月からは、4月も給食をが提供する方向で検討してもらえることになりました。

 

これも私のような当事者が立候補し当選したからこそ、要望があげやすかったんだと思うんです。具体的な成果が出て、とても嬉しかったですね。

 

── 議員という仕事を選択してよかったと感じますか?

 

川久保さん:

声が大きくなるという意味では、議員という仕事に就くことはとても大きなことです。

 

例えば保育所の制度1つとっても、話し合いの際には担当のトップ、課長との意見交換ができる。進捗についても、逐一報告をあげてくれます。話し合いを踏まえておかしいと感じた点については議会で追及することができます。

 

「川久保が議員になったから変わったよね」と言われるよう、必要な追及はしっかりしていきたいと思っています。

政治と子育ての両立「できます!」政治家を当たり前の選択肢に

──世界経済フォーラムが男女の格差を数値化して発表した「ジェンダーギャップ指数2021」で日本は156カ国中120位。順位を下げる大きな1つの要因になったのは「女性政治家の少なさ」でした。一女性政治家として、この課題についてどう感じますか?

 

川久保さん:

実際に自分が政治家になって感じるのは、議会という場で、当事者自身が訴えるのと、当事者の代理で訴えるのとでは、熱量も説得力も全く異なるということです。

 

そういう意味で、女性の課題を解決するためには、やはり当事者である女性自身が政治家になることが、とても重要だと思うのです。

 

たとえば「オムツの持ち帰り」にしても、以前男性から「持ち帰りのどこが負担なんですか?」と言われたことがあるんです。持ち帰っても捨てるだけの使用済みオムツを毎日毎日持ち帰る苦労、実際にそれを経験しているお母さんたちならみなわかりますよね?それだけ、苦しんでいることは当事者じゃないとわからない。

 

もちろん、男性が保育所の送迎をするご家庭も増えてはいますが、いまだに女性の方が圧倒的に負担が大きいと思います。


だから女性が子育てで負担に感じていることは、私たち自身が声をあげていかないと変わっていかない。もし日本の半数の政治家が女性になったら、女性が生きづらい社会はだいぶ変わっていくと思います。

 

──本当にその通りですね。川久保さんと同じように考えて立候補する女性が増えれば、確実に社会は変わっていくと感じます。一方で「政治と子育ての両立」に不安を感じる方もいると思いますが、その点についてはどうですか?

 

川久保さん:

「政治と子育ての両立」は、できます!私は選挙戦も「育児と仕事を犠牲にしない」を第一条件に戦いましたが、議員になってからも育児を犠牲にしないという姿勢は変わっていません。

 

夜は子どもたちと過ごしていますし、土日も子ども達と公園で遊んでいます。子どもが楽しめるものでない限り、議員活動に子どもを連れていくこともありません。

 

私は、女性に限らず、当事者が問題を解決したいと思った時に、問題を解決する手段として当たり前に「政治家」が選択できる世の中になってほしいと思っていて。

 

従来型のドブ板選挙でなくても選挙戦は戦えるという前例をつくることができたと思うので、「政治家」という職業を1人でも多くの人に選択肢に入れてもらえたらと、そう願っています。

 

 

「街を変えたいと思った時、人任せにしない!」と爽やかに語ってくださった川久保さん。私自身、子育てや女性の権利をめぐる制度に不満があっても、ただの「愚痴」で終わらせていないか…と自分を省みる取材となりました。

 

女性1人1人が当事者意識を持って政治に目を向け声を上げていけば、既存の仕組みやルールは案外変えられるものなのかもー。川久保さんの挑戦は、日本の女性たちの政治参画を促していくことになりそうです。

取材・文/谷岡碧

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