海外のおもてなしから、自分の原点を再確認

学生時代はウィーンの洋菓子店DEMELで実習も経験

 

──そもそも管理栄養士になろうと思ったのは、何がきっかけだったんですか?

 

およねさん:

小さな頃から食べるのも作るのも大好きで、周囲にも驚かれるぐらい健康優良児だったんです。幼いながらに、食と健康は深い関わりがあると感じていたので、栄養士になって健康に対する知識を身につけたいと思ったのがきっかけです。それで女子栄養大学に進学し、管理栄養士の資格を取得しました。

 

大学卒業後は、まずはいろいろな現場で働いてみたいと思い、派遣先がたくさんある委託給食会社に就職したんです。仕事は順調で楽しかったのですが、4〜5年働いて生活が安定してくると、このままでいいのかなという思いが芽生えてきて…。

 

献立作成は本部の管理栄養士さんが行なっていたので現場は調理を行うだけでしたし、管理栄養士の仕事って想像以上に給料が低いんですよ。やりがいと給料面の両方を考えたときに、次のステップに進みたくなったのかもしれません。

 

──国家資格なのに、給料水準が低いというのは意外でした。国内での転職ではなく、海外に行かれたのには理由があるんですか?

 

およねさん:

大学3年生の頃に海外研修に行ってすごく楽しかったので、1度は海外に行ってみたいという気持ちがあり、行くなら今しかないと思って留学を決めました。イギリスに2年ほどいたのですが、最初は英語がまったくできなかったので、日本食レストランで働いて、慣れてきてからはスイーツがメインのカフェで働きました。

 

──海外で「食」の仕事に就いてみて、日本と違って驚いたことやカルチャーショックを受けたことがあれば教えてください。

仕事を辞めての留学では、たくさんの出会いに恵まれた

 

およねさん:

イギリスの人って本当に自由なんですね。日本だとお客様がいない時間も、掃除やら洗い物やら何かしらしていなければいけないという空気がありますが、イギリスではお客様がいなければゆっくりしていても怒られません。

 

それに、スイーツを扱うカフェなのに、「スクランブルエッグを食べたい」とお客さんが言い出すんです!店主も「作れるなら作ってあげて」という感じで。ずっと型にはまって生きてきた私からすると、「えっそんな自由でいいんだ」と、すごく衝撃を受けました。

 

でも、考えてみたらおもてなしの方法が違うだけで、お客様に喜んでもらいたいという気持ちはどこの国でも同じなんですよね。私は、自分の料理でお客様に喜んでもらうのが好きなんだなと、このときすごく実感しました。