『笑顔をあつめて』は、歌う自分自身へのエールでもある


 

“横山だいすけ”としての等身大の応援歌

 

ちなみに、歌詞のなかで「強くなれ」という言葉がでてくるんですが、ということは、今は弱い立場にいる誰かを応援するような意味なんですか?

 

横山さん:

そう、ここがすごい大事なんですが、「微笑みの数だけ心強くなれ」というのは、自分に向かって言っているんです。文字だけ見たら違う受け取り方もできるので、ここは何度も話し合ったところです。だけど、僕は詩をいただいたときに、「自分、頑張れ、頑張れ」と、自分を鼓舞しているような歌い方に自然となっていったので。聞いている人にもその思いは伝わるかなと。

 

横山だいすけ

 

そうなんですね。このタイトルとだいすけお兄さんということで、エールをもらう歌なのかと思っていましたが、自分で歌って、自分を励ませる歌でもあるんですね。

 

そうです。やっぱり、みんな生きるってことは楽しいことも、大変なことも…いろんな感情があるわけじゃないですか。だから人生っていうのは豊かになる。“だいすけお兄さん”っていうのは元気の象徴として今まできましたけど、僕も悩んだりすることもたくさんあるし。だからとても、等身大の自分の歌という感じもであります。

 

そのあたりって、以前と変わった感覚はありますか?だいすけお兄さんのときは子供向けでもあったので、等身大といよりは、キラキラ元気な象徴であって。それをみんなも求めていた気がするんですが。横山だいすけさんになって、ご自身でも変化を感じられていますか?

 

横山さん:

はっきり1個変わったのが、『おかあさんといっしょ』のときは対象が子供だったんです。子供たちが、どういう歌を届けたら喜ぶのか、それにすべてのパワーを注いでいました。それが、卒業してからは親御さん、小さい頃に番組を見て成長した子達、おじいちゃん、おばあちゃん…広い世代に歌を届けるようになりました。それによって歌い方も、声も変わりました。 

 

たしかに、サビの裏声なんかとても新鮮ですね。

 

横山さん:

ぼくも、譜面を見たとき「高っ!」と思いました。でも、これはぼくの新たな一面を引き出そうという提案なのかな、と。この曲を出すこと自体が新しい挑戦なので、色々な化学反応を楽しもうと。頑張りました。

 

悩むよりもポジティブに進みたい

  

でも、メジャーデビューとなると、プレッシャーもあると思いますが。売り上げとか…

 

横山さん:

そう! それなんですよ! 売り上げ!! 感じたことのないプレッシャーです…

横山だいすけ

 

『おかあさんといっしょ』では当然のように、1か月に1曲、1年にアルバム1枚、出してもらっていたんですよね。それが今は、1年近くかけてやっと、このCDシングルを発売できて。しかも「これが売れなかったら終わり」みたいな…(笑)。まぁ、そんなことはないと思いますが、自分の気持ちとしてはこれがダメだったらという不安はあります。 でも、それで悩むくらいだったら、どうやったらみんなが笑顔になれるか、自分が幸せになれるか、という方向になるべく転換するようにしています。時間っていうのは誰にでも24時間しかないので、そのなかで、みんなに笑顔を届けたいって人間が、悩んでいる時間の方が多かったら届かないなって思っちゃうんで。方向転換していった方が、楽しいのかなって。(つづく)

 

 

[PROFILE]

横山だいすけ

横山だいすけ


NHK『おかあさんといっしょ』の11代目うたのおにいさん。在任期間9年は歴代最長。同番組で大人気のキャラクター『かぞえてんぐ』とは大の親友。卒業した2017年4月からはテレビ、ラジオなど多方面で活躍。2018年シングル『笑顔をあつめて』(SME)でメジャーデビューを果たした。

 

取材・文/会田晶子 撮影/masacova!