父子の愛と絆を描いた、名作です

そうなんです…ママに捧ぐ映画というコラムのくせに、この映画の中では母親は登場しないんです…全国のママの皆さま、すいません。でもね、どうしてもこの父子の物語をママさんに見ていただきたい。妻は他界し、現在はストライキ真っ最中で無職、長男は荒れてるし、次男はバレエを始めるし、婆ちゃんは認知症という完全に追い込まれたお父さんの苦悩をぜひご覧いただきたいのです。きっと、多かれ少なかれ、隣にいるパパさんが通る道だと思います。

 

僕が最初にこの映画を見たのは、確か大学生の頃でした。その当時も“いい映画だなぁ”と思ったのですが、結婚して子どもが生まれて父となった今観ると、この映画の素晴らしさがより強力に伝わってきます。これ、ビリー少年が夢を叶える物語だと思っていたけど違うんだ…息子を愛するお父さんの成長の物語なんだ!

 

リトル・ダンサー
▲息子・晴太朗が父の日に描いてくれた似顔絵。

かろうじてメガネらしきものか見える。父親になった実感がわくよね。

 

そうだ、わかる、わかるよ、お父さん…“男は強くあれ!”とボクシングを習わせていたのに、女子に混ざって踊りまくってる息子を見た時のショックは半端ないよね。そしてバレエの国立学校に行きたいってことは親元を離れるって事だよね…そんなの心配で心配でのたうち回るよね…。

 

オーディションを受けさせたいけどお金はない。地元の友達からカンパを集めても全然足らない。妻の形見を売るしかない。オーディションに付いて行ったら他の受験生はお金持ちそうな子だらけ。オーディションの出来を聞いたらビリーは半べそで「時間の無駄だった!」とか言ってるし。オーディションの結果が届いたらビリーは泣いて別部屋に移動し引きこもる。もうお父さんの気持ちが七転八倒しまくり、ビリー君よりお父さんに感情移入している自分がいるのです。あぁ、不器用なお父さんの愛情が画面から溢れてるよ!

 

子供の成長は嬉しいけれど。

うちの子は4歳の男の子です。この4年間の成長は凄まじく、今じゃ自分の気持ちをはっきり言うし対等に会話も出来るし「え!?そんな事まで知ってるの!?」という発言を連発させ、日々の成長に驚かされています。とはいえ、まだ4歳。彼が生きる為に僕を頼っている事は明白だし、だからこそちゃんと守り、育てていかないといけないなぁと思ってます。

 

お陰で面倒な事もたくさんあります。「トイレの中からオバケが出てくるかも知れない…蓋を開けるのが怖いんだ…」という謎の理由でトイレに毎回付き合って蓋を開けてあげないといけないし、スーパーに行けば「お父さんがビール買ったのになんで僕はお菓子を買ってもらえないの?」という論破できない質問をぶつけられてビールより高いお菓子を買わされたり。「働いてから買えよ、バカ!」とか言うと泣くし。

 

あぁ、4歳児。なんて手強いんだ4歳児。でも、これがあと何年続くのか。そのうち、自分の進路を考え、自分で行動し、いつか親元を離れていく訳です。父親である僕の意見を聞いてもらえなくなる日がいつか来るのでしょう。それは人としての成長である、と頭では分かっていてもどれだけ寂しい気持ちになるのか全く想像が出来ません。「俺がビールを我慢してお菓子を買ってあげた恩を忘れたか!」とか言っても「知らねえし!」と返される日が来るわけです。あぁ、どうしよう。泣いちゃうかも知れない。しかし、この映画はそんな僕を励ましてくれます。それでもお父さんは愛情を注ぐんだ!息子の未来を守るんだ!と。

 

リトル・ダンサー
▲好き嫌いもなく割となんでも食べてくれてありがたい。ただ、スパゲッティは発音が難しいらしく「スカベッピ」と呼んでます。こんなかわいい言い間違いも、そのうち無くなっちゃうんだよね!