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「公立VS私立」高校までの進路選択に失敗しない、最新マニュアル

マネー

2018.07.30

子どもが生まれて幼稚園入園を考える頃から、公立と私立、どちらの学校に進むかの選択を迫られます。以降続く節目ごとの進路選択で正しい判断をするには、教育費の“現実”を知っておくのはもちろんのこと、公的な支援制度や進学状況なども頭に入れておかなければなりません。事前にそういった調査をせずに、「公立に行っておけばよかった」「私立に行っておけばよかった」と後悔しても後の祭りです。無謀な選択をして家計の悪化を招かないために、また、子どもの明るい未来のためにも、教育費やそれに絡む情報にアンテナを張っておく必要があるのです。

 【写真1】shutterstock_1111966961

 

高校までの教育費は家計で賄うのが前提

 

「大前提として、高校までの教育費は家計の範囲内でやりくりすることを肝に銘じてください」

 

こう語るのは、個人家計の相談に乗り、教育費関連の著書も多いファイナンシャル・プランナーの竹下さくらさん。どういうことでしょうか?

 

「教育費がもっともかかるのは大学です。例えば、私立大学文系学部に自宅外から通う場合、初年度300万円、2~4年目は年200万円程度かかり、総額900万円を超えます(文部科学省などのデータをもとに試算)。ここまでの大金を家計だけでは賄えないため、別途大学のお金を貯蓄などで備えるご家庭が大半だと思います。一方、高校までの教育費は、そこまで大きな金額はかかりません。別途貯めておく必要性は低いので、家計をやりくりして賄うことになるのです」

 

日々の生活費に加えて教育費となると、家計が回っていくのか心配する人も多いと思います。その不安を取り除くには、高校までの教育費をあらかじめ把握しておくことが第一です。また、公立と私立の金額の差を認識しておくことも大切です。

 

下のグラフは、幼稚園から高校まで、1年ごとの学習費(学校教育費+学校教育費+学校外活動費)を公立と私立に分けて示したものです。文部科学省の最新データを引いています。まずはしっかりご覧ください。

竹下先生グラフ

 私立幼稚園に通うなら「私立幼稚園就園奨励費補助金」の活用を

【写真2】shutterstock_617206844

では、幼稚園から順に教育費の現実やその他、進路選択に必要な情報を解説してもらいましょう。

「共働きで保育園に通わせない場合は、3歳から幼稚園に通わせることになります。とにかく安く抑えたいなら公立。私立に比べて1年あたりの学習費は約半分ですみます。ただし、地域によっては倍率が高く、公立に行きたくても行けないケースも少なくありません」

 

幼稚園は公立よりも私立が全体の約6割と多数を占めます。また、子どもが小さいうちは比較的家計にゆとりのある家庭が多いため、「幼稚園なら私立でも払える」と考える傾向が強いといいます。

「私立を望むなら、1年あたり約50万円程度の学習費を見込んでおけば安心です。あわせて、『私立幼稚園就園奨励費補助金』という公的な支援の利用をおススメします。これは私立幼稚園の月謝、入園費を補助するもの。経済的に苦しい中で私立選択を余儀なくされた家庭などは保障が手厚いので、ぜひ活用すべきですね」

 

次は小学校。私立1年時の学習費が約184万円と跳ね上がっていますが、実際に私立に進学するのはレアケース。

 

「私立小学校は全体の1%にしかすぎません。公立に進学するご家庭が大半なのです。公立小学校の学習費は学年によって多少の差はあるものの、年3040万円程度を見込んでおけばいいでしょう」

 

 

中高一貫校を目指すための塾代は3年間で200万円超

 

中学校も私立は全体の7%にすぎず、大半の家庭は公立に進学します。ただし、大都市圏では事情が異なり、近年、首都圏を中心に中学受験に関心を寄せる家庭が増えているといいます。私立の中高一貫校を目指すケースです。

「東京大学など上位大学の進学実績を見ると、中高一貫校の出身者が多数見られます。そのため、中学受験を上位大学進学のパスポートと捉えている親御さんが多いのです」

 

しかし、誰もが中高一貫校を目指せるわけではありません。私立中学校の1年時の学習費は約157万円と、公立の3倍以上です。2年時、3年時の学習費も私立は年100万円を超えています。これだけのお金を家計から捻出できる家庭は限られるでしょう。

 

また、中学受験に向けた歩みは小学校4年生からスタートします。中高一貫校を目指す場合、中学受験専門の塾に小4から3年間通うのが一般的です。

「塾代は毎月の月謝と夏期講習などを含め、小4で年4050万円程度、小5で年6070万円程度、小6で年100万円超と年々アップしていきます。その負担も加わるわけです」

 

我が家が中学受験OKの限れた家庭かどうかは、どのように判断すればいい?

「あくまで目安ですが、小6のときの年100万円超の塾代が無理なく払える家庭なら、私立中高6年間の経済的な心配はクリアできると思います。逆に、小4でなんとなく塾に入ったものの、小5、6に上がるにつれて家計がきつくなってきたら、早めに収入アップの手立てを探すか、中学受験に見切りをつけることも検討すべきです」

 

公立高校だけでなく私立高校にも手厚い支援が拡大

【写真3】shutterstock_1016638276 (1)

高校では私立が全体の約26%と増えて、これまでより身近な存在になります。それでも、1年あたりの学習費は公立より私立のほうが断然高いのは変わりません。

「ただ、公的な支援が公立高校だけでなく私立高校にまで拡大していたり、大学の進学状況も公立と私立では大きく違っています。そういった情報も加味して判断しないと、進路選択を誤りかねません」

 

まず、公的な支援について。2010年4月に始まった公立高校の授業料無償化が、2014年4月から私立高校にも適用。公立、私立とも、家庭の所得に応じて「高等学校等就学支援金」が国から支給されるシステムに変りました。

「私立高校の場合、公立より授業料が高い状況を踏まえ、国から支給される高等学校等種労支援金に、都道府県ごとに上乗せを行う制度が実施されています。例えば東京都のケースでは、2017年に私立高校の授業料無償化を導入。2018年度は、国の就学支援金にプラスして『授業料軽減助成金』が、合計で年額449000円(私立の平均授業料)まで出ることになりました」

 

給与所得者の夫婦、16歳以上の高校生1人、中学生1人の4人世帯のモデルケースでいうと、国の就学支援金を受けられるかどうかの基準は年収約910万円未満。都道府県の授業料軽減助成金の同基準は東京都の場合で年収約760万円未満。仮に年収590760万円未満であれば、国の就学支援金は118800円、東京都の授業料軽減助成金は33200円となります。

 竹下先生作成の図_東京都の例

 

大学現役合格率は公立高3割、私立高7割

私立高校は国の就学支援金+都道府県の授業料軽減助成金を受けられます。なかでも東京都の授業料軽減助成金は手厚いため、近年、私立高校の人気が高まっているといいます。

2018年の高校受験では、東京都立高校の全日制31校が3次募集まで行いながら30校が定員割れし、うち17校は応募なしという状況でした。私立高校の授業料無償化により、公立から私立に流れたと推測されます」

 

この流れには、大学の進学状況も関係していると竹下さんは指摘します。「東京都では、大学現役合格率が公立高校は約3割、私立高校は約7割という調査データがあります。希望の大学に現役合格できなかったら浪人を余儀なくされます。公立の場合はその可能性が高く、年間最低100万円以上かかる予備校などの浪人費用を想定しておかなければいけないのです。私立の場合は私立高校から私立大学への推薦枠が多数あるため、浪人の可能性は公立より低くなります。それもあって私立人気が高まっているのでしょう」

 

進路選択は難問ですが、お金の無理はもちろん、わが子への過度な期待も禁物。現実を頭に入れて、私立・公立の最良な選択したいものですね。

 

教えてくれたのは…

ファイナンシャル・プランナー

竹下さくらさん

兵庫県神戸市生まれ。慶應義塾大学商学部にて保険学を専攻。損害保険会社、生命保険会社勤務を経て、1998年にFPとして独立、現在に至る。「なごみFP事務所」を共同運営。主に個人向けのコンサルティングに従事し、講師・執筆活動なども行っている。二児の母。『「教育費をどうしようかな」と思ったときにまず読む本』(日本経済新聞出版社)『「奨学金」を借りる前にゼッタイ読んでおく本』(青春出版社)など著書多数。

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