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■リスクをカバーする公的年金

将来的には公的年金は破綻するから、支払損になると考える若い世代も多いようです。そのため、最近では年金を納付しない若者が増えており、社会問題となっています。


公的年金の受給額は低下傾向にありますが、今後国の制度ですから、破綻することはまずありません。


しかも、民間の保険会社が提供している年金保険よりも、公的年金のほうがとても還元率の高い保険だといえます。 公的年金はさまざまな手厚い保証もついており、いざというときに家計を助けてくれる保険なのです。


加入者が病気やケガをしてしまったときに受け取れるのが障害年金です。障害の程度によって受給できる金額は異なります。


障害年金というと、肢体が不自由にならないと受け取れないのでは?と思いますが、がんや糖尿病、心疾患などの内部疾患も対象になっています。発達障害や若年性認知症などの認知障害も対象になります。


加入者が死亡してしまったとき、生計を維持できるよう配偶者に支払われるのが遺族年金です。国民年金に加入している場合は遺族基礎年金を、厚生年金だと遺族厚生年金も合わせて受給できます。


これ以外に65歳から受給できる老齢基礎年金があります。子どもの小さな家庭では、夫だけが働いていることも多いため、いざというときのことを考えて、必ず加入しておくようにしましょう。

■収支を把握することが大切

公的年金がそれほどあてにならないからといって、預貯金ですべて賄おうしても無理があります。老後にお金で困らないためには、家庭の収支を把握しておくことが一番大切です。


老後の生活費はどれくらいかかるのか、老後の収入はどの程度あるのか、どの程度の蓄えがあればよいのかを理解していれば、老後の生活をシミュレーションすることが可能です。


公的年金額がいくら受給できるか分からない場合は、ねんきん定期便などで確認することができます。

■老後に困らないために気を付けること

長年勤めていた会社から退職金が支給されると、その資金は自分に対するご褒美だと考える人も少なくありません。


そのため、豪勢な海外旅行に出掛けたり、大きな買い物をしたり、投資につぎ込んだりと、後先を考えずに退職金を使い切ってしまう人もいます。


退職金は、もらうべき給料が後払いになっているだけなので、本来は老後の生活資金に充てるのが正しい使い道といえるでしょう。 若い今だからこそ、将来に備えて人生設計を描き、計画的に貯蓄をしておくと安心です。場合によっては、親に重い負担がのしかかる子どもの教育費の見直しも必要でしょう。


高校や大学も公立と私立では大きな違いがあります。子どもとよく話し合い、公立を選んでもらうなどの工夫することも大切です。


また、住宅ローンがある場合は、繰り上げ返済をしてなるべく定年前までに完済しておくと、老後の生活が楽になるでしょう。

■まとめ

「老後破産」という言葉に対して、過剰に不安になる必要はありませんが、将来に備えて、計画的に貯蓄を行うことはとても大切です。


また、「将来年金制度は崩壊する」などという人もいて、支払いしないほうがよいかも…などと思う人もいるかもしれません。


しかし、そうした話はこれまでもずっと出ていますが、現在も公的年金制度はしっかり運用されています。また、公的年金制度には相互扶助の意味もあり、国民としての義務ですから極力期間内に収めるようにしましょう。


もし、支払いが難しい場合はそのままにせず、担当窓口に早めに相談しましょう。