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年末調整で見落としやすい7つの節税ポイント

マネー

2019.12.07

年末調整は、会社員にとって年末の恒例行事、おなじみの手続きでしょう。税金の一部が返金されると、ちょっとした小遣い稼ぎのように感じるかもしれません。

 

しかし、年末調整で申告できるものを見落としてしまい、税金を払いすぎのままにしている――という会社員も少なくありません。ここでは、年末調整で受けられる控除のうち、「申告をよく忘れてしまう5つの控除」をまとめて紹介しましょう。また申告期限が過ぎてから忘れたことに気づいた場合など、「2つの対処法」もお伝えします。合わせて「7つのポイント」が節税テクニックの要点です。

 

「2019年分の年末調整用書類を勤務先に提出した後で、控除などの申告漏れに気づいた」という人でも大丈夫、まだ十分間に合います。

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当記事は「東洋経済オンライン」(運営:東洋経済新報社)の提供記事です

「子どもの年金保険料」を肩代わりすれば控除対象に

年末調整とは、給与やボーナスから天引きされた税金を精算する手続きです。

 

天引きされる税金は、給与額からざっくりと計算された額であり、いわば、仮払いのようなもの。そこで年末調整では、生命保険料や扶養控除など、所得から控除できる(差し引ける)ものを考慮して税額を再計算し、納めすぎた分は還付されます。所得から控除できるものが多いと税額は安くなるため、その控除を漏れなく申告することが税額を抑えるポイントになります。

 

申告するのを忘れがちな控除の1つ目が「子どもの国民年金保険料」です。

 

子どもが20歳になると、学生であっても年金保険料を支払う義務があります。保険料を支払えば将来、受け取れる年金額が多くなりますが、学生でいながら保険料を納めるのは難しいところ。学生納付特例制度(保険料を支払わなくて済むが、加入期間には算入される。ただし、老齢年金には反映しない)を利用しているケースが少なくありませんが、親が保険料負担しているケースもあります。

 

国民年金保険料は、支払った全額が「社会保険料控除」の対象となり、所得から差し引かれます。自分の分の保険料が控除対象と思いがちですが、子どもの年金保険料を親が支払った場合、子の分まで社会保険料控除を受けることができます。子どもと同居していなくても対象になります。こうした年金保険料の控除の申告を見落としていることが多いのです。

 

忘れがちな控除の2つ目は、「寡婦控除・寡夫控除」です。これは、離婚や死別によってシングルになった人に対する控除で、寡婦(女性)と寡夫(男性)で控除の内容が異なります。

 

寡婦控除の場合は、①離婚や夫と死別した人で、再婚せず、扶養親族(親や兄弟)または生計を一にする子がいる、②夫と死別し、本人の合計所得金額が500万円以下――のいずれかに該当すると、所得から27万円(住民税計算では26万円)が控除されます(控除を受ける年の12月31日時点で該当すること。以下同)。シングルマザーだけでなく、離婚などでシングルになったあと、親や兄弟を養っている人も対象になるわけです。

 

さらに、③夫と死別もしくは離婚後、再婚していない、④本人の合計所得が500万円以下、⑤生計を一にする子がいる――という3つの条件を満たす場合は、特別の寡婦として控除額が35万円(住民税計算では30万円)に増えます。

 

一方で寡夫の場合は、妻と死別もしくは離婚した後、再婚していない。本人の合計所得が500万円以下、生計を一にする子がいる場合です。特別の寡婦といった制度はありません。

 

田舎で年金暮らしの親も「扶養」に入れられる

専業主婦や高校生、大学生の子どもがいると「扶養者控除」が受けられますが、親を扶養している場合も控除が受けられることは知っていますか。これも見落としがちな控除の3つ目です。

 

親の年金収入が一定額以下で、親を経済的にサポートしていれば、親も扶養に入れることができるのです。同居している親だけでなく、別居している親に定期的に仕送りしている場合も対象になります。

 

親の収入には制限がありますが、65歳以上で収入が年金のみなら、年金が158万円以下であること。控除額は、親が65~70歳では38万円(住民税計算では33万円)、70歳以上では同居なら58万円(同45万円)、別居では48万円(同38万円)です。

 

ただし、ここで考えるべきは「誰が控除を受けるか」です。所得税や住民税では、所得が多いほど税率が高くなり、税率が高い人ほど、控除を受ける効果が大きくなります。例えば38万円の控除を受けるなら、税率10%の人が得る軽減額は3万8000円ですが、税率20%の人は7万6000円と倍になります。親を扶養にする場合、実の子かどうかは問われません。夫婦で扶養している場合は、夫か妻のうち、年収の高い人が控除を受けたほうが有利です。

 

申告を忘れがちな控除の4つ目は「iDeCo(個人型確定拠出年金)」に関するものです。iDeCoは掛け金を自分で選んだ商品で運用し、将来、年金や一時金として受け取る制度です。掛け金が全額、所得から控除され、所得税や住民税が軽減されるのが大きなメリットなのですが、会社員や公務員がこのメリットを受けるには、年末調整での手続きが必要です。これを忘れる人が少なくありません。

 

iDeCoの掛け金の控除は「小規模企業共済等掛金控除」として扱われます。年末調整には、10~11月ごろに国民年金基金連合会から送られてくる「小規模企業共済等掛金払込証明書」が必要です。

 

年末調整の書類にある「小規模企業共済等掛金控除」の「個人型又は企業型年金加入者掛金」という欄に、証明書に記載されている掛け金の総額を記入します(iDeCoの開始年で、最初の拠出が10月以降だった場合や、拠出が年1回の場合は、年末調整では手続きできず、確定申告をする必要があります)。

 

iDeCoの節税効果を具体的に見てみましょう。例えば、課税所得が330万~695万円の会社員(企業年金なし)の場合、所得税の税率は20%ですが、上限額(27万6000円)まで拠出すると、所得税と住民税を合わせて8万2800円の節税になります。実質的には19万3200円の負担で、27万6000円分を年金づくりに回せる、というわけです。所得が下がる分、健康保険料の負担も軽減されます。

「ふるさと納税」の控除は年末調整で手続きできない

5つ目は「ふるさと納税」に関係する控除ですが、これは手続きそのものが間違って理解されている、ということが少なくありません。

 

ふるさと納税は、「寄附金控除」を受けながら、自治体などに寄付ができる制度です。小さな負担で地方を応援できる――というわけですが、「年末調整でどのような手続きが必要か」と、よく質問されます。しかし年末調整で手続きはできません。「確定申告」もしくは「ワンストップ特例制度」を利用する必要があります。

 

「ワンストップ特例制度」が利用できるのは、確定申告の必要がない会社員や公務員で、1年間の寄付先(自治体)が5つ以内(1つの自治体に複数回寄付しても1自治体とカウントされる)であること、また寄付する都度、寄付先の自治体に「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を郵送していること――が条件です。ワンストップ特例制度を利用できない場合は、確定申告が必要です。

 

ここまで読んで、「該当する控除があったのに、手続きをしなかった……」と気づいた人もいるでしょう。「生命保険料控除証明書などの書類が見当たらず、時間もないから申告しなかった」という人もいるかもしれません。

 

そんな場合も、諦める必要はありません。対処法をお伝えしましょう。確定申告をすれば控除を受けることができるのです。

 

2019年の分については、2020年の確定申告時期に申告すれば、2020年の住民税に反映されます。また2018年より前の分にも申告漏れがある、という場合も大丈夫です。控除を受けられる翌年から数えて5年以内であれば、確定申告をして控除を受けることが可能です。

 

「数年前に離婚して寡婦になった」「数年前から親に仕送りをしている」というような人は、過去5年分の控除が受けられるのです。これを「還付申告」と呼びます。確定申告の時期に限らず、いつでも申告の手続きができます(年末調整でなく、確定申告での申告漏れの場合は「更正の請求」という手続きを行います)。

 

「つみたてNISA」などで、節税したお金に働いてもらう

こうして節税した分は、より有効に使いたいものですね。ここで、もう1つ、具体的な対処法をお伝えしましょう。

例えば、iDeCoによるおおよその節税効果は年末調整を待たずとも計算できます。また住民税については、翌年の税額が軽減される仕組みであるため、節税できたことが実感できず、知らない間に使ってしまうということにも注意が必要です。

どの程度の節税になるかを前もって確認し、節税できる分は「つみたてNISA」(一定期間、運用益非課税で積立投資ができる制度)などを使って資産形成に回すといいでしょう。

 

文/井戸 美枝 : CFP®、社会保険労務士 

 

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