2019.04.15
30・40代の働く女性は「老後資金」と言われても、まだピンと来ないかもしれません。でもこれからは「人生100年時代」と言われる、長〜い老後が待っています。
いまのうちから準備しないとシニア世代になったときにお金の不安におびえながら過ごすことにもなりかねません。働く女性がやるべき「老後資金」の備えについてお話しします。
あなたがもらえる年金は驚くほど少ない!?
突然ですが、毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」を開封して、内容を確認したことがありますか? この「ねんきん定期便」こそ、65歳以降のあなたの収入がどうなるかを教えてくれる〝未来からの手紙〟のようなものです。
▲「老齢年金の種類と見込額」の右下の欄に、65歳からの年金見込額(年額)が記入されている。国民年金と厚生年金を合わせた額で、厚生年金の金額は働いた期間と収入によって大きく変わる。収入の大きい人ほど年金も多く、夫婦合算で月35万円以上になるケースも。
記載の「年金の見込額」は、今まで払った保険料に対しての額なので、40代まではまだまだ低いです。60歳まで働き続けると実際には増えていきますが、それでも女性の平均的な厚生年金の受給額は、年間約120万円(月額約10万3000円)。
男性の平均が約16万7000円ですので、夫婦合算では平均27万〜30万円程度にはなりますが…この金額で、果たして生活していけるでしょうか?
現在の30・40代を待ち受ける、さらに厳しい老後
「定年を迎えるころには子供の教育費もないし、夫婦ふたり暮らしだったら生活費はそんなにかからない」と思うかもしれませんが、現実はなかなか厳しいのです。
定年後の収入は、現役時代の「半分〜3分の1」に減ると言われています。一方、支出を半分に減らすのは現実的に難しく、退職金や貯金を切り崩して赤字分をカバーするケースが非常に多いのです。
特に定年が60歳の場合、年金の満額支給が始まる65歳までの「空白5年間」で貯金が大きく目減りし、いわゆる〝老後の貧困〟に陥ってしまうのです。現在の30・40代の老後は、いまの60代以上よりさらに厳しくなると言われています
理由としては……
●退職金がさほど期待できない
●年金の支給スタートが65歳以降になり、空白期間がさらに長くなる可能性がある
●長期の住宅ローンを組むケースが多く、定年までに返済が終わらずに退職金を使ってしまったり、定年後も払いつづける人が増える
などが挙げられます。厳しいことばかり書いてしまいましたが、いまのうちから現実を見て覚悟を決め、できることから実行していく必要があるのです。
50代からでは遅い?! 増やしたいならなる早で
30・40 代でやるべきことはまずは家計の赤字をなくし、教育資金やマイホーム資金、毎年の旅行資金などの「使う予定のある貯金」を確実に増やすのが優先になります。
しかし、「つみたてNISA」や「iDeCo」などを利用して老後資金の準備を始めれば、「長期・分散・積立」でリスクを抑えながら、定期預金をはるかに上回る3〜5%という利回りが期待できます。実際に試算してみましょう。
「つみたてNISA」を利用して、毎月3.3万円を3%の利回りで「10年間」「20年間」運用した場合の、お金の増え方を比較してみました。
<10年間運用した場合>
<20年間運用した場合>
金融庁HP「資産運用シミュレーション」より
※3%の想定利回り、年1回の複利で試算。「つみたてNISA」の積立限度額は年間40万円(月々約3.3万円)で利用は20年まで。
10年間では元本396万円に対して、運用益は65.1万円(資産総額約461万円)ですが、20年間では元本792万円に対して、運用益は291.4万円(資産総額約1083万円)で、10年間の運用益に比べると約4.5倍!
つまり「つみたてNISA」や「iDeCo」を利用した老後資産作りは、早ければ早いほど有利。時間を味方につけた人の勝ちというわけです。
「つみたてNISA」も「iDeCo」も、税金の優遇制度があり運用益が期待できるとはいえ、元本は保証されておらず、経済状況によってはマイナスになることもあります。
そして運用益を期待しすぎて、家計的に無理のある金額をつぎ込んでしまうのも本末転倒です。まずは数千円〜1万円程度の「万が一マイナスが出てもリスクを許容できる金額」で始めてみるのがおすすめです。
30・40代の老後資金の準備は、「金額のことより早く始めることが大切」と心得てください。
ライター:小中島 浩昭
出版社の編集者を経て、フリーのマネーライターに。ファイナンシャルプランナーの資格を持つ。手間をかけずにお金を貯める方法を模索中。妻、高3、高2の年子の4人家族。