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「敷金」と検索するあなたが、今すぐ読むべき法律の知識

マネー

2018.05.29

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アパートやマンションなどを借りて暮らしている場合、契約期間が終了したり新しい家を購入したりすると、契約を解除して引っ越しをしなければなりません。このとき、大家から契約当初に差し入れた「敷金」を返してもらえなくて、トラブルになる可能性があるので、注意が必要です。今回は、賃貸アパートやマンションなどで、敷金を返してもらえない場合の対処方法を元弁護士がご紹介します。

 

1.敷金とは


一般的に、賃貸アパートやマンション、賃貸用の戸建てなどを借りるときには「敷金」を差し入れることが多いです。そもそも敷金とはどのようなお金なのか、ご存知でしょうか?

 

敷金とは、賃借人の債務を担保するためのお金です。

わかりやすく言うと、賃貸借契約の最中に賃借人が賃料を支払わなくなった場合や、賃貸人が借りている住居に大きな損害を与えたりした場合に備えて、賃貸人があらかじめお金を預かっておくのです。賃借人が賃料不払いを起こした場合には、敷金を不払いの賃料に充当することができます。

 

このように、敷金は、将来の不払いや損害発生に備えて賃貸人が「預かる」お金ですから、問題が発生せずに賃貸借契約が無事に終了するのであれば、基本的に全額返してもらえるはずのものです。

 

2.敷金はどこまで返してもらえるの?


しかし、実際には敷金全額の返還を受けられるケースは少ないです。

 

原状回復費用を差し引かれる

契約期間中には、どうしても賃借人が物件を汚したり損傷させたりするので、そういった分については敷金から差し引かれます。そこで、敷金を返還してもらう際には、「原状回復費用」を差し引かれます。原状回復費用とは、物件を契約当初の状態に戻すためにかかる費用です。たとえば壁紙を汚していたり床に穴を開けていたり、建物内部を改造していたりすると、それらを元に戻すための工事の費用が差し引かれます。

 

経年劣化分は差引の対象にならない

敷金から原状回復費用を差し引かれるとしても、建物は時間が経つと自然に劣化していく物ですから、完全に借りたときと同じ状態に戻すことまでは求められません。こうした経年劣化にもとづく損耗については、賃借人の原状回復義務の範囲に入らないのです。元に戻さないといけないのは、特に賃借人による建物利用方法に問題があって、物件を損傷させたケースや改造を加えたケースなどです。

 

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たとえばペットを飼っていて建物内部の壁やドアを大きく傷つけてしまった場合や、タバコを吸っているので壁を変色させたしまった場合、カギを紛失してカギ交換が必要になった場合などに費用負担が発生します。賃貸借契約では、賃借人がハウスクリーニング代を負担する内容になっていることが多いのですが、賃借人が清掃を行うのであれば必ずしも負担する必要はありません。

 

3.敷金を返してもらえないパターンとは?


敷引き特約

しかし実際には、賃貸借契約締結時に「敷引き特約」がついていて、賃貸人が敷金の満額返還に応じないことが多いです。

敷引き特約とは、賃貸借契約の終了時において、当然に一定の金額を敷金から差し引くとする特約です。たとえば、「契約当初に30万円の敷金を差し入れ、20万円を敷引きとして、契約終了時には残りの10万円のみ敷金を返還する」と定められているケースなどです。

 

敷引き特約が無効になる可能性

しかし、敷引き特約は必ずしも有効になるとは限りません。消費者契約法は、消費者に一方的に不利益になる契約条項は無効であるとしています。また、最高裁判所も「敷引き金額が一般的な相場と比べて過大な場合には、特段の事情がない限り、敷引き特約が無効になる」と判断しています(平成23年3月24日)。

 

そこで、大幅な敷引き特約がついていたとしても、その特約は無効であると主張して、敷金の満額返還を求められる可能性があるということです。

 

 

4.敷金を返してもらえない場合の対処方法


賃貸借契約に敷引き特約がついている場合、通常大家は敷金の満額返還に応じないでしょう。敷引きが過大になっている場合に敷金を返してもらいたかったら、どのように対処すれば良いのでしょうか?

 

内容証明郵便を送って交渉をする

まずは、内容証明郵便を使って敷金返還の請求書を送りましょう。そして、大家と直接話し合いをして敷金返還を求めます。合意ができたら敷金を返してもらうことができます。

 

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少額訴訟

内容証明郵便を送付しても大家が敷金の返還に応じない場合には、「少額訴訟」という裁判手続きを利用して、敷金の返還を求める方法が考えられます。少額訴訟とは、請求金額が60万円以下の場合に利用できる簡単な裁判手続きです。1日の期日で判決まで出してもらうことができるので、スピーディにトラブルを解決できますし手続きも簡単なので、弁護士に依頼しなくても個人が利用しやすいです。

 

通常訴訟

求める敷金の金額が60万円を超える時には、少額訴訟を利用できないので、通常の裁判によって敷金返還請求する必要があります。ただ、通常訴訟は非常に時間もかかりますし、弁護士に依頼すると費用もかさむので、費用対効果も考えてから訴える方が良いでしょう。

 

賃貸借契約では、敷金問題を始めとしたさまざまなトラブルが起こりやすいです。各場面において正しい知識を持って対処することが大切です。

 

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取材・文/福谷陽子

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