2019.07.25
2019年5月10日、未就学児を持つ家庭にとって朗報とも言えるべき法案が可決・成立しました。
それは幼児教育・保育の無償化を盛り込んだ、改正子ども・子育て支援法です。
2019年10月1日から幼稚園・保育所・認定こども園などを利用する3歳児から5歳児クラスの子どもたちおよび、住民税非課税世帯の0歳児から2歳児クラスまでの利用料が無料になるというもの。
そうした幼児教育・保育無償化について詳しくご紹介したいと思います。
■今までも幼児教育・保育料の軽減措置はあった?
実を言うと、この法案が可決される以前にも幼児教育・保育料の軽減措置というのは実施されていました。
ただし、軽減措置を受けるためには条件が設けられているため、全ての家庭がそれに該当するわけではありません。
【幼児教育・保育料の軽減措置を受けられる家庭】
・生活保護世帯やひとり親世帯で市町村民税非課税世帯
生活保護を受けている世帯や、ひとり親世帯でなおかつ市町村民税非課税世帯の場合、第1子から保育料は無料になります。
・多子世帯
子どもが2人以上いる世帯では、2人目からの利用料が軽減されます。
第2子は半額に、第3子以降は無料となるため、子どもが多い家庭にとっては経済的に負担がかなり軽減されるのではないでしょうか。
また年収360万円未満の世帯に関しては軽減措置がさらに拡充され、特にひとり親世帯は第1子から半額未満の利用料で済みます。
■幼児教育・保育無償化の対象となる世帯
現状の軽減措置では大抵の世帯の場合において第1子は保育料を全額払う必要がありますが、2019年10月からは3歳児から5歳児であれば、全世帯において第1子から無料となるんですね。
・3歳児から5歳児のいる全世帯(1号認定・2号認定)
1号認定(3歳児から5歳児の幼稚園)、2号認定(3歳児から5歳児の保育園)は全世帯において保育料が無料となります。
年収についても上限などはなく、一律すべての家庭において幼稚園(月額上限2.57万円)・保育園・認定子ども園などの保育料がかからなくなります。
・0歳児から2歳児のいる世帯(3号認定)
0歳児から2歳児のいる世帯(3号認定)で市町村民税非課税世帯については無料となります。
それ以外の世帯については、今までと同様の条件で保育料がかかってしまいますので注意が必要です。
■認可外保育施設や預かり保育などはどうなるの?
・認可外保育施設等
幼稚園や認定保育園、認定こども園などで無償化が行われますが、認可外保育施設等ではどうなるのでしょうか。
実は認可外保育施設等においても無償化は実施されます。
認可外保育施設等とは、認可外保育施設の他に地方自治体独自の認証保育施設、ベビーホテル、ベビーシッター、認可外の事業所内保育等を指しますが、これらの施設において3歳児から5歳児であれば月額3.7万円まで、市町村民税非課税世帯の0歳時から2歳児であれば4.2万円までが無償化となります。
・幼稚園の預かり保育
幼稚園終了後も希望者については子どもを預かってくれる預かり保育ですが、こちらについても軽減措置がとられています。
通常の幼児教育料(月額上限2.57万円)に加え、預かり保育料も月額上限1.13万円までであれば無償で利用することができます。
1号認定の子どもに対しても1.13万円までは無償化となるので、何か急用が出来たときなどには安心して預けることが出来るのではないでしょうか。
・障害児通園施設
障害児通園施設を利用する3歳児から5歳児までも無償化の対象となります。
もともと0歳児から2歳児については、市町村民税非課税世帯において無償となっていましたが、今回の新制度により3歳児から5歳児までの子どもについても対象となりました。
また、幼稚園・保育所・認定こども園と障害児通園施設を両方とも利用する場合においては、両方とも無償となります。
■幼児教育・保育無償化で注意すべき事
未就学児のいる家庭にとっては、保育料が無料になるためとてもうれしいことのように感じますが、果たして手放しで喜んでしまっても良いのでしょうか。
油断していると思わぬところで落とし穴にはまってしまうなんていう可能性もあるので、十分注意が必要ですよね。
ではどういった点に注意しなければならないのでしょうか。
・実費として徴収されている費用は無償化の対象外
必ず頭に入れておかなければならないのが、幼児教育・保育が無償化されるからといって、完全に0円で通わせることは出来ません。
あくまで幼稚園や保育園の利用料が無料となるだけであり、その他実費については今まで通り払う必要があります。
バス通園であればバス代、給食費、行事費、施設利用費などについては、対象外です。
・保育士不足が懸念される
経済的な理由により今まで幼稚園や保育園に通えなかった子どもたちも、無償化になれば施設を利用することができるようになります。
そうすると、現時点でも保育士不足が問題となっていますが、利用する子どもの人数が増えることによって、さらに保育士が必要となります。
保育士不足が加速すれば、当然幼稚園や保育園の質の低下を招くことにもなりかねません。
そうしたことも頭の中に入れておきながら、子どもにとってよい保育や幼児教育のあり方をともに作っていく必要があると言えるでしょう。
■まとめ
2019年10月から始まる幼児教育・保育無償化。
無償化されるからと言ってむやみに喜ぶのではなく、メリットとデメリットをしっかりと把握しておく必要があります。
メリットだけではなくデメリットもあるということを頭に入れておき、後々「こんなはずでは」とならないよう注意しましょう。