2019.03.05
この春、復職に備えているママも多いはず。夫婦で働けば収入はアップするけれど、お金の管理は煩雑に。そもそも、共働きってどう家計管理するのが正解なの? そこで、多くの共働き家計相談にのってきたファイナンシャルプランナーの前野彩さんに、その極意を伺ってきました。6回シリーズでお届けします。
お話をうかがったのは 前野 彩(まえのあや)さん
FPオフィスwill代表。CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。個人の家計相談を中心にテレビや講演等、全国にて幅広く活躍ズボラで節約嫌い、家計簿嫌いを自認する本人が考案した、合理的で効果バツグンの家計管理が大好評。「本気で家計を変えたいあなたへ<第3版>」(日本経済新聞出版社)他、著書も多数。http://www.fp-will.jp/
「知られたくない、だから聞かない」になっていませんか?
共働きは、今やスタンダード なのに、「共働きの家計管理」となると、これといった正解がなく、「これでいいのかな…」と思いながら見てみぬフリ…が実態。お互い踏み込めない部分があるけれど、でも、不透明なままじゃ将来が不安です。
「共働きの場合、お互いの収入や貯蓄についてオープンに話ができていないご夫婦が意外と多い」と前野さん。「結婚したときから家計について話し合っているご夫婦は、その後もお金についてもオープンに話ができるですが、最初にお金の話に触れないまま生活をスタートさせてしまうと、お金について話し合うきっかけを失いがちです」。
その根っこにあるのは、じつは恐れにも似た感情。「お金のこと聞くなんて細かいって思われそう…」 とか、「相手のことをつついたら、自分のお金の使い方をとやかく言われるんじゃないか…」という不安が先に。その結果、口出しされたくない、だから相手にも聞かないという関係が成立してしまいます。
夫婦でありがら、まさにアンタッチャブル状態。「でも、人生にはお金の問題を避けられない時が必ずきます。出産や育児による妻の休職、子どもの入学やマイホームなどをきっかけに、それまで避けてきた問題が表面化するんです」
お財布は別々でも夫婦で「全貌」を共有する
となるとやはり、お財布を一緒にして家計を一本化するのがベスト? 「いいえ、必ずしもお財布が同じでなくちゃダメというわけではありません。お互いが家計の全貌をわかっていることが大切なんです」。
「共働きは、一家の中に社長が2人いるようなもの」とたとえる前野さん。「社長は部署ごとの細かいお金事情までは把握してなくても、会社の売上、経費、利益はちゃんとつかんでいますよね。それと同じと考えてください」
夫婦2人の手取り収入の合計がいくらで、いくら使っていて、いくら貯められているのか。ざっくりでいいから、夫婦が同じように全体をつかんでいないと、会社経営と同じで、将来に向けて健全な家計は実現できません。
夫婦はいわば運命共同体。自分の財布の中だけ帳尻を合わせて、家計全体が見えていないと、どこか「相手まかせ」な感覚が生まれてきます。「夫のほうが収入が多いんだから、少しは貯めているだろう」とか、「教育費がかかるけど、きっと妻がなにか考えてくれているんだろう」など。
悪気はなくてもついつい楽観的な期待をしてしまいがち。困って相談したときに、そのズレが明らかに…。こうなると、喧嘩にはなっても解決にはほど遠い状態です。
シンプルに現状認識を目指すことから
もし、家計がピンチになったとしても、夫婦で現状認識ができていれば改善しやすいと、前野さんは断言します。
「家計相談にみえるご夫婦も、お互いに情報を共有していたり、相談ができているお宅はどんどん改善に向かっていきます。ところが、どちらかいっぽうが相談に来ても、もうひとりに問題意識がないと、一緒に話を聞いてもらうことすら難しい」。
至急テコ入れが必要な状態でも、スタート地点に立つまでに時間と労力がかかってしまうと言います。この記事を読んで「うちかも…」とドキリとしたあなた、とはいえ、明日からすべてをオープンに! とはいきませんよね。
「いきなり相手のおこづかいを減らそうとしたり、お金の使い方に口を出すとうまくいきません。まずは自分の行動を変えつつ、責めたい気持ちがあってもぐっとこらえて、前向きになれるように切り出してみて」。
とりあえずの目標は、今家計がどうなっているのかを夫婦で知ること。たとえば、「将来困らないように、必要なお金をどう貯めるかを一緒に考えたい」などと伝えれば、構えずに協力してくれそう。お互いのお金の使い方を尊重しながら、まずは情報共有を目指してみましょう!
次回は「共働き家計の貯金」お楽しみに!
ライター:のざわやすえ
出版社での編集を経てフリーに。ライター・エディター活動の一方で、主婦雑誌で培った知識をもとに「暮らし方アドバイザー」として、整理収納や家事タスクのアドバイスでも活動中。また、趣味のソーイングではオーダー業も。働きながら育てた一男一女は、この春から高2、高1に。