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ひとり親への経済的・心的支援で「子どもの未来を犠牲にしない」

マネー

2021.09.24

離婚後、ひとり親として子どもを抱えてちゃんと生活していけるのか、不安を抱いている人は多いでしょう。

 

子育て支援から就労、住宅の支援まで、ひとり親を支える支援やサービスは意外とたくさんあります。もらえるお金や支援制度を知っておくことで、いざというときの安心材料にもなります。

 

また、親にとって最も悩ましいのが、離婚による子どもの心のケア。自身も3度の離婚を経験している家庭カウンセラーの新川てるえさんによると、子どもは親の離婚を「自分のせいかもしれないと」と自責の念を覚えるケースが多いといいます。

 

親の都合である離婚を子どもにどう伝え、どんなふうにフォローすればいいのでしょうか。

自治体の公的支援を無駄なく活用するなら役所へ通うこと

── もしひとり親になった場合、国からもらえるお金としては、どんな制度があるのでしょうか?

 

新川さん:

ひとり親家庭への公的支援は、国によるもの、都道府県が独自に行うもの、市区町村が独自で行うものがあります。

 

国から支給されるひとり親家庭への手当が、子どもが18歳になるまで支給される「児童扶養手当」。所得に応じて月額1万180円~43160円を受け取れます。ただし、2人目はぐっと金額が減り、5100円~1190円、3人目以降は3060円〜6110円になります。

 

都道府県独自のものとしては、東京都の「児童育成手当」(児童1人につき月額1万3500円)があります。

 

いずれも所得上限があり、現在の収入によっては満額を受けられないので、気になる人は自分が暮らす自治体のホームページなどで確認し、自分のケースと照らし合わせてみましょう。そこに、すべての親がもらえる「児童手当」が加わります。


── ほかにもさまざまな公的支援が受けられると聞きますが、どういったものがありますか?

 

新川さん:

ひとり親が受けられる支援はいろいろありますが、そのひとつが医療費助成制度(通称マル親)です。

 

医療費の自己負担が、18歳までの子どもは無料、親は1割負担になります。また、資格取得への支援や職業訓練の給付金、求職活動支援、通勤定期の補助なども受けられます。

 

住んでいる市区町村によっては、市営住宅などに優先的に入居できたり、保育園の入園や学童保育の優先利用、地下鉄やバスの無料パス発行、上下水道料金の減免などを受けられます。

シングルマザー

── 自治体によって、支援の制度やサービスが多少違うのですね。自分ですべて調べるのはなかなか大変そう…。効率よく情報を得るにはどうすればいいでしょうか。

 

新川さん:

ひとり親家庭に関する支援の情報は、自分から積極的に取りに行かないと有益な情報が得られません。自治体のホームページにも情報が載っていますが、それよりも、行政の相談窓口に足を運んで、必要な情報について直接確認することをお勧めします。

 

役所の相談窓口には、ひとり親家庭専門の相談員さんがいて、離婚に関する問題や離婚した場合に利用できる手当や支援など、わからないことを尋ねるといろいろと教えてくれます。

 

行政の窓口で相談するのは敷居が高いと思うかもしれませんが、決してそんなことはありませんし、自分に合った有益な情報が得られます。また、相談員さんとつながっておくことで、離婚後も気にかけてもらえたり、何かあったときにも相談しやすいというメリットもあるんです。

 

── シングルマザーの貧困が社会問題になっているように、離婚後の生活に不安を抱いている人も多いと思います。事前にできる対策はありますか?

 

新川さん:

貧困化しないためには、やはり安定した収入を得ることが大事ですよね。例えば、ハローワークで職業訓練制度を活用し、職業訓練校に通って資格を取るなど、手に職をつけて自立の道筋ができてから離婚に踏み切るのも良い方法です。


離婚後も母子家庭だと優先的に受講できますが、生活の安定化をはかるためにも、職探しは早めに準備しておくといいと思います。

離婚は大人の都合…子どもには嘘をつかないで

── 離婚を子どもにどう伝えるかは、親にとって悩ましい問題です。どんなふうに向き合い、どんな言葉で伝えれば、子どもの心に与えるダメージを減らせるでしょうか。

 

新川さん:

離婚は大人の都合であり、子どもは離婚の被害者だと思っています。ですから、離婚を伝えるときには、嘘をつかず、その年代の子どもの言葉でわかるように誠実に向き合うことが一番大事ではないでしょうか。

 

私は子どもたちの面会交流の支援もおこなっていますが、4歳くらいの子でも「離婚」という言葉を理解しているんですよ。ですから、「パパとママは仲が悪くなって離婚しちゃったの」と嘘をつかずに説明します。

 

── 4歳でも「離婚」がどういうことかわかるのですね…。「仲が悪くなった」と、子どもにはっきり伝えるのは、少々躊躇しそうですが。

 

新川さん:

いずれはわかることなので、そこは嘘をつかないほうがいいと私は思っています。ですが、子どもは、「どうしてパパとママは仲直りできないの?私には友達とケンカしたら仲直りしなさいというのになぜ?」などと言ってくるので、そこは悩ましいところなのですが。

 

私はそういうときは「大人のケンカは複雑で難しいから、簡単に仲直りができないんだよ。あなたも大人になったらきっとわかるよ」と説明します。

 

── 子どもにとってはどんな言葉でも納得できないでしょうし、なかなか難しいところですね…。逆に、“言ってはいけない言葉”はありますか?

 

新川さん:

離婚相手の人格を否定したり、悪口をいうのはタブーです。相手を否定するということは、子どものルーツそのものを否定することになってしまいますから、お互いの悪口を子どもに吹き込むことはやめましょう。事実は伝えてもいいけれど、そこに付随するマイナスの感情は子どもには伝えない。それを忘れないことです。


── 事実は伝えても、それにまつわる個人的なマイナス感情は伝えない、ということですね。さまざまな場面で応用できそうです。

 

新川さん:

子どもは少なからず、親が離婚したことに関して、「自分のせいかもしれない」とか「自分がいい子じゃなかったからではないか」という思いがあり、自責の念にかられてしまう場合が多いんです。さらに離婚による喪失感もある。ですから、メンタルのケアは絶対に必要です。

 

子どもが自分を責めないように、「あなたのせいじゃないんだよ」ということをわかりやすい言葉できちんと説明してあげることが何より大切。そのうえで、「パパとママは離婚することになったけれど、あなたとパパは定期的に会えるよ」ときちんと伝えてあげることで、子どもも安心できます。

 

PROFILE 新川てるえさん

新川てるえさん

作家・家族問題カウンセラー。2度の結婚、離婚経験を生かし、1997年に情報サイト「母子家庭共和国」を開設。2002年子どもと家庭問題に悩む女性の自立支援のためのNPO法人「Wink」を設立。2014年子連れ再婚家族を支援するNPO法人「M-STEP」の理事長に就任。著書に『子連れ離婚を考えたときに読む本』(日本実業出版社)など。

ひとり親 バナー画像

取材・文/西尾英子 イラスト/Akira Ayumi
参考/厚生労働省「児童扶養手当について」https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/osirase/100526-1.html

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