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子宮外妊娠で卵管摘出も…妊活を諦めない元女子プロレスラーの思い

女性の健康

2021.10.11

プロレスラー時代の滝川あずささん

プロレスラー時代の滝川あずささん(写真提供:東京女子プロレス)

人気団体・東京女子プロレス所属のレスラーだった滝川あずささん。2015年にデビュー後、華奢な身体から繰り出される華麗な技でプロレスファンを魅了しました。

 

2018年に退団したあとは、DDTプロレスリングのスタッフとして活動。その後結婚し、不妊治療を開始した矢先に、会社の健康診断で子宮頸がんの前がん状態である高度異形成が見つかりました。

 

高度異形成の一般的な手術法である円錐切除術では、流産などのリスクが高くなってしまいます。悩んだ末、そのリスクを回避する可能性があるレーザー照射を選び手術は成功。不妊治療を再開した滝川さんでしたが、行く手にはさらなる困難が待ち受けていました。

高度異形成の治療を経て妊活を再開するも…心が折れそうになる不妊治療

── 不妊治療を継続されているそうですが、始めてどれくらいになりますか?

 

滝川さん:

今年で3年目です。結婚当初から子どもが欲しくて、自己流で妊活をしていましたがなかなか結果が出ず、31歳で不妊専門病院に通い始めました。

 

夫は最初から治療に協力的でした。年上なので、もしかしたら「自分に原因があるのでは」という思いがあったのかもしれません。

 

── 男性も通院が必要な場合があるので、苦労は多いだろうなと想像します。

 

滝川さん:

人工授精のときは夫婦で通院する必要があったので、仕事の都合をつけてもらっていました。夫はそういうときも協力的で。男性側が治療に積極的ではないカップルもいると聞くので、本当にありがたいなと思います。

プロレスラー時代の滝川あずささん

婚勝軍として活動していた滝川さん(左)。(写真提供:東京女子プロレス)

── それにしても、不妊治療と子宮頸がんの経過観察、両方の定期通院があるとなると、かなり時間をとられるでしょう。

 

滝川さん:

そうなんですよ!引っ越して病院が遠くなったこともあり、通院だけで丸1日かかってしまうこともあります…。

 

── 働きながらですし、本当に大変ですよね…。どのようにして続けていますか?

 

滝川さん:

結婚後、DDTでは会社の理解もあってうまくやっていたのですが、フルタイムで時間も不規則だったので、身体的にはきついことも多くて…。

 

そこで、勤務時間が短い派遣の仕事に転職しました。でも、急なお休みをとるのが難しかったり、働きたくても契約終了となってしまったり…派遣という立場に限界を感じることもあります。

 

── 働く女性にとって、不妊治療で特に辛いのはどんなことでしょうか?

 

滝川さん:

まず、不妊治療の病院ってすごく混んでいるんですよね。予約は何だったの?と思うくらい待ち時間が長かったりして…しんどいなと思います。

 

それと、排卵日や生理の日程に合わせて通院するので、周期が規則的でないと予定が立てづらいのが辛いです。特に体外受精の場合、採卵や卵子を戻すタイミングなど、スケジュール調整がものすごく大変で。

 

休みを事前に申請するのは難しいので、どうしても「来週休みをください」という急な形になってしまうんです。不妊治療と仕事を両立するのは、会社の理解がないと相当難しいと思います。

 

── 一部企業では制度が整ってきているようですが、世間ではまだまだ不妊治療に対する理解が追いついていないと感じます。

 

滝川さん:

そうですね。働く環境でこんなに変わるものかと驚きます。私のなかでもまだ解決策が見つかっていない状況です…。

 

── 不妊治療のことをブログなどで発信されていますよね。滝川さんの思いに共感する人も多いのではないでしょうか。

 

滝川さん:

不妊治療の過程で悲しいこともたくさんあったのですが、私の場合は、それを言葉にして発信することで悲しみが少し癒えるんです。

 

不妊治療を公表して以来、いろんな人から「実は私も…」と告白されるようになりました。昔の友人からも連絡があったりして、逆に勇気をもらったし、前向きになれたと思います。

 

積極的に発信して誰かのためになればと、子宮外妊娠のこともブログに書いたんです。

体外受精で妊娠も子宮外…卵管を切除することに

── 子宮外妊娠はお辛かったでしょうね…。どのような経緯で起こったのですか?

 

滝川さん:

5回人工授精したのですがうまくいかず、体外受精にステップアップしたんです。

 

採卵も受精もうまくいって安心していたら、1回目の移植はあっさり失敗してしまって。3回目で妊娠しましたが、まさかの子宮外妊娠。「もう諦めろってことなのかな…」とショックでした。

 

片方の卵管を切除せざるを得なかったので、さらに喪失感は強かったです。でも、起きてしまったことは取り返しがつかないし、悲しみを忘れることもできない。この現実は変えられないから、淡々と受け入れようと思いました。

 

── 特に辛かったのはどんなことでしょう。

 

滝川さん:

子宮外妊娠の手術の際は産婦人科医院に入院したので、「妊婦さんと同じ部屋になるかもしれない」と言われたときは、何とも言えず辛かったですね…。

 

精神的に耐えられないと思ったので、2人部屋にしてもらいました。気力と体力が回復してきてからは、妊婦さんと一緒にいるとパワーがもらえるかなとも思いましたが…。なかなか気持ちの整理がつかなかったです。

 

切なかったのが、区役所に子宮外妊娠の高額医療免除の申請に行くとき。「本当は母子手帳をもらいに行くはずだったのに…」と悲しい気持ちになりました。

 

── 病気や子宮外妊娠で苦しい時期、パートナーとはどんなやりとりをしましたか?

 

滝川さん:

夫は「あずさの身体に起きていることを俺自身は経験できない。だからわからない部分もあるけど、辛いよね」と言って受け入れてくれました。

 

どんなときも冷静で、はっきりものを言う人なので、かえって接しやすかったです。感情的になっているときにはイライラしがちですが、夫がそばにいてくれると気持ちを押さえて冷静になれるというか。

 

おかげで、「今はなかなか人が経験できないことを経験できているんだ」と思えるようになりました。

医師にタオルを投げられるまで治療を続けたい

── 今は妊活はお休みされていると思いますが、いつ頃再開される予定ですか?

 

滝川さん:

今はおなかがきれいになっている状態。がん治療担当の先生からは、3回生理を見送ったらまた治療を開始しても問題ないと言われています。

 

── 不妊治療は引き際が難しいと言われますが、滝川さんご夫婦の場合はどうでしょう?

 

滝川さん:

最初病院を訪れたときは、すぐに妊娠できるだろうと思っていたので、いつまでどんな治療を行うかは決めていませんでした。

 

タイミング法に始まり、人工授精、体外受精とステップアップするにあたり、夫と話し合いました。今のところ、年齢的に勧められないと先生に言われるまでは治療を続けようと決めています。

 

ただ、不妊治療の検査も治療も多岐にわたり、1つの検査に10万円…という具合でとにかくお金がかかるんです。身体的にも経済的にも負担が大きいので、どこまで続けていけるか…毎回考えてしまいますね。

 

今回の入院も予想外の出費でした。プロレスラー時代は医療保険に入れなかったので、引退後も保険に入らずに来てしまって…。レスラーで不妊治療から子宮外妊娠まで経験する人はまずいないから、予想外の出来事だったんだ、仕方ない!と自分に言い聞かせています(笑)。

 

子どもを授かることは結婚当初からの2人の夢なので、納得できるまで進み続けたいですね。

 

PROFILE 滝川あずささん

滝川あずささん

元東京女子プロレスのプロレスラー。現役時代は、婚勝軍というユニットを組み、結婚情報誌を使った攻撃も。現在は、東京女子プロレスのVTRのナレーションなどを担当。ブログは「滝川あずさオフィシャルブログ」https://ameblo.jp/azusa-takigawa-tjpw/

取材・文/池守りぜね 取材協力/東京女子プロレス https://www.ddtpro.com/tjpw

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