2021.01.21
新型コロナウイルスワクチンの開発が続く中、数々の疑問も浮上しています。そんな中、米ペン・ステート・ヘルスの専門家らが、よくある質問に対する回答を示しました。
ワクチンは、どのような機序で効果を発揮するのか?
米国で承認されている2種類のワクチン(ファイザー社/BioNTech社製、モデルナ社製)はいずれも、mRNAワクチンと呼ばれるもの。このワクチンは、新型コロナウイルス感染症を引き起こす、ウイルス表面のスパイクタンパク質の遺伝情報を含んでいます。
そのため、接種するとmRNAの情報に基づいてヒトの細胞表面にスパイクタンパク質が形成されます。ヒトにとっては異物であるこのスパイクタンパク質を認識した免疫系により抗体が作られることで、本物のウイルスが侵入しようとしてもブロックされ、感染を防御するという仕組み。
米ペン・ステート・ヘルス・ミルトン・S・ハーシー医療センターのM. Fahad Khalid氏は、「mRNAは、スパイクタンパク質が形成された後、速やかに分解される。このため、mRNAが細胞核の中に入ることはなく、DNAに変換されることは決してない」と説明しています。
ワクチンが疾患を引き起こすことはあるのか?
米ペン・ステート・ヘルス・ホーリースピリット医療センターのMohammad Ali氏は、「新型コロナウイルスワクチンは生きたウイルスを含んでいない。スパイクタンパク質が感染を引き起こすことはない」としています。
ワクチンの安全性と有効性は?
Khalid氏とAli氏は、「ワクチンの安全性と有効性は極めて高い」と述べ、インフルエンザワクチンの有効性が一般に40~60%であるのに対して、新型コロナウイルスワクチンの有効性は94~95%であると説明。
ただし、副作用としてごく一部の人に重篤なアレルギー反応が生じることがあるため、米疾病対策センター(CDC)は、新型コロナウイルスワクチンに含まれる成分に対してアレルギー反応が生じたことのある人は、このワクチンを接種するべきではないとしています。
また、他のワクチンに対してアレルギー反応が生じたことのある人は、医師に相談することを勧めています。一方で、ワクチン以外のアレルギー(食物、ペット、季節性アレルギーなど)のある人は、このワクチンを接種しても安全であると述べています。その他、注射部位の腫れや痛み、発熱、頭痛、筋肉痛などの副反応が起こることがあるが、一過性のものだといいます。
コロナに罹患したことがあっても、ワクチンの接種は必要か?
CDCは、COVID-19の罹患歴がある人にもワクチン接種を勧めています。感染後、ウイルスに対する免疫がどの程度持続するのかが明確になっていないからです。
ワクチン接種後は、マスクをしなくてもいい?
マスク着用、手洗い、ソーシャルディスタンスの維持は、ワクチン接種後も継続する必要があります。ワクチンによって発症率は抑えられますが、それでも感染する可能性がまだあるのか、他者へウイルスを広げる可能性があるのかについては、はっきりしたことが分かっていないためです。
ワクチンにマイクロチップが入っているのは本当? ワクチンは不妊の原因になるのか?
ワクチンにマイクロチップは入っておらず、不妊の原因にもなりません。Ali氏は、「多くの虚偽情報が出回っている」と述べ、最も信頼性のある情報源としてCDCのウェブサイトを参照することを勧めています。(HealthDay News 2021年1月11日)
https://consumer.healthday.com/b-1-11-answering-your-qs-on-the-new-covid-vaccines-2649790920.html
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(参考情報)
Press Release
https://pennstatehealthnews.org/2021/01/the-medical-minute-how-the-body-responds-to-the-covid-19-vaccine/