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ナノテクノロジーで重篤なCOVID-19の治療に光

女性の健康

2020.05.14

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が重篤化する際の重要なポイントは、免疫系が暴走した状態になる「サイトカインストーム」にあると考えられています。この急速に進む過剰な炎症反応を効果的に抑える治療法は今のところありませんが、ナノテクノロジーを活用した薬剤送達システムがその制御に役立つ可能性があることが、フランスとブラジルの合同チームの研究で明らかにされました。結果の詳細は「Science Advances」4月27日オンライン版に報告されています

 

ナノテクノロジーを用いて炎症を抑えられる可能性が

若くて基礎疾患のないCOVID-19患者は軽症や無症状で済むことが多いが、一部には重篤な状態に陥る患者もいます。その原因は明らかになっていませんが、ひとたび重症化すると、過剰な免疫系の反応を制御できなくなるサイトカインストームと呼ばれる状態に陥ることも珍しくありません。

 

研究を率いたパリ南大学(フランス)のPatrick Couvreur氏らは「炎症のプロセスは全身のあらゆる部位の細胞を傷つけ、患者は臓器不全から死に至る可能性もある。サイトカインストームの際に重要なのは、炎症と酸化ストレスの関係だ。これらのプロセスは互いの働きを加速させ、悪循環をもたらす」と説明しています。

 

現時点では、サイトカインストームの悪循環を食い止める治療法はありません。例えば、副腎皮質ステロイド薬などの抗炎症薬は、組織の修復が抑制されるため、十分な効果を得られないことが分かっています。ただ、マウスを用いた実験から、ナノテクノロジーを用いて過剰な炎症を起こした組織に薬剤を送り届けることにより、炎症を抑えられる可能性が示唆されていました。

 

動物実験の結果に評価

そこで、Couvreur氏らは今回、アデノシンと呼ばれる、アデニンとリボースからなる抗炎症作用のある極めて微小な“ナノ粒子”に着目。そのままでは深刻な副作用が引き起こされる可能性があるアデノシンを他の成分と混合し、ナノテクノロジーを活用した新しい投与方法を試みました。

 

Couvreur氏らは、まず、アデノシンと同じく、体内にもともと存在する脂肪の一種であるスクアレンにアデノシンを加えた“マルチドラッグ・ナノ粒子”を作製。次に、このナノ粒子を強力な抗酸化物質でビタミンEの一種であるα-トコフェロールの中に封入。この粒子を、ナノテクノロジーを用いて、敗血症、あるいはサイトカインストームに似た過剰な免疫反応状態のマウスの組織に送達しました。その結果、炎症誘発性サイトカインである腫瘍壊死因子-α(TNF-α)が減少した一方で、抗炎症サイトカインであるインターロイキン-10(IL-10)が増加したことが明らかになリました。また、治療開始から4時間後には、肺や腎臓などの重要な臓器でこの変化が認めらています。

 

動物実験で得られた結果は、必ずしもヒトに応用できるとは限らないが、感染症の専門家で米ツーソン医療センターのMatthew Heinz氏は「この結果は理にかなったものだ」と評価。「この技術を用いることで、重篤なCOVID-19患者のサイトカインストームに打ち勝てる可能性を示すエビデンスが得られたことは心強く、励みになる」と期待を示しています。(HealthDay News 2020年4月28日)



https://consumer.healthday.com/infectious-disease-information-21/coronavirus-1008/nanotechnology-might-help-fight-deadly-cytokine-storm-of-covid-19-757148.html

Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://advances.sciencemag.org/content/early/2020/04/27/sciadv.aaz5466.full

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